ANA増便でアクセス向上、バンクーバーで出会った街の魅力と水上飛行機の遊覧飛行
ANAの増便でアクセスしやすくなるカナダ・バンクーバー。今回の訪問では、まとまった観光の時間こそなかったものの、人気カフェでの朝食やダウンタウン散策、夜景や飛行機の撮影、水上飛行機の遊覧フライトなどを体験した。限られた時間のなかで巡った、バンクーバーの魅力をレポートする。
ビジネス旅行や出張といった限られた時間にどれだけ現地の魅力を満喫できるだろうか――。今回、ANAのバンクーバー増便の事情を同社支店長にインタビューすべく現地を訪れた。
もちろん取材が主目的であり、まとまった観光の時間を確保することはできなかったが、せっかく現地を訪れた以上、少しでも街の空気に触れたいところ。今回は、ダウンタウン周辺から比較的アクセスしやすいスポットを中心に巡ってみることにした。なお、紹介する順序と訪れた順序はまったく関係なく、異なる日にスポット的に訪れたものを集めた構成になっているので、一日観光のモデルケースではなく、個別のスポット紹介と思って読んでいただければ幸いである。
例えばバンクーバー島への現地ツアーなど丸一日かけて回るようなアクティビティも魅力ではあるが、事前にいろいろ調べ、限られた時間で楽しむ。そんな過ごし方もまたよいし、現実的には珍しくないシチュエーションだ。
行列ができる人気店「Cafe Medina」で朝食を
まずは、以前から気になっていた「Cafe Medina」だ。地中海風の料理とワッフルで知られる、バンクーバー屈指の人気店で、日中は大行列ができるという。今回は朝8時の開店と同時に訪問。さすがに行列はできておらず、そのまま店内に入ると、すぐに席に案内された。
注文したのはワッフル2個とグラノーラである。ワッフルにはカナダらしいメープルシロップと、ブルーベリージャムをトッピングで追加した。運ばれてきたワッフルはしっかりとした厚みがあり、一口かじると外側はサクサク、内側はモチモチとした食感。人気の理由が分かる納得の味わいだ。生地自体に十分な甘みがあるものの、一つひとつのボリュームがかなりあるため、トッピングで味を変化させながら食べ進めるのもお勧めだ。
グラノーラもなかなかのボリュームであったが、フルーツがふんだんに使われているため重さを感じさせず、思いのほか軽やかに食べられた。正直なところ、朝食としてはかなり多めの量であったが、気付けば完食していたほど美味しい。店員も非常にフレンドリーで、居心地の良さも印象的だった。もし再びバンクーバーを訪れる機会があれば、間違いなく再訪すると心に誓った。
ダウンタウン散策とノースバンクーバーからの夜景
時間の合間を縫って、バンクーバーのダウンタウン周辺もぶらぶらと歩いてみた。バンクーバーの中心部は格子状に美しく整備されており、初めての訪問でも歩きやすい街だ。
歩いていると、高層ビル群の中でも、展望施設として知られるバンクーバー・ルックアウトの存在感は際立っており、街のランドマークとして目を引く。少し足を延ばしてチャイナタウンにも立ち寄った。多民族都市として知られるバンクーバーらしく、実にさまざまな国の料理のレストランが並ぶ。歩いているだけでも魅力的な店が次々と現れ、Cafe Medina以外にも行列のできている店をいくつか見かけた。
バンクーバー発祥の地として知られるギャスタウンへも足を運んだ。ここにある蒸気時計は外せないスポットだ。周辺には歴史を感じさせる古い佇まいの建物が多く残っており、その情緒ある景観を堪能した。今回は昼と夜の2度訪れてみたが、時間帯によって変化する街の表情の違いを味わえる。
