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国際旅客と非航空事業が牽引、JALの2025年度決算は売上収益2兆125億円
JALが過去最高益を更新。旅客需要が追い風となったほか、非航空事業の成長も寄与し、収益構造の変革が着実に進んでいる。さらに燃油高騰という不透明要因を抱えつつも、2035年を見据えた成長戦略を見据える。
JALは4月30日、2025年度(2026年3月期)の連結業績を発表した。旺盛な旅客需要の取り込みと非航空事業の構造改革が進展した結果、売上収益は再上場後で最高となり、各項目も過去最高を更新した。また、会見では中期経営計画の目標達成に加え、新たな資本政策や提携を通じた2035年に向けての成長戦略が示された。
連結業績は、売上収益が2兆125億円(前年比9.1%増)となり、再上場後の最高収益を達成。利益面でもEBITが2,180億円(前年比26.4%増)、純利益は1,376億円となり、過去最高益を記録した。
また、EBITマージン(売上高利益率)10.8%、ROIC(投資利益率)9.5%、EPS(1株あたり純利益)306円といった結果に、JAL 代表取締役副社長 執行役員/グループCFOの斎藤祐二氏は「2021年度からの5か年中期経営計画の最終年度にあたる本年、財務目標をすべて達成した」と述べた。この好成績の背景には、3月2日に公表した業績予想を上回るEBITプラス130億円の上方修正が含まれており、堅調な需要獲得が利益を押し上げた形である。
JALのフルサービスキャリア事業の売上収益は1兆5,874億円(前年比9.3%増)、EBITは1,450億円(前年比30.5%増)となった。
このうち、国際旅客収入は7,600億円(前年比9.1%増)に達している。旺盛なインバウンド需要を確実に捉えたことに加え、日本発のビジネス需要の回復によるもので、供給の伸びを上回る旅客数の伸びを示した。また、国内旅客収入は6,090億円(前年比6.6%増)で、旅客数は前年比5.8%増と推移。高い利用率を背景としたレベニューマネジメントが効果を発揮したとする。
貨物郵便事業では、自社貨物機の増便やカリッタ・エアなど他社大型機の活用によって供給を拡充し、成長著しいアジア・北米間の需要を獲得。国際貨物収入は1,496億円(前年比21.3%増)と大きな伸長を見せている。
LCC事業の売上収益は1,149億円(前年比10.4%増)を確保したものの、EBITは前年比17.1%減の96億円となった。ZIPAIRはインバウンド需要の取り込みが一時伸び悩んだが、下期以降に価格戦略で需要を回復。SPRING JAPANは北京、上海を中心とする需要を取り込み、旅客数、単価ともに伸ばした。
マイル・金融・コマース事業は、売上収益が2,222億円(前年比10.9%増)、EBITが455億円(前年比19.5%増)と増収増益であった。JALカードの決済額増加や、グローバル提携を通じたマイル発行機会の拡大が成長を牽引したという。その他の事業では、グランドハンドリングの受託単価が堅調に推移し、売上収益は2,590億円(前年比2.7%増)、EBITは191億円となった。
なお、同事業においては、同日にライフネット生命との資本業務提携が発表されている。斎藤副社長は、マイル事業に保険ビジネスを加えることで、マイレージ顧客基盤の拡大と事業成長につなげたいと語り、非航空事業のさらなる成長を目指す姿勢を強調した。
2026年度(2027年3月期)の業績予想については、連結売上収益2兆950億円、EBIT 1,800億円、当期利益1,100億円と、3月に発表したグループ経営ビジョン2035の数値を据え置いた。中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰が懸念材料であり、航空燃料費の高騰が継続した場合、月間約280億円の費用増となる見通しであると説明した。
質疑応答において、この次年度の読みについて問われると、燃油価格が高騰しているが、サーチャージや政府の支援で一定程度の打ち返しができると述べる。加えて、現在は毎月100億円ほど計画より収入が強い状況が続いており、需要の強さで挽回可能であるとし、厳しい環境下でも目標達成に自信を見せた。
さらに質疑応答のなかで、現在の燃油高騰レベルでは第1四半期で月間約280億円の費用増となっていると明かした。これに対し、政府による月間約50億円弱の補助や燃油サーチャージ、そして計画比で月間約100億円にのぼる強い需要を考慮すると「第1四半期でおよそ1か月110億円のインパクト」になるとの見通しを示した。ただし、このマイナス影響についても「7月以降は(前倒しで5月から改定する)サーチャージの値上げ分が取れてくるため、相当数下がってくる」と補足している。
また、新しく発行を決めた2,000億円の社債型種類株式の使途については「5年間で2兆円を超える成長投資の資金として活用し、その多くは機材購入に充てられる」とした。既存株主の希薄化を避けつつ、2030年度にEBIT 3,000億円を実現するための機材更新や戦略投資を加速させる方針だ。
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