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着陸進入時の騒音は、ランディングギアなどによる「空力騒音」が主要因~ 連載【月刊エアライン副読本】

【連載】ヒコーキがもっと面白くなる! 月刊エアライン副読本
「空のエンターテインメント・メディア」として航空ファンの皆さまの好奇心と探究心にお応えすべく、航空の最前線、最先端技術などを伝えている月刊エアライン。そんな弊誌でテクニカルな記事や現場のレポートを中心に執筆に携わる阿施光南氏が、専門用語やテクノロジーをやさしく紹介するオリジナルコラムです。
新しい旅客機のエンジンは、いずれも燃費がよくなっているだけでなく、騒音も低くなっている。
それを実感できるのが、たとえば羽田空港の新整備場駅だ。モノレールの駅を出ると目の前が誘導路であり、エンジンまでの距離は約50mしかない。もちろんタキシング中なので出力は低いが、それでも新型旅客機は静かだなと分かるし、大出力の離陸時でも新型機ほど静かになっている。
一方で着陸進入機については、それほどの差は感じられない。どんなにエンジンが静かになっても、それ以外の騒音の比率が高いからだ。
たとえばボーイング787の場合、着陸進入コースの下で聞こえる音のうち、エンジンが原因となるのは約24%にすぎず、あとはランディングギア(34%)やスラット(28%)、フラップ(14%)などの風切り音、つまり空力的な騒音であるという。
こうした音のエネルギーは、風速の5~6乗とされている。
気象庁が「電線が音をたてはじめる」とする「強い風」は風速15~20m/sec(54~72km/h)だ。旅客機の進入速度はその約4倍だから、さらに5~6乗するとエネルギーは数千倍にもなる。それがそのまま音の大きさを示すわけではないが、決して侮ることはできない。
そこでJAXAなどの研究機関やメーカーは、コンピューターによる流れの解析(CFD)や風洞試験、あるいは実機を使った飛行試験を含めた静寂化の研究を進めているが、まだこれといった解決策はない。
たとえばランディングギアにフェアリングをつければ騒音を抑制できるが、それで整備点検や整備、ブレーキの冷却に支障があってはならない。もちろん機内に格納できなくなっても困る。
スラットは内側を成形して流れを整えれば騒音を減らせることがわかっているが、そのままでは主翼にぴたりと収まらなくなってしまうから何らかの仕組みが必要だ。
フラップは端にできる渦が大きな騒音の原因になるため、ここにウイングレットのような板を追加したり、下げたフラップの端が滑らかに主翼下面につながるような仕組みも考えられているが、どれも実現するためには課題が多い。
いずれにせよ、将来の旅客機がさらなる低騒音化をするためには、エンジンの静寂化だけでなく空力的な対策も必要になる。たとえば747が新型のダッシュ8(747-8)でフラップを簡素化(段数の削減)した理由のひとつも、空力的な騒音を小さくするためだろう。
ちなみにこうした風切り音が問題となるのは、主に着陸進入時だ。
離陸時にはすぐにランディングギアを格納してしまうし、フラップの角度も着陸進入時よりも小さい。しかも高度が高くなる(地面から遠ざかる)のも早いため、あまり影響がない。
それに対して着陸進入時は浅い角度で低空を長く飛び、早くからランディングギアを降ろし、フラップの角度も深いから騒音の影響が大きくなってしまうのである。
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