公共交通機関としては、ダウンタウン中心部にグランビル駅とシティセンター駅があり、シティセンター駅は空港と市内を結ぶスカイトレインのカナダラインが乗り入れている。カナダラインの終点はウォーターフロント駅で、その名のとおり湾沿いに位置する交通の要衝だ。さらにウォーターフロント駅からは、対岸のノースバンクーバーを結ぶシーバス(船)が運航されている。
バンクーバーの公共交通機関はゾーン制運賃となっており、シーバス利用時は2ゾーン運賃が適用される。運賃は4.85ドルだが、夜間は1ゾーン扱いとなるため3.35ドルになる。せっかくなので夕方17時頃にシーバスへ乗船し、ノースバンクーバーへ向かった。
ウォーターフロント駅とノースバンクーバーの間を結ぶシーバスは、15~30分間隔という高頻度で運航されているが、船内は多くの乗客で賑わっており、地域にしっかりと根ざした乗り物であることを実感する。
今回ノースバンクーバーまで足を延ばした目的は夜景撮影である。訪問した5月半ばの日没は21時頃。日本の感覚でいると、その明るさに驚かされる。高緯度地域に来たことを実感する瞬間だ。
しばらく待ち続け、ようやく訪れた夕暮れの時間帯。海越しに眺めるダウンタウンの高層ビル群は美しく、待った甲斐のある景色だった。徐々に灯りがともり始めた街並みは非常に印象的で、今回の滞在のなかでも特に記憶に残る風景となった。
空港近くの展望台へヒコーキを撮りに行く
街歩きだけでは航空専門誌らしくない。もちろん飛行機撮影も楽しんできた。事前に調べたところ、レンタカーやタクシーを使わず公共交通機関だけで訪問できそうな場所として見つけたのが、バンクーバー国際空港のサウス・ターミナル脇にある展望台である。
まずはダウンタウンからスカイトレインのカナダラインで空港へ向かう。空港と市内中心部はゾーンをまたぐため、通常運賃は2ゾーンの4.85ドルとなる。ただし空港駅から乗車する場合は追加料金として5ドルが加算される仕組みで、市内と空港を単純往復すると4.85ドルと9.85ドルが必要になる。このあたり、観光客には少し分かりにくい制度ではある。
今回は1日乗り放題となるDayPassを利用した。料金は11.95ドルで、追加料金の対象となる指定駅以外で購入すれば5ドルは徴収されない。クレジットカードのタッチ決済にも対応しているため、タッチのみの利便性を優先するか、DayPassを券売機で購入する手間をかけても交通費を抑えるかは人それぞれだろう。そもそもダウンタウン側を起点に空港を往復するという状況は、観光や出張での訪問としては少々(かなり?)特殊ではあるのだが。
メインの国際線・国内線ターミナルに到着後、目的地であるサウス・ターミナルへは無料のシャトルバスで移動できる。日中は40分間隔で運行されており、国際線エリアからの所要時間は約20分ほどである。
展望台はサウス・ターミナルのすぐ隣にある。設備自体は非常にシンプルだが、フェンス越しではなく撮影できる構造になっており、発着機を紹介するパネルも設置されている。規模こそ大きくないものの、しっかりとした展望施設という印象だ。
展望台から近い滑走路はRWY08R/26Lであるが、この日はRWY08Rを離陸に使用していた。滑走路方向にはビジネスジェット関連施設などが建っているため、離陸機は建物の陰から突然現れるような形になる。
逆向きの運用であれば、RWY26Lへ向かう機体の地上走行を比較的クリアに撮影できそうだが、離陸シーンの撮影はあまり期待できそうにない。
一長一短はあるものの、海外の空港で公式な展望施設が用意されており、しかも比較的地上に近い視点から撮影できるのは魅力的だ。2~3時間ではあったが、トラフィックも多く、十分に楽しめるスポットだった。
水上飛行機に乗る! そして空からのバンクーバーを楽しむ!
