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NCAがANAグループ入り。「1+1の解を3にも5にも」

8月1日、NCA(日本貨物航空)がついにANAグループ入りを果たした。8月4日にはNCAの格納庫に同社の社員約200名が集まり、ANAグループによる歓迎式典を開催した。

文:本誌編集部 写真:本誌編集部
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 ANAHD(ANAホールディングス)は8月4日、NCA(日本貨物航空)の全株式を取得し、8月1日付けでANAグループ入りしたことを受けて、NCA格納庫で歓迎式典を開催した。

 2023年7月にANAHDが全株式を取得する計画が発表されたものの、各国当局からの必要な認可の取得に時間を要したことで延期が繰り返されていた。最後に残されていた中国当局からの認可も下り、この8月1日に全株式を取得。NCAがANAグループの1社となった。

 歓迎式典では、集まった約200名のNCA社員を前に、ANAHD 代表取締役社長の芝田浩二氏、NCA 代表取締役社長の本間啓之氏があいさつ。

歓迎式典にはNCAの新役員や社員約200名らが集結。

 芝田氏は、1985年のANAによる国際定期便進出が、本邦2番目の国際線運航会社として就航していたNCAが道筋を付けてくれたものであったことや、両社が同じ霞ヶ関ビルにオフィスを構え、社員同士に交流があったこと、芝田氏自身もNCAの社員と新潟へスキーに出かけたことを回想。「当時のように、部署や会社の垣根を越えた温かい交流が、これからまた深まっていくことを楽しみにしている」と話した。

 最後に芝田氏は、「互尊」という言葉を挙げ、「組織・文化の異なる会社の社員一人ひとりがお互いを尊重し、多様な考え方や価値観を共有しあうことで、これまでにない新たな価値を創造することが大切。NCAの社是である『誠意、創意、熱意』はまさに私たちが大切にしている価値観と重なる」と述べ、ともに前進していくよう呼びかけた。

NCA社員を前にあいさつするANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 芝田浩二氏。

 本間氏は、これまでのNCAの歩みを振り返りつつ、2018年の事業・業務改善命令を受けての全機運航停止時におけるANAからのサポートなどに感謝。

 これまで培ったノウハウでANAグループへ貢献していくことも呼びかけ、「主役はこれからを担う皆さん。1+1の解を3にも5にもするために知恵を絞り、一緒に汗を流していこう。私たちは明るい未来に向かっている」とし、ANAのモットーである「あんしん、あったか、あかるく元気」に行動しつつ、NCAのモットーである「誠意、創意、熱意」を持って新たな貨物航空事業を発展させていく意欲を示した。

日本貨物航空株式会社 代表取締役社長 本間啓之氏。新体制でも引き続き代表取締役を務める。

 このほか、芝田氏は成田空港の国際航空貨物の取り扱い高についても触れ、「かつては世界のナンバーワンだった成田空港だが、香港、韓国、上海などのライバル空港が取り扱い高を増やすなかでスピードが追いついていない。(極東にある地の利を活かした)東アジアから成田経由で欧米という物流はある。それを取れていないのが現状だと思う。NCAとANAのネットワークを合わせれば、旅客に例えればインバウンド、アウトバウンド、トランジットが貨物でも実現する。新しい成田空港構想で示されている“東アジアのハブを目指す”という目標達成に向けてもしっかり貢献できると考えている」と話した。

 今回のNCAのグループ入りにより、国際貨物の取り扱い高は世界14番目の貨物航空事業となる。ANAが持つ旅客便・貨物便の広範なネットワークと、NCAが持つ日本と欧米を結ぶ貨物ネットワークそれぞれの強みを活かしながらシナジー効果を最大化し、企業価値向上につながる取り組みを進める方針。

 昨年度実績で試算すると、ANAグループの航空事業全体に置ける貨物セグメントの売上高は現在の8%程度から18%にまで伸びることになる。芝田氏は「ネットワークの再編、マーケティングやセールスの協業は明日からでもできることなので、まず着手する。その後、時間をかけて会社の組織体制をどうしていくか、1年程度をかけて詰めていき、両社に一番よい解を見つけていく。会社統合という形になっていくとは思っている」と将来の展望を語っている。

NCAはボーイング747-8F(ほか7機の747-400Fを他社へリース中)、ANAは2機の777Fと、6機の767Fを保有する。
8月1日、NCA(日本貨物航空)がついにANAグループ入りを果たした。8月4日にはNCAの格納庫に同社の社員約200名が集まり、ANAグループによる歓迎式典を開催した。

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