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ANAとJALがJR西日本と連携協定を締結。航空と鉄道がタッグを組んで西日本の社会課題解決を

鉄道と航空が垣根を越え、西日本の地域課題解決に挑む! JR西日本とANA、JALが、シームレスな移動や広域観光の創出を通じて、インバウンド誘客と地域活性化の両立を目指すべす、連携協定を締結した。

文:本誌編集部
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 西日本旅客鉄道(JR西日本)は4月30日、ANA、JALそれぞれと「西日本エリアの社会課題解決に向けた連携強化」に関する協定を締結した。人口減少や地方の活性化といった課題に対し、鉄道と航空の強みを組み合わせた「移動体験の共創エコシステム」の構築を目指すものとなる。

 協定では、航空2社が有する国内外のネットワークと、JR西日本が持つ地域に根ざした鉄道網や知見を融合させる。ANA、JAL共通の目的として、鉄道と航空のシームレスな予約による利便性の向上、広域観光ルートの構築によるインバウンドの地方誘致、そして二地域居住の推進による関係人口の拡大を掲げている。これにより、地方誘客の促進と地域経済の活性化の両立を図る。

 ANAとJR西日本はこれまでにも2024年3月からMaaS分野での提携を開始している。JR西日本のインターネット予約サービス「e5489」とANAのMaaSプラットフォーム「旅CUBE」のサービス連携により、相互の経路検索からチケットが購入できる環境を整えている。

 今回の提携ではこの枠組みをさらに進化させ、2030年代を目途に、各社それぞれの会員IDで自社の予約システムから鉄道と航空の両方が予約・決済できる仕組みの実現を目指す。第一段階として、インバウンド旅客向けに「Travel CUBE」とJR西日本の海外向け予約サービスを連携させる。

 JALとJR西日本では、2016年に実施された「JAL&はるか」や、2024年9月に発表された南紀白浜エリアでの旅行商品で協力した実績がある。今回の協定では、この第一弾の取り組みとして、和歌山エリアをモデルケースとした協業の実施が決まっている。具体的には、2026年6月から、JALの羽田・南紀白浜便とJR西日本の新たな鉄道周遊パス「WEST QR 関西・南紀エリアパス」をセットにした訪日旅行商品を販売する。

 さらに2026年10月からは、特急「くろしお」の車内でJALの客室乗務員が地元案内や食体験を提供する「JAL くろしお」の運行を予定している。和歌山県が、航空、鉄道の両社とそれぞれ包括連携協定を結んでいる縁もあり、鉄道だけではアクセスの時間を要する紀南エリアへの誘客を、空路と鉄道のシームレスな接続によって実現する狙いがある。

JR西日本が目指す複数のモーダルを組み合わせた移動体験の提供イメージ。(JR西日本 中期経営計画の資料より)

 4月30日に開催された締結式では、各社の代表者から決意が述べられた。JR西日本の奥田英雄 取締役兼専務執行役員は、今回の協定を単なる協力関係を超えた「移動体験の共創エコシステム」と定義した。中期経営計画に掲げた「一人ひとりに最適化された移動体験」の実現に向け、広域な移動サービスを担う航空会社との共創により、国内外からの誘客や地域課題の解決を推進する姿勢を示した。

 ANAの石井智二 取締役専務執行役員は、構造的な課題である人口減少や少子高齢化に対し、インバウンド需要を日本経済を牽引するエンジンと位置付けた。そのうえで、2030年に訪日客6,000万人達成という政府目標を見据え、大都市圏だけでなく地域へ足を運んでもらうために、航空・鉄道・自治体・広域DMOが連携して「点でなく面で魅力を発信すること」の重要性を強調した。

西日本旅客鉄道株式会社 取締役兼専務執行役員 マーケティング本部長 奥田英雄氏(左)と、全日本空輸株式会社 取締役専務執行役員 石井智二氏(右)。(Photo:JR西日本)

 また、JALを代表して登壇した宮坂久美子 執行役員 西日本支社長は、これまで個別に取り組んできた地域活性化の活動を、今回の協定によってより強固なものにできるとの期待を寄せた。

 特に、和歌山県との三者間での強力な連携体制に触れ、JALが強みとする「おもてなし」の心や客室乗務員の知見を鉄道の旅に融合させることで、西日本エリアの魅力を国内外に発信し、オーバーツーリズムの解消や地方へのさらなる誘客、そして持続可能な地域社会の実現に貢献していく決意を述べた。

西日本旅客鉄道株式会社 取締役兼専務執行役員 マーケティング本部長 奥田英雄氏(左)と日本航空株式会社 常務執行役員 西日本支社長 宮坂久美子氏(右)。(Photo:JR西日本)

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