航空旅行

ANAストックホルム&イスタンブール線機材、ボーイング787-8キャビンガイド

航空旅行 2025 SUMMER』でフライトレポートを掲載しているANAの羽田〜ストックホルム線とイスタンブール線には、184席仕様のボーイング787-8が投入されています。
この184席仕様機は、ビジネスクラスに“王様シート”と呼ばれる贅沢な席を備え、14席だけのプレミアムエコノミーや、長距離でも快適なエコノミーなど、全クラスに独自の魅力が詰まっているのですが、今回はこのキャビンを詳しく見ていきましょう。

文:『航空旅行』編集部
X Facebook LINE
ANA_787_8_fukazawa
186席仕様のボーイング787-8は、登録記号がJA805A、806A、813A、814A、820A、822A、823A、827A、828Aの9機が該当します。
Photo:Akira Fukazawa

184席仕様機だけの“王様シート”

 184席仕様機の最大の特徴は、ビジネスクラス「ANA BUSINESS STAGGERED」のレイアウトです。同じく「ANA BUSINESS STAGGERED」を装備するボーイング787-9や787-10では1-2-1の横4席並びであるのに対し、184席仕様機では奇数列が1-2-1、偶数列が1-1-1の「変則配列」となっています。1-1-1の中央席(F席)は両側にサイドテーブルを備えた贅沢な造りで、視界も広く“王様シート”と呼ばれるほどです。1人旅や出張利用でプライバシーを重視する乗客に特に人気の席となっています。
 テーブルはモニター下に格納されています。引き出すと左右に展開する折り畳み式で、PC作業から機内食まで余裕を持って対応できます。座席には食事灯や読書灯、17インチのモニターを装備し、細部まで快適性が追求されています。

ANA_184_C_cabin
ビジネスクラスは他の787とは異なり、1-2-1と1-1-1の変速レイアウトになっています。両側にサイドテーブルがある通称“王様シート”は2、4、6、8列目のF席。両側の通路に直接出ることができるので、人気です。
Photo:Charlie FURUSHO
ANA_787_184_c_fullflat
シートはもちろんフルフラットになります。中央列の2席並びの席は、構造上サイドテーブルが小さめですが、そのほかの機能は他席と変わりません。
Photo:Akira Fukazawa
ANA_787_184_c_table
大型テーブルは個人用モニターの下に格納されています。引き出した後に折りたたまれている両側の羽を広げることで面積が拡大します。
Photo:Akira Fukazawa
ANA_787_184_c_light
個人用モニターの脇には、機内食を美味しそうに照らしてくれる食事灯も装備されています。
Photo:Akira Fukazawa

14席だけの“隠れ家”プレミアムエコノミー

 プレミアムエコノミーは独立したキャビンに2-3-2の並びでわずか2列、14席しかないので、「隠れ家的」な雰囲気が魅力です。
 ANAでは、プレミアムエコノミーは独立したクラスではなく、エコノミークラスの一部という扱いなのですが、快適性は大きく異なります。シートにはレッグレストが装備されているだけでなく、シートピッチは約97㎝とエコノミークラスよりも大幅に広いですし、シート幅も48㎝あります。長距離フライトであればその差をより実感できるはずです。もちろん、パーソナル読書灯や電源コンセント、USBポートも完備しています。個人用モニターは最前列となる15列目は肘掛け下に格納してあり12.1インチ、2列目となる16列目は前席の背面に装備された10.6インチです。なお、フットレストは前席の下の部分から引き下ろして使うタイプのため15列目のシートにはありませんが、前席がない分シートピッチはさらに広く、背もたれが倒れてくる圧迫感もないのでむしろおすすめの席といえます。

ANA_787_184_PY
プレミアムエコノミーは15〜16列目です。フットレストは前方の座席下から引き下ろして使うタイプのため最前方の15列目にはついていませんが、その分、シートピッチはかなり広いです。
Photo:Akira Fukazawa
ANA_787_184_PY_monitor
16列目の個人用モニターは前席の背面にあり10.6インチですが、15列目は肘掛け下に格納してあるタイプで、12.1インチと大型です。
Photo:Charlie FURUSHO

