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ANAの767BCF「JA8323」が最後の商業飛行。残るJA8000番台は1機に

日本の旅客機ではおなじみだったJA8000番台の登録記号。現在の「JA+2~3桁+アルファベット1~2文字」が民間エアラインに導入されてから25年ほど経ち、いよいよ残るJA8000番台は1機となった。

文:本誌編集部
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B滑走路に着陸後、北貨物地区に向けてタキシーするANAのボーイング767-300BCF、JA8323。

 ANAは10月31日、ボーイング767-300BCF、JA8323の商業飛行を終了した。最終便となったのはNH8490便、広州02時45分発→成田07時50分着の便で、7時30分ごろ、成田空港のB滑走路(RWY34R)に着陸。地上走行で第1ターミナル前を通過して、北貨物地区へと駐機した。

JA8323の登録記号。窓枠を埋めた跡がうっすら見えることが改修機であることを物語る。

 JA8323は1992年に旅客機の767-300ERとして導入、登録された機体で、旅客機時代は、国際チャーター便を運航するワールドエアーネットワーク(WAC)、エアーニッポン、エアージャパンと、ANA便名以外でも運用されてきた。特に1994年に関西国際空港が開港した際には、韓国などの短距離から、オセアニアなどの長距離路線まで幅広く飛べる機体として活躍。2000年の関西=ホノルル線就航時にも初便の機体として使われている。

 2000年代に入ると、ANAは貨物事業を本格化。ボーイング767Fを導入する一方で、初期に導入した4機の767-300ERを貨物機に改修。JA8323もその1機で、新たに767-300BCFとして活躍の場が与えられ、機体外装デザインも、時代とともにスタイルを変えている複数の「ANA CARGO」ロゴをまとうことになった。

1994年11月の関西=青島線就航時。当時はワールドエアーネットワーク(WAC)の共通事業機として運用されていた。(Photo:Ito Hisami)
2002年の成田=仁川線就航時。機首にANK(エアーニッポン)、胴体にAirJapan(エアージャパン)のロゴが記載されている。(Photo:Kokubo Yohichi)
2010年に貨物型へ改修され、ANA CARGOのロゴをまとって運航。2009年にANAグループ入りした国際物流会社、OCSのロゴを入れていた時期もある。(Photo:Fukazawa Akira)

 1992年の導入から30年以上にわたって、当時のANAが黎明期を脱して拡大期へ移行しようとしてきた国際線、貨物というそれぞれの事業で貢献してきた機体と言えるが、2024年に退役が続いているANAの767-300BCF、JA8000番台の機体は、いずれもこうした歴史を持つ機体だ。

 かつて日本の登録記号は「JA+機体の区分を示す1桁の数字+3桁の数字」と決まっており、航空会社の機体の多くがJA8000番台の登録記号を付けていた。その後、数字の枯渇が懸念されたため、1990年代に入って「JA+数字3桁または2桁+アルファベット1文字または2文字」というパターンが作られ(最初の機体は運輸省航空局のJA001G)、1990年代後半に民間エアラインにも導入されたのである。つまり、JA8000番台の機体は1990年代以前の機体ということであり、2024年も終わりを迎えようとしている現在、JA8000番台の機体の多くはすでに退役している。

 そして、今回のJA8323の退役により、残るJA8000番台の機体は、同じANAの767-300BCF、JA8970のみとなった。

日本の旅客機ではおなじみだったJA8000番台の登録記号。現在の「JA+2~3桁+アルファベット1~2文字」が民間エアラインに導入されてから25年ほど経ち、いよいよ残るJA8000番台は1機となった。

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