連載
雷雲を避けながら飛んだ、キャセイパシフィックの香港=バンコク線〜 連載【パイロットが乗客に! マニアック搭乗記】
現役の機長が1人の乗客として海外エアラインのフライトに搭乗し、パイロットならではの専門的な視点でその模様を紹介する本連載。第2回もキャセイパシフィック航空のフライトだ。前回の連載でたどり着いた香港から乗り継いでバンコクへと向かうが、香港国際空港周辺は雷雲が立ち込めていた。

まずは航路上の天候をチェック
この日の香港〜海南付近は、散在する雷雲の影響で、上昇中は揺れや雷雲を回避する必要性があると予想されます。ですが、それ以外は概ねスムーズな気流だと思われます。出発地の香港国際空港は、ほぼ正面からの突風を伴った風。目的地のバンコク・スワンナプーム国際空港は終日南風が卓越し、使用滑走路はRWY19R/Lが想定されます。

キャセイの古参機、777-300に搭乗
搭乗機は、キャセイパシフィック航空の最古参フリート群である777-300。平均機齢は22.7歳と、いつ退役してもおかしくない機材ですが、その後の777-300ERに繋がる双発大型機の元祖ということで、前回の連載で搭乗した最新のA350とどのような違いがあるのかを中心に見ていこうと思います。
ちなみに登録記号はB-HNQ。2006年7月登録の18年選手ですが、同社の777-300の中ではまだ若手の部類でしょうか。機体外装は大変キレイで、とてもそんなに古い機体とは思えませんが、機内へ入るにつれて機齢を感じる部分が随所に見られました。



雷雲に加え、空港混雑で出発が遅延
ボーディング中にはコクピットからアナウンスがあり、フライトタイムや周辺の天候、香港国際空港の混雑について説明がありました。雷雲に加え、どうやら慢性的な混雑があるそうで……。しかし、遅延を回復すべく全力を尽くすという内容のアナウンスは、心強く感じました。
その後、情報はアップデートされ、当初1時間以上の遅延と言われたものがジャンプアップし、約15分の遅れに収まりそうだというアナウンスがありました。とはいうものの、周辺に雷雲があることも影響し、4時間ディレイ(遅延)している便もあるそうで、状況は変化しそうです。そして約束の時間になっても動き出す気配がないのは、このノーズギア後方に装備されたカメラ映像を見ても明らかです。

そして3回目の情報アップデートでは、結果的に空港周辺の混雑の影響を受け、定刻から1時間20分の遅れで出発できそうとのことでした。悪天候は仕方ないことですが、このように随時情報をパイロット自らアナウンスすることの重要性を再確認したところです。
その1時間20分になると、やっとトーイングカーが接続されプッシュバック開始です。

今回は搭乗率が4割ほど。特にエコノミークラス後方の私の座席周辺は空きが目立ち、横1列すべてが空席でした。3-4-3配列で多少手狭な印象の777ですが、これならば非常に快適です。

次のページ:
周辺空域は雷雲と他機だらけ……避けながら一路バンコクへ!
関連記事
関連キーワードもチェック!
関連リンク