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Peach、パイロットやCA、旅客スタッフの複合訓練施設「モモトレ」開設。人材育成強化
Peachが複合訓練施設「MOMO TRAINING LAB」―通称「モモトレ」―を、関西空港第2ターミナルに開設した。パイロット、客室乗務員、地上係員のトレーニングを行なえる施設を自社で持つことで人材育成の強化を図る。

Peachは7月31日、関西国際空港 第2ターミナル内(旧・国際線手荷物受取所)に開設した、自社初の複合訓練施設「MOMO TRAINING LAB(通称:モモトレ)」を報道陣に公開した。
国際線手荷物受取所の跡地は、2017年1月に関空第2ターミナル(国際線)がオープンした際に空きスペースとなっていた。この場所に、運航乗務員、客室乗務員、地上係員、それぞれに対応する設備が一体的に設けられた形だ。
施設面積は約751m2。その中心には実際に空を飛んでいた退役機をベースに製作されたモックアップが据えられ、座学教室や、エアバスA320ファミリーに対応するFTD(Flight Training Device)、緊急脱出用スライド、ドアトレーナー、接遇訓練用カウンターなど、各種訓練設備が取り囲むように配置されている。施設全体が「実技と座学」「訓練と振り返り」ができるように設計されており、実践形式で効率よく訓練ができる構成となっている。
施設の構想が持ち上がったのは、コロナ禍が明け、航空需要が回復基調へと向かい始めた頃。訓練の即応性を高め、教育の質を自社主導で維持・向上すること、さらに採用競争力の強化も視野に入れて検討が進められたという。2025年1月に着工し、約7か月の期間を経て7月18日に完成した。
工事最大の難関は訓練機器の搬入で、特にFTDやモックアップはサイズも重量も大きく、陸送だけではなく、海上輸送の可能性まで含めて搬入ルートを検討。施設の構造に手を入れ、開口部の確保まで必要となるなかで、施工業者、搬入業社、メーカーなど、多くの関係者との調整を重ねてようやく実現に至ったという。



このモモトレでは、運航乗務員向けには、定期CRM(Crew Resource Management)訓練や緊急時対応訓練、機長昇格に伴う教育訓練などを実施。その他の訓練については引き続き、ANA Blue Baseやパンダフライトアカデミーなどの外部委託を活用する。
客室乗務員訓練については、これまで一部を外部に委託してきたが、今後はすべてモモトレで完結させる方針だ。施設内にはドアトレーナー、緊急脱出用スライド、客室サービスのロールプレイなど実践的な総合訓練が可能なモックアップといった、即戦力の育成に対応した充実の設備を有している。
また、地上係員訓練エリアには、空港カウンターやUD(Universal Design)対応スロープなどを再現。搭乗手続きや車椅子利用者対応など、現場に即した実務訓練が可能となっている。








モモトレの報道公開にあたり、就任以来はじめて報道陣の前に立った大橋一成CEOは、安全運航が大前提と前置きをしつつ「品質やサービスの向上、顧客満足度の向上が最大の目標」と挨拶。同施設を通じてPeachらしいきめ細かい訓練で運航品質の向上に努めるとした。
コロナ禍で中止していた新規採用を再開した同社。この複合訓練施設の開設により、委託先のスケジュールに左右されない、計画的かつ安定的な訓練スケジュールの構築が可能に。これにより人材育成の効率化が一層進む見込みだ。

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