ニュース

羽田空港第1ターミナル「北側サテライト」が9月1日供用開始、日本最長100mの旅客搭乗橋を含むスポット6か所新設

羽田空港第1ターミナルの北側で整備が進められてきた「第1ターミナル北側サテライト」。いよいよ9月1日に供用が開始される。供用に先立ち開催された内覧会で施設の全貌を見る。

文:多和田新也(編集部) 写真:多和田新也(編集部)
X Facebook LINE
羽田空港第1ターミナル北側サテライトが9月1日供用開始。
日本空港ビルデング 上席常務執行役員 旅客ターミナル運営本部長 炭本 悟氏、JAL 執行役員 東京空港支店長の斉藤久美子氏と、羽田空港コンシェルジュ、第1ターミナルを利用するJAL、スカイマーク、スターフライヤーの客室乗務員によるフォトセッション。

 日本空港ビルデングは、羽田空港第1ターミナルの北側で整備を進めてきた第1ターミナル北側サテライトを9月1日に供用開始する。第1ターミナルにおいては、1993年9月の供用開始以来初となる大規模な施設の拡張だ。

 この施設は、国が推進する首都圏空港機能の強化ならびに防災・減災対策に合わせて整備された。また、将来の航空需要拡大への対応や、旅客利便性のさらなる向上を図ることを目的としている。

 地上2階の高さにコンコース、ゲートラウンジを備えるほか、6つのスポットを備えた固定橋を整備したことで、オープンスポットの利用が減り、バス移動による負担の軽減にも寄与することが期待されている。

 8月25日に行なわれた内覧会では、日本空港ビルデング 上席常務執行役員 旅客ターミナル運営本部長の炭本 悟氏と、JAL 執行役員 東京空港支店長の斉藤久美子氏があいさつ。

 炭本氏は、国が進めているエプロンの耐震化工事の進捗に合わせて段階的に固定スポットが閉鎖されることへの対応や、将来の航空需要の拡大を見据えて旅客利便性の確保と向上を目指したものであるという背景を説明したうえで、「運用中のエプロンに隣接するという厳しい条件での工事であったが、空港オペレーションに大きな影響を与えることなく約2年の工期を経て5月末に竣工し、9月1日に供用開始を迎えることとなった」と述べた。

 また、羽田空港の将来について、第2ターミナルの国際線施設の増強や第1ターミナルの一部国際化、さらに第1ターミナルと第2ターミナルの接続といった、機能の拡張の検討を進めていることにも言及した。

 続いてあいさつに立った斉藤氏は、本施設について、これまでの第1ターミナルとはまったく異なる趣きの空間であると評価。本施設の利用に伴って従来より移動距離が長くなることへの対応として、9月1日より羽田空港を出発するすべての航空会社において、手荷物の預かり締め切り時間を出発20分前から出発30分前に変更し、確実な定時出発のための理解と協力を求めた。

日本空港ビルデング株式会社 上席常務執行役員 旅客ターミナル運営本部長 炭本 悟氏。
日本航空株式会社 執行役員 東京空港支店長の斉藤久美子氏。

 本施設の最大の特徴は、羽田空港で初となる「鉄骨造・木造ハイブリッド構造」を採用した点である。強度の高い鉄骨と、木材を組み合わせた工法を採用している。1階および固定橋の先端部は鉄骨造とし、2階より上部の連絡通路や固定橋のブリッジ部、北側サテライトの2階屋根構造などに木造を取り入れたハイブリッド構造となっている。構造材には国産のカラマツやスギを使用し、内装材の床や壁、天井の木質化にはナラやカバザクラなども活用されている。使用された木材は約1,800立方m、樹木に換算すると約10,000本分に相当し、これは国立競技場の木材使用量に匹敵する規模であるという。

 快適な空間づくりの一環として、24番から29番搭乗口へ向かう連絡通路には、「47 SCENTS OF JAPAN」プロジェクトによる香りの空間演出が施されている。歩みとともに「南の森」、「北の森」、「羽田の森」へと3つの香りが移ろう設計となっており、羽田空港と日本各地を香りでつないでいる。

