航空旅行

北極経由のフィンエアーに乗って羽田からヘルシンキへ

現在、『航空旅行』のX(旧Twitter)で、取材の模様はリアルタイムでレポートしていますが、
フィンエアーで羽田からヘルシンキに飛びました。
背もたれがリクライニングしないという、
従来の常識を覆す斬新なビジネスクラスシート「AirLounge」に搭乗しましたので、
そのインプレッションをお届けします。

文:本城善也 Text by Yoshiya Honjo  写真:本城善也(特記以外) Photos by Yoshiya Honjo
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日本路線は全便が最新鋭のエアバスA350-900で運航

 フィンエアーは、”日本からもっとも近いヨーロッパ”を売りに、日本路線を非常に重視しているエアラインです。
 今回は羽田~ヘルシンキ線に搭乗しましたが、この3月末から始まる夏スケジュールでは成田線と関西線を増便、5月31日からは中部線の運航も再開するなど、コロナ禍でのマイナスを取り戻すような反転攻勢が始まりました。特に再びヨーロッパまでダイレクトに飛べるようになる中部線は、名古屋圏の皆さんにとっては朗報でしょう。
 機材は、今回の羽田線でも搭乗しましたが、日本路線は全便がキャビンを一新した最新のエアバスA350-900で運航されています。一人当たりのスペースは、どうしてもクラスごとに差はでてしまうものの、動きがスムーズな個人用モニターだったり、各席にスマホのバッテリー残量を気にしたりする必要がなくなる充電設備が全席についているのは最新鋭機材ならではのメリットです。
 ただ、一つ残念なのが、ロシアのウクライナ侵攻により始まった戦争の影響で、これにより日本とヨーロッパを結ぶ西側のエアラインはロシア上空を通過するルートを取りやめているわけですが、フィンエアーも北極を経由する北回りか、アジアを横断する南回りを選択せざるを得なくなっています。搭乗した羽田発ヘルシンキ行き、AY62便のフライトマップをアップしましたが、ロシアを避けるように大きく迂回しているのがお分かりいただけるかと思います。ロシア上空を通過すれば約9時間で結ばれる日本~ヘルシンキ間も、現在は約4時間長い約13時間です。

従来のシートと同じ概念で考えてはいけない「AirLounge」

 A350-900のキャビンで注目したいのは、ビジネスクラスの「AirLounge」と呼ぶ最新シートです。
 こちらの「AirLounge」も写真をアップしましたが、何か違和感がありませんか?従来のシートとは異なり、背もたれが固定式で、リクライニングしない機構になっているのです。
 もしかすると鉄道好きの人でないとわかりにくい例えかもしれませんが、固定式の背もたれというと旧型客車のようで、ビジネスクラスなのに大丈夫だろうか…と勝手に不安を抱いていたのですが、実際に乗ってみると、百聞は一見しかず、でした。座った瞬間にこのシートが実によく考えられて作られていることがわかり、そして何より快適だったのです。
 まず「AirLounge」は、従来のシートの概念で捉えてはいけないと思いました。”航空機のシート”というよりは、家具屋で売っている”ソファ”と考えるべきです。ソファは、ベッドになる機能を付加させるとか、座ること以外の目的を持たせない限り、背もたれはリクライニングしないですよね。「AirLounge」はまさにこの発想で、座り心地が最高のソファを、航空機用のシートにした、という感じがしました。
 背もたれは固定式ですが、座った瞬間にもっとも心地よく感じる角度であり、この体勢で、従来のシートではアップライトポジションに戻すように指示される離着陸時を始め、目的地までずっと過ごせるのはむしろメリットです。
 そしてもう一つ特筆すべきは横幅です。
 こちらは実際にメジャーを持って搭乗し、測ってみたのですが、もっとも広い部分で約94cmもありました。この広い部分が、シートをフルフラットにしたときに足が乗る部分で、あぐらをかいたり、立膝の姿勢になってみたりと、実に自由に自分の好きな体勢を取ることができるのです。姿勢に対しての自由度が極めて高いと言えます。靴を脱ぎ、畳で過ごす文化がある我々日本人には、特に快適に感じられるのではないでしょうか。
 エアラインにとってもメリットが大きく、リクライニング機構をなくしたことでシートの重量が軽くなり、故障するといったこともありません。
 このフィンエアーのレポートは、引き続きこの「AIRLINE web」の他、7月末に発売予定の紙版の『航空旅行』でもお伝えしていきますので、ぜひご覧いただけると幸いです。

現在、『航空旅行』のX(旧Twitter)で、取材の模様はリアルタイムでレポートしていますが、 フィンエアーで羽田からヘルシンキに飛びました。 背もたれがリクライニングしないという、 従来の常識を覆す斬新なビジネスクラスシート「AirLounge」に搭乗しましたので、 そのインプレッションをお届けします。

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