飛行機好きとして、もう一つ外せないものがある。それが水上飛行機だ。
バンクーバーの現地ツアーとして、水上飛行機を使ったアクティビティはよく知られる。バンクーバーでは水上飛行機を利用してバンクーバー島のビクトリアやナナイモを訪れるツアーが数多く催行されている。現地観光とフライトを組み合わせた日帰りツアーも人気のようだ。
せっかくならこの水上飛行機を体験してみたい。しかし、そうしたツアーに参加する時間はない。そこで選んだのが、ウォーターフロント駅近くの「バンクーバー・ハーバー」を発着する遊覧フライトである。
利用したのはHarbour Airの観光フライトだ。この日は朝10時から18時台まで計14便が設定されていた。料金は149ドルのプロモ運賃のほか、209ドルの通常運賃、229.15ドルのUltimate運賃が用意されている。Ultimateは3席限定で、優先搭乗やドリンク券の特典が付く。
滞在中にWebサイトから予約を試みたところ、直前のタイミングだったせいか、あるいは日によるものか、あいにくプロモ運賃は選択肢に表示されず、通常料金かUltimate料金の2択であった。今回は空撮に適したベストな座席を確保したかったため、20ドルほどの追加投資と思い、優先搭乗できるUltimateを選択した。
発着場のロビーは複数の航空会社が共同で利用しており、ゆったりとしたソファが並ぶ快適な空間であった。ここで、Ultimateの特典としてドリンク券が付くのは価値がある。ドリンクを片手に、バンクーバー島方面へ飛び立つ水上飛行機を眺めながら過ごす時間は至福だ。
やがて出発の時刻となり、スタッフの案内で桟橋へと向かう。Harbour Airでは、セスナ208、DHC-2(ビーバー)、DHC-3(オッター)、DHC-6(ツインオッター)といった名機の水上機仕様を運航しており、どの機体に当たるのかも楽しみの一つと思っていたのだが、今回の便はDHC-3(オッター)であった。
パイロットから機内での注意事項などのブリーフィングを受けたあと、いよいよ搭乗が始まった。なお、カメラなどの手回り品を除く、バックパックなどの荷物は、すべて機体後方のラゲッジエリアに収納するルールとなっている。
機内の座席配置は1-2の3アブレスト。ここで優先搭乗のメリットを最大限に活かし、最前方の座席を確保した。遊覧フライトにおいて、確実に窓側をキープできるUltimateは、この20ドル少々の差額を払う価値が十分にあると確信する。
そして出発だ。水面を動き出すと、陸上を走る通常の飛行機とはちょっと異なる感覚だ。波に揺られてゆらゆらとした独特の浮遊感が伝わってくるが、地上では時折生じるガタンという振動はなく、実になめらかに進んでいく。離水も同様で、不快な揺れはほとんど感じず、心地よいGを感じられる。フロートが激しく巻き上げる白い波しぶきの圧倒的な迫力に見とれていると、機体がふわっと浮き上がり、いよいよ遊覧飛行が始まった。
機体はまず西へと機首を向ける。進行方向右側に座っていた筆者の眼下には、ノースバンクーバーの街並みとその奥に広がる壮大な景色が広がった。地図で確認すると、バンクーバーの北側は、大地が大きく裂けたかのような複雑な地形をしており、入り組んだ水路が美しい模様を描いている。地球の大自然が生み出したダイナミックな起伏を、この高度から一望できるのは遊覧フライトならではの魅力だ。
しばらく飛行を続けると、機体が旋回を始め、遠方にバンクーバー国際空港の姿を望みながら、今度はダウンタウン方面へと近づいていく。滞在中に歩いた場所を、今度は空から見る。あそこを歩いたのだと位置関係を答え合わせできる楽しさがある一方で、上空からの視点はすべてが新鮮な情景として目に飛び込んでくる。
その後、ダウンタウンの上空をなぞるように旋回し、機体は徐々に高度を下げて着陸態勢へと入る。着水時もまた、豪快に波しぶきを立てる迫力ある体験だった。空にいた時間は約20分、前後の時間を合わせても30分強という短い空の旅ではあったが、その満足度は極めて高い、素晴らしい水上飛行機のフライトであった。
出張中のすき間の時間を利用して、幕の内弁当のように巡った今回のバンクーバー観光。街を歩き、シーバスに乗り、夜景を眺め、飛行機を撮り、水上飛行機に乗る。短時間でも十分に満喫できる街だと実感できた。
そんな駆け足の観光でも楽しい。一方で、だからこそ、もっと深くこの街を味わうために、十分な時間を作って再び訪れたい。そんな思いを抱いた今回のバンクーバー滞在だった。
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