連載

ヨーロッパの珍しい飛行機が続々やって来る! トルコ南部のリゾート、アンタルヤ空港へ

月刊エアライン編集部の日々のヒコーキ活動をユル〜く紹介する連載「ある日のヒコ活」。スポッターでもある筆者は今年の夏、トルコ南部のリゾート地アンタルヤを訪れました。ヨーロッパの珍しいエアラインたちがごそっと撮れるこの空港。その撮影環境と収穫をレポートします!

文:ウォレンス雄太(本誌編集部) 写真:ウォレンス雄太(本誌編集部)
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アンタルヤ空港RWY18Cに着陸するウクライナのスカイライン・エクスプレス・エアラインズ(Skyline Express Airlines)のボーイング757-300。会社はもちろん、その細い胴体から「空飛ぶ鉛筆」と揶揄される757-300も今や貴重な機体ですよね。ちなみにベースカラーは、以前この機体を運航していたコンドル航空のもの。

ヨーロッパの人々に大人気のバカンス先

 トルコ南西部の街、アンタルヤ(Antalya)。日本に住んでいる人からすると、「どこそれ?」って感じですよね(笑)。しかし、ヨーロッパの人々には非常によく知られている都市です。夏にヨーロッパの空港の出発ボードを見ると、絶対に「Antalya」の文字があるほど。まあ絶対は言い過ぎかもしれませんが、ロンドンやパリ、フランクフルトなどの大都市はもちろん、1日に1〜2便程度しか発着がない地方空港までもが、ホントにアンタルヤと結ばれています。

ターミナル1の外に出ると、大屋根の下にツアー会社のカウンターがズラ〜と並ぶ「ザ・リゾート」な光景。24時間ひっきりなしにフライトがあるため、空港は夜でも活気にあふれています。
ターミナル1内、国内線エリアの様子です。国際線エリアから続く広い空間に、ターキッシュ エアラインズやペガサス航空、サンエクスプレスなどのカウンターが並びます。

 なぜそれほどヨーロッパ人が、この地に魅せられるのでしょう? 地中海に面したアンタルヤは年間を通じて気候が良いだけでなく、古代から港町として栄えていたことから、当時の遺跡が多数残されています。その玄関口となるアンタルヤ空港の年間利用者数は3,500万人以上にもおよび、そのほとんどがバカンスに来る観光客。半端じゃないくらい人気なのです。そんなアンタルヤ空港へこの夏、ヒコーキ撮影のために訪れたので、撮影環境について簡単にご紹介しましょう!

初めて聞くようなエアラインが多いアンタルヤ。写真のエア・アンカ(Air Anka)は2023年から旅客便を運航開始したばかりのトルコのホリデーエアライン。A330-300×1機とA330-200×2機を使い、主にドイツとトルコのリゾート地を結んでいます。

観光客を乗せてやってくるホリデーエアラインを一網打尽にできる

 膨大な数のエアラインが就航するアンタルヤ空港。「あんた誰?」「どこの会社ですか?」みたいな知らないエアラインがバンバンやって来ます。バカンスへ向かう旅客を輸送することを専門的に担うホリデーエアラインがヨーロッパでは盛んに運航されているうえ、夏のハイシーズンはどのエアラインも機材が不足するため、聞いたこともない航空会社からリースされた機体や、ハイブリッド塗装機などが、もうホントに飽きるほど飛んでくるのです。ちなみに、こうした夏のヨーロッパならではの機体については、チャーリィ古庄カメラマンの解説記事をぜひチェックしてみてください!

アンタルヤのトラフィックで大きな部分を占めるのは、トルコのLCCであるペガサス航空と、ターキッシュ エアラインズとルフトハンザドイツ航空が共同出資する写真のサンエクスプレス。同社の機体はドイツなどでもよく見られますが、ここアンタルヤならフリートを一網打尽にできます。写真はサッカー元日本代表の長谷部誠選手が長年プレーしたチーム「アイントラハト・フランクフルト」の特別塗装機。
写真のマヴィ・ギョク・エアラインズ(Mavi Gök Airlines)もアンタルヤに拠点を置く会社。白ベースやハイブリッド機など塗装のバリエーションが多すぎて、同じ塗装の機体は2つとないんじゃないかというほどですが、通常塗装は写真のカラーリングです。たぶん…。
こちらもアンタルヤを拠点とするサウスウィンド航空(Southwind Airlines)。2022年に運航を開始し、今年夏にはイギリス路線にも進出を予定していたものの、EU当局が「事実上ロシアの航空会社」と認定。夏のハイシーズンを目前にした2024年3月、EUへの乗り入れが禁止されてしまいました。

アンタルヤの撮影環境①:避暑のため&人目につかないためにレンタカーは必須

 トルコでの飛行機撮影は禁止こそされていませんが、趣味として理解されていないのが実情。警察官や警備員などに見つかったり、とても親切な(笑)通りすがりの人に通報されたりしてしまうと、撮影をやめるように言われることが多いのです。

 そのため、撮影中はなるべく人目につかないようにしたいところ。そういう意味でも、厳しい夏のアンタルヤの暑さを避ける意味でも、レンタカーは必須です。トルコは右側通行なうえ、日本と比べると運転はか・な・り荒いですが、アンタルヤ空港周辺に限って言えば道も広くそこまでカオスという感じではないため、日本の大都市で運転できる人なら問題はないと思います。

夏のアンタルヤは最高気温35度にも達するなど暑さが厳しく、また公共交通機関ではアクセスできないポイントがほとんど。レンタカーがあれば撮影の合間も人目を避けて過ごせるため、安心です。なお、写真は次ページの地図にある「ゴミ捨て場」ポイントですが、この時は15人のグループで訪れたために多くの人が写っているだけで、普段はこんなに撮影者はいません。

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