ニュース

JAL A350-1000初号機(JA01WJ)の日本初飛来シーン 2023年12月15日午前10時46分の取材記より

エアバス社の本拠地である仏トゥールーズ出発から12時間40分、羽田取材班はA滑走路を望むエプロンでそのランディングを待っていた。そして、いよいよ近づいてきた機影がRWY34Lにタッチダウン、JAL社員たちの元へ。このさき長きにわたってJALのイメージリーダーに君臨する、その機材がついに日本到着した瞬間を記録する!

文:本誌編集部 写真:岡本 豊
X Facebook LINE

 2023年12月15日、午前10時46分。トゥールーズから12時間40分のフェリーフライトを終え、羽田空港のRWY34Lに着陸したJALのA350-1000初機。このJA01WJの到着を今か今かと待ちわびていたのは、誰よりも就航の日を楽しみにしているであろうJALグループの社員たちであった。
 機体はいったん新整備場地区・M2格納庫前の211番スポットに駐機して、RR Trent XWB-97エンジンをシャットダウン。歓迎式典に臨むため、ほどなくして格納庫内へとテイルインの向きで牽引搬入された。ステップ車が
接続されてL1ドアがオープンすると、このフェリーを担当した同社試験飛行室の南 剛士 機長、高尾 誠 機長、水落崇之 副操縦士のコクピットクルー3名が機外へと出てきて、盛大な拍手で会場に迎えられた。
 まず挨拶に立ったのは赤坂祐二 社長だ。「20年ぶりとなるフラッグシップ機の更新。長く運航できるよう、さらに良い飛行機へと育てていって欲しい。サポートしていただいたエアバスとサプライヤーの皆さん、そして何よりも、コロナ禍の間もA350-1000の導入に向けて大変な努力をしていただいた社員の皆さんに感謝したい」と労った。ニューヨーク線、続いてダラス・フォートワース線へと就航する同機については「太平洋路線の最先端をゆく飛行機」と評し、その言葉に並々ならぬ期待を感じる。

JALのエキスパートたちの妥協を知らない情熱の先に

 つづいてフェリーパイロットを代表して南機長が登壇し「、各分野のエキスパートであるJALグループの社員たちが長い年月をかけて、情熱をもって導入に携わる姿をみてきた。メーカーの規定をJALのものへと落とし込んだ人、最高のシートを新規開発するため数か月も海外に出張してメーカーと議論を重ねた人。こうしてデリバリーされる瞬間まで品質に妥協することなく作り込んできた人たちの想いが形となって、今日皆さんの前に披露できることを、その一員として嬉しく思う」と語った。
 この日のフェリーフライトには(パイロット以外に)20名以上のJAL社員たちが同乗。それぞれの職種の立場から、長距離運航時における業務の検証なども実施された。式典の最後には、司会者が「今日に至るまで縁の下の力持ちとして難しい課題に挑戦し、フランス・トゥールーズから到着した仲間がおります。おかえりなさいませ!」と、そうした社員たちを紹介。そして、記念のフォトセッションへと移行したのであった。
 なお、到着したJA01WJは翌々日の12月17日に1時間15分ほどのローカルフライトを実施、さっそく2024年1月24日の羽田=ニューヨーク線就航に向けた準備が本格化しているようだ。路線就航に先立つ1月中旬には改めて国内メディア向けの機体公開が羽田空港にて予定されており、その模様は次号でお届けしたい。

M2格納庫前の211番スポットにパーキングしたJA01WJ。
後の式典で赤坂社長が「到着時にお気づきの通り、とても静かな飛行機」と述べた通り、そのエンジンは97,000lbf 級のスラストと静粛性能の両立を実感できるRR Trent XWB-97。
向きを変えてテイルインでM2格納庫内へと搬入されるJA01WJ。
格納庫搬入時にトーイングを担当した樋口翔哉さんはJALグランドサービスが誇る、羽田プッシュバックコンテストの優勝者とのこと。
実に20年ぶりとなるフラッグシップ機のリプレース。記念すべき瞬間に立ち会う多くの社員たちにとっても、この瞬間が自社A350-1000との初対面であった。
「エアバスからは、ヨーロッパ製の機材なのになぜ北米路線から先に就航するのかと言われている(笑)」と、ユーモアを交えてA350-1000を紹介し、導入準備に奔走した社員らを労った赤坂社長。
フェリーパイロットを代表して挨拶した飛行試験室の南機長。様々な職種のエキスパートが集いA350-1000導入に向けて力を合わせたことで、晴れてデリバリーに至ったその喜びを語った。
このフェリーフライトを担当した南 剛士 機長(中央)、高尾 誠 機長(左)、水落崇之 副操縦士(右)。
「JAL国際線に新しい翼」の横断幕とともに、駆けつけたJALグループの社員たちとの記念写真。A350導入決定時の社長であった植木義晴会長の姿も。なお機体は通関前であるため、この日は機内への立ち入りは無かった。
エアバス社の本拠地である仏トゥールーズ出発から12時間40分、羽田取材班はA滑走路を望むエプロンでそのランディングを待っていた。そして、いよいよ近づいてきた機影がRWY34Lにタッチダウン、JAL社員たちの元へ。このさき長きにわたってJALのイメージリーダーに君臨する、その機材がついに日本到着した瞬間を記録する!