 環境面においてもさまざまな特徴を備えている。建設時の二酸化炭素排出量を約2,600トン削減したほか、高い省エネルギー性能を備えた大規模建築物に与えられる国の認証「ZEB Oriented」を取得した。太陽光発電パネルを導入し、年間約53万kWhを発電することで、施設内で消費する電気の約80%をまかない、一次エネルギー消費量を大幅に削減した環境配慮型の施設となっている。

 さらに、森林資源の循環と脱炭素社会の実現に向けた「Airport Forest Circle Project」の一環として、キッズスペースが設けられている。このキッズスペースには、ペットボトルのキャップを再利用した素材を取り入れた椅子や遊具が配置されている。また、空港内で育成した幼苗や循環木材を活用し、子供たちが木の素材に触れて自然に学べる場を提供している。

本館と北側サテライトを結ぶ連絡通路の本館側入口。
本館と北側サテライトを結ぶ連絡通路の本館側入口から奥を望む。
北側サテライトを連絡通路側から望む。
27番搭乗口に並ぶJALグループスタッフ。搭乗口は24番から29番が新設された。24番は当面使用せず、25番はスカイマークが使用、26~28番はJALグループが使用、29番はJAL/スカイマークが共用という運用になる。
北側サテライト全体にわたって木が多く使われた温もりのある空間が広がっている。
座席も多く用意されているうえ、AC電源、USB Type-A/C電源も各所に用意されている。

 ただし、本館からはかなり距離があるのも事実だ。保安検査場Fからサテライトへの連絡通路の入り口まで約310m、保安検査場Gからは約220m離れている。そこから連絡通路が約200m続き、北サテライト内の24番ゲートから28番/29番ゲートまでの距離は約350mとなる。

 館内にはゲートまでの距離を示すサインが多く設置されているほか、出発案内でも便ごとのスポットに加えて、表示位置から各ゲートまでの距離も情報提供している。

 ちなみに、29番スポットには日本最長となる長さ100mの旅客搭乗橋が採用されていることも特筆されるが、29番ゲートでの乗降時にはこの距離も移動する必要がある。

 施設では、移動距離が長くなることに配慮し、搭乗者の移動をサポートする新たなサービスや移動手段が導入されている。北側サテライト施設には計10基の動く歩道が設置されたほか、日本空港ビルデングが設立した研究開発拠点「terminal.0 HANEDA」の取り組みの一環として、自動走行モビリティ「iino」の発展型モデルが導入された。「iino」は車体幅をコンパクトに改良して2台がスムーズにすれ違える仕様となっており、無料で利用できる。さらに、自動運転サービス「WHILL」の運用エリアも北サテライトまで拡大された。

 このほか、26番ゲート付近にはカフェと一体型のカードラウンジ「FOREST LOUNGE」が新設されている。提携クレジットカードを持たない顧客もテイクアウトでドリンクやスイーツなどのカフェメニューを購入でき、ラウンジ内にはかつて空港で親しまれたフラップ式案内表示器をデジタルで再現した「ソラリー式 FIS」も設置されている。

 ちなみに連絡通路から北側サテライト内にかけては、このラウンジでのテイクアウトのほか、自動販売機がいくつか設置されている。売店としては、連絡通路手前の本館内、23番ゲート前にあるセブン-イレブンなどが最寄りとなる。

旅客搭乗橋はハの字に木材を配置。サテライト2階は水平の庇(ひさし)を設けることで日光を遮蔽している。
29番スポットは日本最長100mとなる、三菱重工業製の搭乗橋を設置。コの字型にレイアウトされている。
日本空港ビルデングのニュースリリースより、本館と北側サテライト間の移動距離。
北端の29番ゲート前に掲示された案内。南端の1番ゲートまでは1,510m(約1.5km)の距離となる。
連絡通路の本館側入口の案内表示。ゲートとともに移動距離も表示されている。
自動走行モビリティ「iino」や、自動運転サービス「WHILL」で移動の負担軽減を図る。
ペットボトルのキャップを再利用した素材を取り入れた椅子などを使用しているキッズスペース。
26番ゲート付近にあるカードラウンジ「FOREST LOUNGE」。提携カード所有者でなくてもテイクアウトのドリンクなどを購入可能。ラウンジ内は22席が設けられている。
FOREST LOUNGEでの提供メニュー。

関連キーワードもチェック!