連載
ジャンボの“真の完成形”。ルフトハンザ・ボーイング747-400の優雅な旅〜連載【パイロットが乗客に! マニアック搭乗記】
揺れまでも優雅、往年の華やかさに想いを馳せる
機内はところどころアップデートされ、独特な形の読書灯やシートベルトサインもLED化されています。アッパーデッキのOHS(オーバーヘッド・ストウェージ)も大型化されていて、見た目はモックアップのようです。
そしてシートベルト着用サインが消されますが、この「ポン」という音ひとつとっても「懐かしい!」となるのはなぜでしょう。色々なところで747-400の華やかだった時代を思い出します。
それにしても、なぜこんなに-400が愛されるのでしょうか? 私は747-400がデビューしたときのあの衝撃が忘れられません。アッパーデッキを延長し、主翼フェアリングの形も変わり、そして翼端には最新鋭機の象徴、ウイングレット。コクピットには6面のCRTが並び、どこから見ても「完成された空の女王」の風格が漂っていました。後に出る747-8よりもバランスが良い感じがします。「-400に乗りたい」と子どもながらに何度も親にお願いし、海外旅行でも-400を選んだほどです。
航空会社に就職しても、やはり747へのあこがれは強くなるばかり。新しい777や747-8、787よりも魅力を感じていました。パイロットとしては残念ながら-400を飛ばすことができませんでしたが、運航経験のある先輩が皆「最高の飛行機」と謳う-400に、おそらく個人的には最後の機会であるものの、乗客として搭乗できて本当に嬉しいです。
今回は9時間少しのフライト。-400にとっては性能的にまだまだ余裕がありそうです。東京=ニューヨークや東京=ロンドンをノンストップでフライトしていた1990年代のような華やかな路線は、もう与えてもらえないのかと寂しくなります。初期レベルオフは3万3,000フィート。バンクーバーへ向けて北上します。
しかしフライトしていると、本当に機齢を感じさせません。とても安定していて揺れないのです。さらに、揺れても翼が吸収するので、ゆさゆさと心地よいものになります。あと何十年でも飛んでいてほしい、本当にそう思いますが、残念ながら機械には寿命がある……。いくら天下のルフトハンザ・テクニックでも、ついに退役予定が公表されてしまいました。本当に寂しい限り……。
さて、フライトの途中、目的地まで約4時間というところでライトプラスからモデレート近い揺れが5分ほど入りました。747にしてはとても大きい揺れでしたが、それでもロールすることなく、細かい機首の上げ下げのような、小さな階段を上下するような揺れ方。決して不快なマイナスGを感じさせない、やはり安定した飛行機なんだなぁと感じます。
降下中も揺れはなく、快晴の空の下、カナダの雄大な景色を楽しませてくれました。アプローチ中は山に近いので、パイロットとしてもあまり気持ちの良いものではないでしょうが、まるで遊覧飛行のようでした。フラップを降ろして進入態勢に入り、着陸も大変スムーズなタッチダウン。バンクーバー国際空港68番ゲートのVDGSには、「747400」の文字が。何もかも特別なフライトが無事に終わりました。
他社が退役させた-400を、今でもたくさん飛ばしてくれているルフトハンザに感謝し、1日でも長く-400が飛んでくれることを願ってやみません。
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