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真新しいカリッタエアのボーイング777-300ERSF、そのシップサイドで笑顔を見せるWABの峯さん(写真右)と小泉さん(左)。発着の許可申請から燃料の手配、クルー対応まで、WABは幅広く運航支援業務を手がける。
大型貨物機によるチャーター便への対応もWABが得意とするところ。ボーイング747フレイターを運航するマグマ・アビエーションなど、世界各地のオペレーターも絶大な信頼を寄せる。
到着した機体のシップサイドで待機するWABのワゴン車。クルーのサポートやスタッフの移動用車両を見ても、汚れひとつ見当たらない。これも企業姿勢の表れと言えるだろう。
WAB代表取締役の犬塚耕一氏。自身も、ガルフストリームのコントロールホイールを握ったパイロットとしての経験を有する。パイロット時代はもちろん、その後の商社や運航支援会社などで得た豊富な経験が、WABの理念にも活かされている。
コクピットでのブリーフィングでは、フライトプランや貨物の搭載プラン、燃料搭載量の確認といった情報をクルーと共有する。一定以上の語学力と日々の努力が欠かせない職場だ。
日本における総代理店として業務を請け負うカリッタエア機では、カーゴ室に搭載されるULDのポジション確認や固定状態のチェックといった監督業務も行なう。
旅客機としては目にする機会が減ったボーイング747だが、貨物機の世界では現在も第一線で活躍中。その美しく、堂々とした姿を間近に見ることができるのも運航支援業務の最前線に立つ醍醐味だ。
成田に到着したカーゴジェットのパイロットと撮影に応じるWAB代表の犬塚氏(写真右)。WABのスタッフと顔なじみのクルーも少なくないと言い、機側ではこのようなシーンも数多く見られた。
カリッタエアとともに、日本総代理店を務めるナショナルエアラインズ。成田空港にもボーイング747によるチャーター便がしばしば飛来しており、その運航をWABが支えている。
Photo:Airline
カナダを拠点とするカーゴジェットは成田でもお馴染みの存在。テクニカルランディングを主とした寄港であり、貨物の搭降載を行なわないフライトも多い。
到着直後、コクピットにてパイロットとブリーフィングを行なう2025年入社の小野さん。フライトプランや燃料搭載量、機体トラブルがないかなどの確認を行ない、関連するドキュメントを受け取る。
スポットではパッセンジャーステップ車の装着など、グランドハンドリング委託先のスタッフとの打ち合わせを行ない、到着および出発の準備作業にあたる。
撮影初日、臨時便を合わせるとカーゴジェットだけで3機の到着・出発に対応。いずれの便も大きな遅れやトラブルはなく、無事に出発を見守った。この瞬間こそが感無量だとWABのスタッフたちは口をそろえる。
WAB株式会社 航空事業部
小野紘之介さん
13時間のフライトを経てシンシナティから成田へと到着したカリッタエアのボーイング777-300ERSF。定刻より4時間遅れであったが、こうしたイレギュラー時における調整もWABが担っている。
ボーイング777-300ERSFの胴体後部、カーゴドアから臨む隣の駐機スポットでは、同じく747-400Fへの搭降載作業が進む。それら全体の業務を監督し、総代理店として取りまとめるのがWABスタッフたちの仕事だ。
自身も飛行機ファンという峯さんは責任者として搭降載作業に立ち会う。作業の合間には「ベースが777-300ERですから、カーゴ室は驚くほどの広さですよ」と微笑む。
機内ではクルーとのブリーフィング、搭載貨物のチェックのほか、飲料水の残量なども細かく確認する。峯さんは「さまざまな機体に触れる機会があるのも、WABの魅力です」と語る。
N779CKはIAIでの改修を経て、就航からまだ1か月ほどとあって、機体は新造機さながらの美しさ。カリッタエアはJALとの共同運航を実施するほか、ANA向けの貨物スペース提供も行なっている。
日本への飛来は珍しいマグマ・アビエーションは、ヨーロッパを拠点に定期貨物便やチャーター運航を手がけている。飛来したのは元ニュージーランド航空のボーイング747-400で、イスラエルのIAIが貨物型へと改修したTF-AMNだ。
このフライトには貨物の搭降載作業の指揮・監督を行なうフライング・ロードマスターや整備士が帯同。WABとの細部調整のほか、新たな業務オーダーが発生することもあるという。
機体後部のカーゴドアから貨物室に運び込まれるのは、日本公演を行なった海外アーティストのステージ機材。次の公演開催地である中東へ向けてのチャーター運航である。
96インチパレットで30台が搭載できるボーイング747フレイターのメインデッキにステージ機材を搭載。複雑な形状のものもあり、パレットへの積み付けにも工夫が感じられる。
今回のフライトは13時40分頃に成田に到着、17時40分頃の出発というスケジュール。4時間ほどのターンアラウンドタイムであったが、作業はスムーズに完了。ボーイング747の機体には美しい秋の空が反射していた。
予定通り17時40分にスポットを離れたTF-AMN。犬塚氏とスタッフの見送りを受けた機体は誘導路へと進み、RWY34LからUAEへと飛び立った。
WAB株式会社 航空事業部
中野裕子さん
WAB株式会社 航空事業部
クルス優喜さん
世界各国から来日するVIPや国賓フライトへの対応もWABが得意とするところ。中東からの王族来日では随行員も含めると数百名規模、複数の大型機が使用されることも珍しくない。
Photo:WAB
ガルフストリームIVの前に止められたWABの社用車には“TMT”のロゴ。これはボクシング世界5階級制覇王者として知られるフロイド・メイウェザー氏のブランドロゴで、同氏来日時のワンシーンだ。WABはさまざまなプライベート機を扱う。
Photo:WAB
WAB成田支店は貨物便やビジネスジェットを受け入れる最前線。スタッフは貨物機で業務の幅をひろげ、やがては細かい調整が必要となるプライベート機も扱うようになるという。また、海外顧客への対応のため英語力は欠かせない。
コロナ禍の最初期、大きなニュースとなったクルーズ船のアメリカ人乗客をレスキューするために2機のカリッタエア機が飛来した。このときも外務省や厚生労働省、米国大使館との調整、運航の対応においてはWABが大きな役割を果たした。
Photo:WAB
救援フライト機の貨物室内には座席を固定したほか、ICUに準じた病室も設置、日本赤十字社から毛布などの提供を受け乗客を迎えた。一連の作業では防護服を着用。JALとともに対応にあたり、WABはカリッタエアの日本総代理店として、アメリカ大使館から感謝状を授与されている。
Photo:WAB
VIP機のオペレーションでは中東の王族によるチャーターフライトへの対応も行なったという犬塚氏。これまでは少数精鋭による運航支援ビジネスを展開してきたが、今後は人員の補強や事業の拡大など、新たなフェーズに進みたいと力強く語っていた。