日本航空 ロサンゼルス空港所
エアポートオペレーションズ(整備)
整備長 禹 鐘雄(ウ・ジョンウン)さん
2007年にJALエンジニアリングの前身であるJAL航空機整備東京に入社。2012年に737の一等航空整備士の資格を取得し、翌13年にはライン確認主任者資格を取得。間接部門での支店サポートや、5年間のセントレア勤務などを経ながら、787、777、A350の資格も取得した。2023年4月にサンフランシスコ、同年12月にロサンゼルス空港所に赴任してJAL国際線の運航を支える。
パリからのJAL46便として羽田空港に到着したA350-1000(JA02WJ)。約2時間後には、ニューヨーク行きJL04便として出発する。
アメリカ駐在も3年目となり、久しぶりに触れることとなるA350の作業手順を再確認していく禹さん。またロサンゼルスのスタッフのために、整備以外の作業についても確認していく。
エンジンへの潤滑油の補充作業。国際線用のA350-1000には、国内線用のA350-900が装備するTrent XWB-84よりも推力が大きいTrent XWB-97が装備されている。
胴体の長さとともにA350-1000の大きな特徴である6輪ボギーのメインギア。タイヤの数が増えているだけでなく、タイヤ同士の間隔などもA350-900とは変わっている。
乗客全員が降機したあと、機内に入る。ターンアラウンドは2時間足らずで、機内で作業できる時間は1時間半に満たない。文字通り1分1秒を争う忙しさだ。
コクピットでは、ディスプレイに整備用の情報を呼び出して、機体の状況を確認する。導入当初と比べるとタッチパネルの装備など、さまざまな機能がつけ加えられている。
OJTインストラクターの野村博俊さんは、これまでのキャビンシステムの不具合発生の傾向やその対処方法などを熟知した、A350の生き字引のような整備士だという。
CA用のコントロールパネルでIFEの操作などについて確認する。機内Wi-Fiやインターネット接続のための衛星通信などもここでコントロールできる。
特に長距離路線でのIFE不調は大きなサービス低下へとつながる。原因はハードかソフトか、そのリカバリーはどうすればいいか、短時間での判断と対応が求められる。
機内清掃をするスタッフにも声をかけて動画を撮影させてもらう。これもロサンゼルスのクリーニングスタッフに説明するための参考資料として使われる。
乗客のボーディング開始前には再びエプロンに降りて、出発前の最終確認を行なう。GPU(外部電源)の取り外しや各パネルの確実な閉鎖と固定などを確認していく。
同僚整備士やグランドハンドリングスタッフからも、A350-1000について気づいたことなどを積極的に聞いていく。ちょっとしたことであっても、貴重なノウハウだ。
主にボーイング機を扱ってきたアメリカン航空の整備士やグランドハンドリングスタッフに、A350ならではのポイントを説明するための画像や動画を撮っていく。
パリから到着して、わずか2時間ほどで今度はニューヨークに向けて出発するA350-1000。6月30日からは、5番目の路線として羽田=ロサンゼルス線にも就航する。