ニュース
大谷選手来日時のアトラス航空747-400、実は元ANA機のJA404Aという経歴
3月13日、羽田空港に飛来したアトラス航空747-400には、大谷翔平選手らMLBロサンゼルス・ドジャースの選手らが搭乗していた。午後の情報番組が着陸の様子を生中継するなど大きく注目された来日。しかし、僕たち飛行機ファンは大谷選手だけでなく、これが貴重な旅客型ジャンボという点、しかも元ANA機であるという出自に注目したい!

「ANA's Chicago Style」としてデビューした1999年、日本での活躍
メジャーリーグベースボール(MLB)2025シーズンの開幕戦に合わせて、大谷翔平選手などロサンゼルス・ドジャースの選手たちを乗せたチャーター便として、3月13日の15時頃、羽田空港に飛来したアトラス航空のボーイング747-400(N263SG)。同機はスポーツチームのチャーター便として利用される用途が定番で、ここ数年でも何度か日本への飛来実績がある。
しかしこの機体、日本の空とも大変馴染みの深い機体であることをご存知だろうか。飛来したN263SGは、1999年製造のMSN29263。かつて、ボーイング機の各型式、下2桁に付与されていたカスタマーコードは「81(747-481)」で、この数字が紛れもなく、かつて同機がANA向けに製造された機体であることを示している。
N263SGの経歴を辿ると、1999年3月31日にJA404AとしてANAが導入したことに始まる。
同機を含むJA403AからJA405Aまでの3機は、1999年3月に新規開設された成田=シカゴ線に合わせて導入した機体で、フルフラットシートを搭載したファーストクラスのほか、ビジネスクラスにあたるCLUB ANAでは、50インチピッチの新シートが搭載され、機内炊飯器やバーコーナー、さらにはFAX完備のビジネスコーナーまで備えた「ANA’s Chicago Style」で導入され、大いに話題となった。
しかし、JA404Aとしての運用期間は長くはなく、2007年3月に発表された777-300ER追加発注に伴う退役計画のなかに、若年機であるJA404Aも含まれることとなった。2005年9月からは、羽田=長崎線においてかつてのChicago Style機が投入されるなど、本来の活躍範囲からは次第に離脱し、次期フラッグシップとなる777-300ERに追いやられる形でANAから早期退役を迎えた。


アトラス航空では2010年から運用、ファースト10席・ビジネス143席・エコノミー36席のVIP仕様で
ANA退役後は、格安の長距離路線をメインに路線展開を計画した香港の新興LCC、オアシス香港航空へと移籍したが、同社の業績はふるわず2008年4月に早々に営業を終えたことで、わずか1年ほどの在籍であった。
その後は、Wells Fargo Bank Northwest名義での米国内におけるストア期間(2008年7月〜2010年1月)を経て、現在のアトラス航空へとデリバリーされた。
アトラス航空では当初、通常塗装とは異なるゴールドをベースにした特別塗装で運用され、同じくANAで活躍した僚機のN322SG(元JA405A)とともに、キャビンはファースト10席・ビジネス143席・エコノミー36席のVIP仕様となった。導入直後の2010年には、ワールド・エアウェイズから運航を引き続く形で、石油会社の移動便として米国とアフリカのアンゴラ(ヒューストン=ルアンダ間)を結ぶ「ヒューストン・エクスプレス」の専用機材としても運用された実績を持つ。その後、2022年にはゴールドから現在の通常塗装へと塗り替えられている。
このほか、アトラス航空ではエコノミークラスの構成が多く、主に米兵輸送のチャーター便などに投入される旅客型の747-400も運用しているが、来日したN263SGはVIP仕様であり、結果として野球人気が高い日本への里帰りフライトが多くなっていることは、同機にとって運命的と言えるかもしれない。今年で機齢26年を迎えているが、定期便での運用と違い運航サイクルが少ないことから、これからも末永い活躍を期待したいところだ。


関連記事
関連リンク