連載

国際線で飛行機通勤! JALのプレミアムエコノミー席で、ソウル・金浦空港から東京へ

月刊エアライン編集部の日々のヒコーキ活動をユル〜く紹介する連載「ある日のヒコ活」。先日の韓国・ソウル旅行の最終日、朝の便で帰ってまったり在宅勤務する気が満々だった筆者ですが、急遽そのまま出社することに。そんなソウルからの飛行機通勤の模様をレポートします。

文:ウォレンス雄太(本誌編集部) 写真:ウォレンス雄太(本誌編集部)
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平日の朝まで旅行していたせいで、ソウルから出社する羽目に

 とある秋の日、朝の5時。いつもより少し早く目を覚ました筆者がいたのは、ソウル・金浦空港近くのホテルです。今日は2泊3日の韓国旅行の最終日。「帰国便は朝イチのフライトだし、そろそろ準備するかな〜」と起き上がろうとした次の瞬間、体が凍りつくほど恐ろしい事実に気がつきます。「やばい。今日、出社じゃん!」

 出社のタイムリミットは11時。果たして、それまでに東京・神保町の弊社に到着できるのでしょうか?

今回はソウルの“定宿”の1つとして活用しているホテルに宿泊。最寄りは金浦空港から3駅のバルサン駅です。空港アクセスが良いのに加え周辺は繁華街になっており、食事や買い物にも便利。

 ホテルの最寄り駅から地下鉄5号線の始発で3駅。6時少し前に金浦空港駅に到着しました。搭乗するJL90便のチェックインがちょうど始まるころです。今回はエコノミークラス利用でしたが、JALグローバルクラブ会員である筆者はビジネスクラスのカウンターを利用可能。駅から国際線ターミナルまでは少し歩くため、カウンターに着いたときはちょうどひと波が終わったところで、スムーズに手続きできました。ちなみにエコノミークラスのカウンターはいつも長蛇の列となっているため、時間に余裕を持って到着するのがおすすめです。

朝の金浦空港はほぼ同時に出発するJALとANAの羽田行きをはじめ、フライトが重なるため、保安検査場は非常に混雑します。筆者の経験では、長いときでこの倍くらいに行列が膨れ上がっていたことも。

 カウンターはスムーズでも、残念ながら金浦空港の保安検査場にはステータス会員用の優先レーンはありません。これも、わざわざ始発でチェックイン開始に合わせて到着した理由の1つです。20分ほどでようやく通過したら、JALの指定ラウンジである大韓航空ラウンジ(KALラウンジ)へ直行。ここで朝ごはんタイムです。

KALラウンジで出発前最後の韓国グルメを堪能。ここはどのメニューも美味しく、朝からついつい食べ過ぎてしまいます。

霧で真っ白の金浦空港から出発!

 ご飯を食べて少しゆっくりしたら、もう搭乗の時間です。ゲートはラウンジから最も遠いターミナル端の39番ということで、搭乗開始時刻より少し前に到着するよう向かいましたが、着いたときにはすでに搭乗が始まっていました。

 本日の搭乗機はボーイング787-9、登録記号JA874J。ヘリンボーンタイプのビジネスクラス「JAL SKY SUITE III」に、プレミアムエコノミー、エコノミークラスを合わせた3クラスを装備するE92席仕様の機体です。筆者の座席はプレミアムエコノミークラス最前列の17H。「あれ、“今日はエコノミークラス利用”って言っていなかった?」と思った方、鋭いですね。

今回利用したプレミアムエコノミークラスのシート「JAL SKY PREMIUM」。

 実はJALのソウル線にはプレミアムエコノミークラスの設定がないため、同クラスの座席がエコノミークラスとして利用できるのです。全エコノミー利用者のうち21人だけが味わうことができる特権。座席幅こそエコノミークラスと1cmしか違いませんが、横が1列少ない分アームレストが広く取られているなどゆとりがあり、さらにシートピッチは23cmも広くなっています。

筆者はバルクヘッド席で、脚を伸ばしても前の壁に届かない余裕の空間。短距離とはいえ、エコノミークラスの料金でこのスペースを確保できるのはありがたいです。

 席について窓の外を見ると、霧がかかって真っ白な世界が広がっていました。幸い、離着陸に必要な最低限のRVR(※)は満たしていて、定刻通りに出発です。機体は39番スポットから東向きにプッシュバック。ぐるっとUターンするように誘導路を走行し、RWY32Lへと向かいます。
※Runway Visual Range:滑走路視距離のこと。滑走路の中心線上から、どのくらい先まで標識や灯火が見えるかを表すもの。

霧がかかった朝の金浦空港。ここターミナル周辺は滑走路などと比較してまだ視程が良い状況でした。

 ここでちょっとだけマニアックな話。金浦空港は普段、ターミナルから見て内側のRWY32R/14Lが離陸用、外側のRWY32L/14Rが着陸用として使用されますが、この日は逆の運用でした。というのも、当日のRVRはRWY32Rの1,700mに対し、RWY32Lはわずか350m。金浦空港のRWY32Rと32Lに設置された計器着陸装置(ILS CAT I)のRVRの規定値を下回っていたRWY32Lは、着陸に使用できなかったのです。

先に横断したRWY32R(写真右・RVR=1,700m)と、離陸したRWY32L(RVR=350m)を比較してみると、わずか350mほどしか離れていない滑走路同士なのに、視程が大きく異なっていたことがわかります。航空灯火の設備にもよりますが、一般的に離陸のほうが視程の要件は緩く、この日もRWY32Lから問題なく上がることができました。

 RWY32R手前で着陸機を待ったのち、滑走路を横断しRWY32Lへ進入。そして外がほぼ真っ白な状態の中、機体は速度を上げていきます。でも霧って本当に不思議なもので、滑走路を離れてからおよそ30秒後には、快晴の青空へと抜けました。

ちょうどエンジンと被ってしまいましたが、仁川空港上空は、金浦と異なり雲などもなく、地上がくっきりと見えました。

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機内食を食べながら一路東京へ! 果たして出社に間に合うのか?

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