航空旅行

SQ671便・中部発シンガポール行き〜ボーイング787-10 part3

“最新鋭の翼とやさしいおもてなし”をポリシーとするシンガポール航空の名古屋(中部)〜シンガポール線は2019 年10月、就航30周年を迎えた。
この記念すべき年に名古屋線へ投入されているのは、同社がアジア域内用として導入を進めるボーイング787-10。
いつ乗っても期待を裏切らない安定のホスピタリティは、ますます磨きがかかっている。
※この記事は 『航空旅行vol.31』(2019年10月発売)から抜粋・再編集したものです。

文:本城善也 Text by Yoshiya Honjo  写真:大橋マサヒロ Photo by Masahiro Ohashi
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日本路線だけの特別サービス

 SQ671便は定刻より2分早い10時28分に出発し、10時42分、ランウェイ36から名古屋の空へテイクオフした。ロールスロイス製の力強いエンジンによりぐいぐい高度を上げていくが、機内は思いのほか静かだ。これも最新鋭機である787の特徴だが、ビジネスクラスの高性能なノイズキャンセリングヘッドホンを耳に着けているとエンジンの騒音はまったく聴こえない。出発してからこれまで、自分だけの自由気ままな時間が流れ続けている。
 ベルトサインが消えると、昼食の準備が始まった。ビジネスクラスは京都の料亭「菊乃井」の主人、村田吉弘氏が監修する和食「花恋暦」と、3つのメインディッシュを用意した洋食から選ぶことができる。どれも魅力的なメニューだが、やはり手が伸びてしまうのは「花恋暦」だ。先付、向付、口取り、麺が特注の花柄の器に盛られて提供される「花膳」から始まり、メインの「二の膳」へと続くコースは日本の四季を感じられるメニューで構成され、本物の和食を味わうことができる。この取材は8月末だったが、賀茂茄子、太刀魚、鱧、そうめんなど夏を感じる食材がふんだんに盛り込まれていた。
 洋食は前菜の「エビのシーザーサラダ」から始まり、メインディッシュはポーク、チキン、魚の3種類からの選択。魚のメニューは、名古屋就航30周年を記念して「鰻のかば焼き」で、2019年7月から9月まではエコノミークラスでも鰻を使った特別メニューが提供された。日本のエアラインではないにもかかわらず、このような日本向けにカスタマイズしたサービスを展開するのはシンガポール航空の矜持。逆にここまで思いを巡らせたサービスをしなければ、長きに渡って高い評価を受け続けることはできないということなのだろう。そして乗客は、シンガポール航空のサービスは他とは違うと感じるのだ。もし人生で初めて乗った飛行機がシンガポール航空だとしたら、そのあとに経験するエアラインは大変だろうと勝手な心配をしてしまった。

シンガポールガールの向上心

 私のエリアを担当する日本人キャビンクルー、岸さんのサービスも所作が丁寧で美しい。そもそもサロンケバヤを纏ったキャビンクルー「シンガポールガール」は、シンガポール航空のホスピタリティを体現するシンボルである。14週間にも及ぶ入社直後の訓練で徹底的にサービスの基礎を習得し、そのうえでプラスアルファの何かを日々の乗務で求め続けている。入社8年目の岸さんのサービスは、乗客として一切不満はなく、むしろ満足度の高いフライトだと感じているが、岸さん自身は自分のパフォーマンスはまだまだと謙遜する。改めて素晴らしいハードと、シンガポールガールの向上心が最強のサービスを作り上げているのだと実感した。
 岸さん同様、ビジネスクラスを担当していた内之浦さんには、仕事場としての787について伺ってみた。すると787は、以前飛んでいたボーイング747などと比べると圧倒的に乗務後の身体が楽だと言う。頻繁に飛行機に乗っているわけではない一般人からすれば、ただただ快適なフライトと感じるのが関の山だが、月の半分を上空で過ごすクルーの言葉となると重みが違う。やはり787は最先端を行く空の旅なのだ。
 名古屋からシンガポールまでは6時間50分かかるはずだが、こんなに近かっただろうか?体感的にはあっという間にチャンギ空港への着陸態勢に入った。でも時間はしっかりシンガポール時間で15時30分を回ったところである。もしあなたが“最新鋭の翼とやさしいおもてなし”の最前線を感じたいのなら、787‐10はその候補の筆頭であることは間違いない。

“最新鋭の翼とやさしいおもてなし”をポリシーとするシンガポール航空の名古屋(中部)〜シンガポール線は2019 年10月、就航30周年を迎えた。 この記念すべき年に名古屋線へ投入されているのは、同社がアジア域内用として導入を進めるボーイング787-10。 いつ乗っても期待を裏切らない安定のホスピタリティは、ますます磨きがかかっている。 ※この記事は 『航空旅行vol.31』(2019年10月発売)から抜粋・再編集したものです。

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