長距離でも快適、ゆとりあるエコノミークラス

 184席仕様機は、ストックホルム線やイスタンブール線のほか、メキシコシティなど長距離路線に投入されることも多い機材であることから、エコノミークラスにもゆとりがあります。
 まずシートピッチは、クラス最大級となる約86cmで、座席幅も約43.7cmあります。ネットタイプのフットレストも装備し、靴を脱いでここに足を乗せるとリラックスできます。USBポートやコンセントを各席に備え、充電環境もバッチリです。
 シート配列は3-3-3の横9席ですが、後方の34〜35列目は胴体が細くなる関係で2-3-2となります。そのため、二人旅の時はこの窓側の2席がベストシートと言えるかもしれません。非常口前の25列目と、エコノミークラスの最前列となる20列目は広いスペースがある一方で、アームレストが固定されている点に注意が必要です。

ANA_787_8_Y
20〜35列目がエコノミークラスです。胴体が狭くなる後方の34列目と35列目は、窓側が2席並びになります。
Photo:Takayuki Murata
ANA_787_184_Y
シートピッチは約86cmと、クラス最大級のゆとりがあります。個人用モニターは9インチです。
Photo:Takayuki Murata

国際線用の787には全ラバトリーに“温水洗浄機能付き便座”を装備

 ANAは、今や日本人にとって“なくてはならない存在”となった温水洗浄機能付き便座を世界で初めて機内に導入したエアラインですが、国際線仕様の787では、エコノミークラス用を含む全ラバトリーに標準装備されています。とはいえ、飛行機内なので地上のそれとは違うのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、水圧も十分で、快適に利用できます。
 また184席仕様機には、ビジネスクラスの区画に窓付きのラバトリーもあります。外光が差し込む開放的な空間はなかなかの爽快感です(笑)。また、いつ、どのタイミングで利用しても、まるで自分が初めて利用するような清潔感あることも、ANAの素晴らしい点です。
 現在発売中の『航空旅行 2025 SUMMER』では、この184席仕様の787-8でストックホルムとイスタンブールに飛んでいます。ビジネスクラス、プレミアムエコノミー、そしてエコノミークラスと全クラス乗り比べで詳しくレポートしていますので、ぜひご覧になってみてください。

ANA_787_184_lavatry
184席仕様機に設置されている窓付きラバトリーは自然光が差し込み、機内とは思えない開放感があります。
Photo: Akira Fukazawa
ANA_787_washlet
温水洗浄機能のコントローラーは、壁面にスマートに埋め込まれています。操作は直感的で、迷うことはありません。
Photo: Akira Fukazawa
発売中!『航空旅行 2025 SUMMER(vol.51)』
特集「ANAが描く新たな欧州航路」
hyousi

欧州路線が続々と拡充されたANA。2024年末から2025年にかけて開設されたストックホルム、イスタンブール、ミラノの新3路線を軸に、ANAが描く新たな空の地図を紹介します。これからANAの利用を検討している方には実用的で役にたつビジネス・プレエコ・エコノミークラスの搭乗取材や各都市の魅力を多角的にレポート。また、ANA以外の欧州航路を運航するエアラインについてもそれぞれの特徴を紹介します。
このほかに、エアバスA350-1000の導入により退役フェーズに入ったJALのボーイング777-300ERの歴史やキャビンの振り返り記事や、ボーイング767による貴重な長距離路線であるデルタ航空のハワイ線のレポートも掲載します。

航空旅行 2025 SUMMER』でフライトレポートを掲載しているANAの羽田〜ストックホルム線とイスタンブール線には、184席仕様のボーイング787-8が投入されています。 この184席仕様機は、ビジネスクラスに“王様シート”と呼ばれる贅沢な席を備え、14席だけのプレミアムエコノミーや、長距離でも快適なエコノミーなど、全クラスに独自の魅力が詰まっているのですが、今回はこのキャビンを詳しく見ていきましょう。

関連キーワードもチェック!