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機体洗浄をロボットと人の協働作業で。JAL、プログラム制御の「リモコン式機体洗浄ロボット」導入
JALは、プログラム制御機能を搭載した「リモコン式機体洗浄ロボット」を成田空港で公開した。夜間の手作業による身体的負荷や高所作業リスクの軽減を図り、人間と機械が協働する作業体制により作業環境の改善を進める方針だ。
JALは、プログラム制御機能を備えたリモコン式機体洗浄ロボットを成田空港へ導入し、その作業を公開した。国内エアラインとして同種の協働型ロボットを導入するのは初めての事例となる。
現在、JALグランドサービスの担当者3名がトレーニングを受けており、2026年内の本格運用開始を目指して取り組みが進められている。JALでは約30年前にも有線リモコン式の機体洗浄機による効率化を試みたが継続運用に至らなかった経過があり、最新の制御技術を搭載して人間と協働する作業支援機として、約30年ぶりに再挑戦する形となる。
機体の汚れの付着は、美観を損なうだけでなく、空気抵抗の増大による燃費悪化などの性能にも影響をおよぼす。機体外部の洗浄作業は不可欠なものであるが、これまでは夜間帯に専門スタッフが長い柄の付いたモップや専用洗剤を用い、手作業で行なってきた。
JALのボーイング787であれば、高所作業車を使用して1チーム8名体制でおよそ6時間かけて洗浄を実施している。巨大な機体の広大な表面積を人力で洗うため身体的負荷が大きく、高所作業のリスクや化学物質および洗剤への直接接触リスクが課題となっていた。
今回公開されたロボット「AW3」はスウェーデンのAerowash AB製で、寸法は全長8m、全幅2.3m、全高2.5mとなる。完全電動で駆動源には鉛バッテリーを採用。4輪操舵(4WS)により狭い駐機場でも全方向への移動が可能だ。ボーイング737などのナローボディ機から、787や767、エアバスA350などのワイドボディ機まで対応する。
アーム先端の高さは最大20mに達し、先端にはカメラが設置されているため、作業者は手元の端末を通じて洗浄状況を確認できる。また、機体に接触する3本の爪状センサーや角度センサー、側面の黒いゴム部分にセンサーを備え、安全性を確保している。
導入にあたってのプロジェクトは2019年から開始され、機体メーカーであるボーイングやエアバスの承認取得を含めて約7年の期間を要した。JALグランドハンドリング企画部の村上 忠マネージャーは、機種決定の決め手について「一番の決定打は納期。鉛バッテリーを採用しているため貨物機での空輸が可能であった。船便では中東情勢の影響もあって到着まで時間がかかるが、空輸できたことが大きかった」と説明した。
洗浄に際しては、対象機種の機体表面の洗浄部位をプログラムで選択する。作業者が手元の端末でボタンを長押しすると、アームが登録済みの機体表面の近傍まで自動で接近。そして、機体に近接する最終段階では作業員が手元で繊細な微調整を行なう協働設計となっている。
その後は、回転ブラシから水と洗剤を自動で連続噴射してブラッシングを行なう。ブラシ先端は180度回転し、機体の形状に合わせた洗浄が可能だ。洗浄終了後はボタン一つでアームが縮小し、最もコンパクトなトランスポートモードへ原点復帰する。
なお、垂直尾翼のスタビライザー部分や、アンテナ類がある場所や機首の特定の箇所などロボットでの洗浄で対応できない部位については、引き続き手作業での洗浄が行なわれる。
本ロボットの導入により、メーカー値ベースで1機あたりの洗浄工数を最大4割削減できるほか、使用水量を最大50%削減し、電動化によるCO2排出量の削減(ゼロエミッション)が見込まれている。また、高所作業や長時間の力仕事による身体的負荷を軽減する。
現場で20年以上手作業に従事してきたJALグランドサービスの須賀原 理彦 専任係長は、「ブラシを当てた感覚としては手と同等、もしくはそれ以上でコントロールできると実感している」と評価。さらに「肉体的な負担が大きい仕事が苦手でも、こういった作業で力を発揮できるようになり、活躍の場が広がる」と期待を述べた。村上マネージャーも「約7年越しでやっと導入でき、いい日だと思う」と語り、作業者の働き方改革の推進に向けた想いを明かした。
JALは成田空港での運用を皮切りに、今後は教官となるスタッフから他のオペレーターへ訓練を波及させていく。成田空港での検証を重ねたうえで、JTAが拠点とする沖縄やJ-AIRが拠点とする大阪など、JALグループ内の他空港への展開についても検討を進めていく計画だ。
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