A320の主翼に引かれた黒い線は、その外側は歩くなという警告表示。「DO NOT WALK OUTSIDE THIS AREA」とも書かれているが、簡単に「NO STEP」としている旅客機が多い。
乗客は緊急脱出時以外は旅客機の主翼の上を歩くことはないが(その場合は「踏むな」という注意書きは無視してもよかろう)、整備士は主翼の上で作業することもある。
成田の航空科学博物館に展示されている747のJT9Dエンジンと主翼。主たる荷重は前後の桁ではさまれたボックスビームで受け、その前後は翼型を整えるためにある。
ボックスビームを形成する外板と、前縁部分の外板の厚さはまるで違う。ただし前縁部分はハニカムサンドイッチパネルとして風圧でへこんだりしないようになっている。
旅客機よりはるかに大きな強度を持つF-15戦闘機の主翼の上にも、踏んではならない部分はあり、「踏むな」あるいは「押すな」という注意書きがたくさん書かれている。
シアトルの飛行博物館にあるPR-G1グライダーの骨組み。細い骨に、乗り込むときにも細心の注意が必要であることがわかる。もともと航空機は、このくらい繊細なものだ。
成田の航空科学博物館には747の胴体を輪切りにした展示もあり、主翼以外の各部の構造を見ることができる。外板の厚みは、普通の人が想像するよりも薄いものだ。
747の床面には丈夫なサンドイッチパネルが使われているとはいえ、敷かれたカーペットと比べて薄さがわかる。これは金浦空港の韓国国立航空博物館に展示されているもの。
TOP連載一覧飛行機は繊細な乗り物。高い強度と軽量化を両立するためには? ~ 連載【月刊エアライン副読本】