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羽田空港で3回目の「航空機整備技能コンテスト」。今年はエアライン3社と専門学校6校が参加し、技量を競う
航空整備士の技術向上や、仕事の魅力発信のために2023年から毎年開催されている「航空機整備技能コンテスト」。航空会社の若手整備士と専門学校の学生が、日々の業務あるいは学習の成果を競う。羽田空港のJAL格納庫で行なわれた今回は、航空会社3社と専門学校6校から計13チームが参加した。
日本航空技術協会は11月14日、「航空機整備技能コンテスト2025」を、羽田空港のJAL格納庫内で開いた。日ごろの業務や学習から得た航空機整備の技量を競うもので、3回目となる今年は、企業チームから3社6チーム、学生チームは6校7チームが参加。学生チームとして出場した国際航空専門学校が、優勝の栄冠を勝ち取った。
2023年から続いている当コンテストは、整備技術のさらなる向上とともに、仕事の魅力を社会に発信し、業界のすそ野拡大を目的としたもの。3名1組での競技となり、整備を業務として取り組んでいる企業チームと、授業として技術を習得している学生チームが同じ内容で競い合うのが特徴となっている。作業内容の正確さやスピードなどが審査の対象で、競技ごとに得た点数の合計で順位が決まるため、企業、学生といった違いは問わず、得点の最も高いチームが優勝となる。企業チームには参加資格として入社3年目までという制限がかけられており、プロと学生の差が少なくなるよう考慮されている。
競技種目は、個人で取り組むものとチームで協力しながら進めるものがあり、個人競技は3種を組み合わせ、1チームの3名が3種のうちの1つをそれぞれ選択する。3種の競技が2組で6競技、チーム競技が2種で、合わせて8つの種目で戦った。なお、8つの種目のうち7つは競技内容が事前に各チームへと知らされていたが、残る1つはシークレット競技となり、内容は直前に発表された。
シークレットとなったのは、内視鏡カメラのようなボアスコープと呼ばれる機器を使い、箱に入ったエンジンブレードについた小さな傷を見つけるという内容のもの。こちらは3人が協力し合って進めるタイプの競技となる。こうした作業は熟練の整備士が担当するもので、プロとして活躍している企業チームの参加者にとっても初めての経験だったようだ。制限時間の5分以内に傷を見つけられたチームは、企業チームで3、学生チームは4とそれぞれ半数にとどまったことからも、難易度の高い競技だったことをうかがい知ることができた。
優勝した国際航空専門学校の参加者たちは、結果発表を受け、笑顔いっぱいに喜びを表現。会場はあたたかい拍手につつまれた。コメントを求められた代表者はやや恥ずかしそうな表情を見せ「(実力を)あまり出し切れなかったと思ったところもあったが、結果を残せてよかった」とはにかんだ。
前回まで学生の最優秀チームに贈られていた敢闘賞は、今回学生チームが優勝を勝ち取ったことで、学生チームで2位となった中日本航空専門学校が手におさめた。
日本航空技術協会の北田裕一会長は、閉会のあいさつで「整備士や学生の皆さんが一堂に介して、日々の仕事や学校の実習で培った実力を発揮して、技術を競い合うのは大変貴重な機会」と自身の思いを述べ、「コンテストを通じて素晴らしい整備士の育成に貢献してまいりたい」と締めくくった。
参加チーム
【企業チーム】
JALエンジニアリング(2チーム)
ANA(2チーム)
Peach Aviation(2チーム)
【学生チーム】
国際航空専門学校(2チーム) *うち1チームが優勝
中日本航空専門学校 *敢闘賞
東日本航空専門学校
大阪航空専門学校
日本航空大学校・石川
第一工科大学
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