航空旅行

キャセイパシフィック航空「アリア・スイート」のスマートな進化〜世界のビジネスクラス解剖

キャセイパシフィック航空はボーイング777-300ERに、新しいビジネスクラスシート「アリア・スイート(Aria Suite)」の導入を進めています。
「アリア・スイート」は通路との間にドアを設けた個室型シートで、これ自体は珍しいものではなくなってきましたが、
個室内の環境をデジタルで統合制御する「スマートさ」は、“次世代”と呼ぶにふさわしい進化を遂げています。

文:『航空旅行』編集部 写真:キャセイパシフィック航空
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「アリア・スイート」は有機的な曲線を描くラップアラウンド・デザイン。座席の生地の質感からカスタマイズ可能なパーソナルライトまで、細部にまで気を配ったデザインを施しています。

機内での“時間”の質を変える、デジタル機能のスマートさ

 「アリア・スイート」は、完全個室というハード面に加え、機内での過ごし方をより快適にするための「機能性」を重視したプロダクトです。大きな特徴の一つが、個室内の環境を個人用モニターから直感的に操作できる点で、シートポジションや照明、エンターテインメントの操作を一つの画面に集約することで、乗客は迷うことなく、自分好みの空間に整えることができます。多機能化するシートは、場合によってはスイッチ類が複雑で、戸惑う光景も実は少なくありません。だからこそ、直感的な操作の分かりやすさは、長時間のフライトにおいて快適性を左右する重要な要素になると言えます。
 また、個人用モニターでラバトリー(化粧室)の空き状況を確認できる機能も搭載されています。席を立つ前に状況を把握できるため、ドアの前で“トイレ待ち”に遭う可能性が低く、自席で落ち着いた時間を過ごす助けとなります。こうした細やかな配慮こそ、実際に搭乗した際により実感できるポイントです。
 シート自体も、通路との間にプライバシードアを備えた完全個室型でありながら、曲線を活かしたデザインや落ち着いた色調により、閉塞感を感じにくい空間に仕上げられています。フルフラット時の居住性も高く、休息、食事、作業といった機内での時間を自然に切り替えられる設計です。「アリア・スイート」は、単に新しい個室を提供するのではなく、操作性や動線、使い勝手といった視点からビジネスクラスの質を高めようとする取り組みと言えます。その積み重ねが、“次世代ビジネスクラス”と呼んでもいいのではと思う理由です。
 なお、『航空旅行 vol.50』では、キャセイパシフィック航空・香港発羽田行きビジネスクラスのフライトレポートを掲載しています。搭乗したのは現行のヘリンボーン型シートですが、機内での過ごし方やサービスの雰囲気を丁寧に紹介していますので、キャセイのビジネスクラスが持つ一貫した世界観を感じていただけるはずです。「アリア・スイート」と羽田空港にあるキャセイパシフィック航空の自社ラウンジについても、それぞれ1ページずつ解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

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通路との間にドアを設けるのは最近のビジネスクラスのトレンドですが、「アリア・スイート」はハードウェアの豪華さだけでなく、デジタルを活用して乗客のストレスを減らす細やかな配慮が随所に見られるのも特徴です。
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24インチの4Kモニターは機内に持ち込んだ自前のヘッドホンをBluetoothで接続可能なうえ、座席ポジションや照明のコントロールもこの画面上で直感的に操作できます。
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「アリア・スイート」にはワイヤレス充電機能もあります。ほとんどのノートパソコンに対応した急速充電USB-Cポート、USB-Aポート、標準の電源コンセントなども完備しています。
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ウルトラレザーの個人用コンパートメントは、刺繍が施されたインレイトレイを備えています。パスポートや眼鏡、貴重品を収納するのに最適な引き出し付きのスライド式コンソールもあります。