連載
貨物専用機に窓がないのは理由がある~ 連載【月刊エアライン副読本】

【連載】ヒコーキがもっと面白くなる! 月刊エアライン副読本
「空のエンターテインメント・メディア」として航空ファンの皆さまの好奇心と探究心にお応えすべく、航空の最前線、最先端技術などを伝えている月刊エアライン。そんな弊誌でテクニカルな記事や現場のレポートを中心に執筆に携わる阿施光南氏が、専門用語やテクノロジーをやさしく紹介するオリジナルコラムです。
フレイター(貨物専用機)には、中古の旅客機から改造されるものも多い。型式名でいえばBCFとかP2Fといった記号が付与されているものなどだ。これらは新型機よりも燃費は劣るし整備費もかさむが、価格が安ければ需要はある。
主な改造点は大型カーゴドアの取り付け、シートやラバトリー、ギャレー、オーバーヘッドビンなど乗客用装備の撤去、クルー用以外のドアの無効化、床面の補強や貨物を移動・固定するためのローラーなどの設置、そして不時着などの衝撃でも貨物がコクピットを押しつぶさないようにする頑丈なバリアーの設置などだ。
さらに客室窓はアルミ合金製のパネル(プラグという)に交換されるが、これは手間と費用に見合うものだろうか。
確かに最初からフレイターとして作られた機体には客室窓がない。貨物に景色は必要ないし、窓のための補強をなくせば軽く作れるからだ。
しかし、すでに窓のある(補強済の)旅客機の構造を大々的に作り直すのは現実的ではないし、もちろん窓を残したままでも運航に問題はない。窓をなくすにしても、上から色を塗るだけの方がずっと簡単だ。
それでもわざわざプラグに交換するのは、その後の整備の手間を小さくでき、少しは機体を軽くできるためだ。
旅客機の客室窓は、それぞれ1枚だけでも与圧に耐えられるアクリル板2枚と、強度のない保護層からできている。アクリルはプラスチックとしては優れた耐候性を持つが、傷がつきやすいために定期的な点検(場合によっては交換)が必要だ。しかしアルミ合金製のプラグにすれば、ほとんど整備の手間は必要なくなる。
比重はアルミ合金が約2.7、アクリルは約1.2だから、同じ大きさ、厚みならばアルミ合金の方が重くなる。しかしアルミ合金は強度が高いため、アクリルよりも薄くできる。
一般的な旅客機窓では、外側のアクリルが約9㎜、内側が約6㎜、保護層が約1㎜の合計16㎜といったところだ。しかしアルミ合金ならば厚さ2㎜程度(周囲の胴体と同程度)の板1枚ですむから、アクリルよりも軽くできるのである。
こうしたプラグを製造しているライトエア社の資料によると、747-400や767-300の窓は1か所あたり1.2kgも軽量化できるという。747-400ならば1機で約230kgの軽量化になり、年間消費燃料を約4万2800L削減できる(1日の可動時間を10.2時間とした場合)。これに加えて、窓の点検整備の費用も節約できるわけだ。
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