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中部国際空港発着のDHL便に、今年4月からコスモ石油製のSAFを使用
日本における国際エクスプレス輸送で50%近いシェアを誇るのがDHL Expressだ。成田、関西、そして中部の3空港でも、その提携航空会社が運航する鮮やかなDHLカラーのフレイター機たちはお馴染みの存在。もちろん航空輸送業界で需要が高まる持続可能な航空燃料(SAF)の導入など環境問題への取り組みにも積極的で、このほどアジア初となる日本でのSAF調達契約が締結された。
アジアでは初となる国際エクスプレス輸送のSAF活用
1月28日、国際エクスプレス輸送のリーディングカンパニーであるDHL Expressは、日本における持続可能な航空燃料(SAF)の調達に向けてコスモ石油マーケティングとの契約を締結した。ドイツを本拠地に世界220の国と地域でビジネスを展開する同社は、2030年までにDHL定期便の航空燃料を混合率30%のSAFでまかなう方針を示している。
ただし、SAFについては供給量の確保が航空輸送業界全体の課題となっており、これに対応するべくDHL ExpressではBP(英国)、Neste(フィンランド)、World Energy(米国)などのエネルギー企業との間で、約15億リットルを調達する契約を結んできた。
さらに、こうしたグローバルなSAF調達の取り組みをローカルレベルにまで拡大し、今回のコスモ石油マーケティングとの契約により、アジアでは初となる国際エクスプレス輸送のSAF活用が実現することになる。DHL Express全体では、これまで欧州6空港・米国3空港の世界9拠点でSAFを調達してきたが、これに日本における重要拠点と位置付ける中部国際空港でのSAF調達が加わる。
今年4月に稼働開始するコスモ石油 堺製油所から届ける年間7,200キロリットル
製造を担うのは2025年度、つまり今年4月より稼働を開始するコスモ石油 堺製油所(大阪府)で、年間3万キロリットルの製造能力のうち、7,200キロリットルをDHL向けに供給する。DHL ジャパンのトニー カーン社長はこの日行なわれた記者会見で、「まずは今年20周年を迎える中部からスタートして、成田、関西の拠点にも拡大していくつもりだ」と、さらなる展開への方向性を示唆した。
DHL Expressでは、顧客企業のサプライチェーンにおける温室効果ガス削減に貢献する手段として、SAFを使用した航空機によって航空輸送を提供する業界初の輸送サービス「GoGreen Plus」を、2023年夏から日本市場で提供している。導入開始から2024年12月までに6,000社、90万件の利用実績を重ね、大口顧客との契約も増加するなか、こうしたサービス提供の大前提として安定的なSAF供給網の確立が欠かせない。
会見にはコスモ石油マーケティングの森山幸二 社長も出席し、「DHLのフライトに、SAFのサプライヤーとして携われることを光栄に思っている」と喜びを語った。また、SAFの原料となる廃食油の調達については決して簡単ではない現状があることを説明した上で、そうした中でも企業や自治体と協力しながら国産原料によるSAFを製造し、国際機関の認証を取得した製品を供給していくとした。