音速の影響を減らし、横安定も強化する後退翼にも欠点が。
多くの旅客機は前縁と後縁が平行ではないため、後退角という場合には前縁から25%のラインの角度を示すのが普通だ。
エアバスA400Mは、プロペラ機ながら780km/hという高速で巡航できるよう主翼には15度の後退角がつけられている。さらに日本にも就航していたツポレフTu-114はジェット機なみの870km/hという速度を誇ったため、主翼にも35度という大きな後退角がつけられた。
737NGの派生型であるP-8哨戒機。後退翼では主翼上面の低圧部が翼端に向けて後方に移動していくため、気流は翼端部に向けて流されていく。
旅客機の重心は主脚のやや前方にある。翼端はそれよりずっと後方にあるため、ここが失速すると急激に機首を上げることになる。
A350はエンジンより内側の主翼前縁にドループノーズ、外側には失速を防止するためのスラットを装備している。
35度の後退角を持つMiG-15は主翼上面にフェンスを立てて、翼端に向かおうとする気流の流れを抑制している。
TOP連載一覧音速の影響を減らし、横安定も強化する後退翼の設計 ~ 連載【月刊エアライン副読本】