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ANAスーパーフライヤーズカード制度の再変更内容、年間利用額やラウンジ利用ルールなど新制度の背景

ANAは29日、SFCの新たな制度設計を発表した。年間利用額300万円を境とする2区分制は維持する一方、激しい反発を招いたラウンジ利用の一律不可ルールは撤回。「持つカード」から「使うカード」への転換を図り、増え続ける会員とラウンジの物理的限界、そして決済額減少という構造的な課題に切り込む。

文:多和田新也(編集部)
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 ANAは9月29日、ANAスーパーフライヤーズカード(SFC)の新たな制度を発表した。4月にラウンジの混雑緩和に対応するために打ち出した新制度に対して、利用者の声を受けて条件などを再変更したものとなる。

 1986年に誕生し、2026年で40年を迎えるANAスーパーフライヤーズカードだが、会員数は毎年増加しており、特にコロナ禍前の2019年との比較では現在約1.5倍に達しているという。今後、2030年には約1.2倍、2035年には現在の約1.4倍へ増加すると予測されるなかで、国内主要空港のラウンジでは出発便のピーク時間帯や年末年始に満席や入室待ちが常態化しており、物理的な限界を迎えている。すべての利用者の快適性に影響する重大な課題であることから、ANAではラウンジの混雑緩和を喫緊の課題と捉えていた。

 ANAは今年4月、この課題に対応するため新制度を発表していた。「SFC PLUS」と「SFC LITE」の2つの会員区分を新設し、年間カード利用額300万円以上の会員を「SFC PLUS」として、この区分がスターアライアンスゴールド資格など現在のSFCで得られる特典と同等のものとなった。そして、年間カード利用額300万円未満の会員は「SFC LITE」に区分され、スターアライアンスシルバーの資格となることでラウンジの利用ができなくなるなどの内容であった。しかし、発表後にはラウンジが利用できなくなることを中心に多くの反発の声が挙がり、今回の制度見直しとなった。一方で、ANAでは、制度の見直しを行なうことを発表したあとは、逆にラウンジの混雑が緩和されないことへの不安の声が大きくなったと認識しており、この双方の声に対応するものが、今般の再変更された内容であるとしている。

ANAスーパーフライヤーズカードのロゴ。(Image:ANA)

 再変更された制度においては、変更されない内容と変更される内容がある。

 2つの会員区分の新設と、年間利用額300万円という基準の設定は変更されない。つまり年間利用額300万円以上でスターアライアンスゴールド資格が付与される「SFC PLUS」、同300万円未満でスターアライアンスシルバー資格が付与される「SFC LITE」の区分となる。

 いずれの区分でも、ANA便の利用時には、優先チェックインや専用保安検査場、優先搭乗、手荷物優先受け取りなどの空港優待サービスや、ボーナスマイルなどの主要特典についても、これまでどおり提供される。ただし、スターアライアンスのステータスは差があるため、SFC LITE会員の場合は、他の加盟航空会社便や、海外の提携ラウンジなどではスターアライアンスゴールドとしての優待は受けられない。

 一方で変更されるのは、SFC LITE会員のラウンジ利用ルールである。国内線のANAラウンジについては、混雑予測ができる仕組みを用いて管理し、混雑時を除いて利用を可能とする。将来的には、入室者数を正確に把握するため事前予約制を導入する予定だ。

 国際線については、ANAが運営する羽田空港、成田空港、ホノルルのラウンジは利用可能となる。

 年間利用額300万円という基準に至った背景には、SFC会員サービスの持続性という課題がある。「各種優待サービスは会員のカード利用によって支えられている」という前提があるなか、SFC会員による日常の利用機会が少なくなり、「使うカード」から「持つカード」としての側面が強まっている傾向にあるという。

 その具体的なデータとして、一般的なカードの年間平均利用額が100万円以上であるのに対し、SFC会員は全体の約4割が年間100万円未満、さらに約3割が50万円未満の利用に留まり、カードの利用金額は年々縮小傾向にあるとしている。高品質なサービスを持続的に提供するためには、SFCをメインカードとして利用する機会を増やし、設備投資などに還元するスキームへ変更する必要があった。

 ANAではSFC会員が年間300万円の利用額に到達するポテンシャルは十分に高いという目算がある。例えば他社カードのポイントからANAマイルへの交換や各種調査によって、現状では他カードに決済が分散している人であっても、SFCをメインカードとして集中的に利用することで300万円基準をクリアできる会員は多いと見込んでいる。ANAとしては、会員が自発的にSFCでの決済を選びたくなるよう、キャンペーンやプログラムの魅力を高めることで日常利用を促進していく方針だ。

ANA LOUNGE。(Image:ANA)

 制度変更の最大の理由であるラウンジの混雑とSFC会員の関係については、現状の国内線ラウンジ利用者のうち、50~60%をSFC会員が占めているという。300万円基準の適用後は、先のポテンシャルなども踏まえて、SFC PLUS会員は全体の4割程度、SFC LITE会員は6割程度になると想定されている。この約6割のSFC LITE会員のうち、航空機の利用がない層を除いた、実際にラウンジを利用する可能性があるSFC LITE会員は全体の25%程度になると試算しているという。

 会員の利用条件を見直す一方で、ANAは自らの「自助努力」による取り組みも進める方針を示している。ラウンジに関する設備投資として、新制度の運用開始に先行し、2027年度中に羽田空港国内線ラウンジの施設拡充や、事前予約制の導入に向けたシステム改修も進めるとしている。

 さらに、ANAマイレージプログラムの持続的な価値向上にも取り組み、今回の新制度ではSFC PLUS会員への特典として5,000マイルの進呈が行なわれるほか、今回のSFC制度再設計を完成形ではなく“第一歩”と位置付けて、今後も顧客ニーズの変化に即してプログラムのアップデートを重ねていくとしている。

 ちなみに、制度の検証にあたっては、年間利用額の減額や搭乗実績との併用なども検証されたが、ラウンジの混雑緩和と、可能な限り多くの会員へのサービス提供を両立するためには、すべての会員を対象に一律で年間利用額300万円の基準を適用することが必要と判断されたという。入会条件(資格)の変更については、過去の会員の期待に応えること、これから新たに入会する会員へ門戸を開くこと、のバランスを考慮した結果、現段階での入会条件変更は見送られている。

 また、過去からの長年の利用がある会員の重要性を認識しつつも、すでに生涯実績を評価するミリオンマイラープログラムなど別の仕組みが存在することを理由に、SFC入会時期によるサービスの差は設けず、一律の基準としている。