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空飛ぶクロネコ、ヤマトグループのA321P2F就航。2024年問題に留まらない存在意義

ヤマトグループがJAL、スプリング・ジャパンと連携して運航するフレイター、エアバスA321P2Fがついに就航した。

文:本誌編集部 写真:阿施光南/本誌編集部
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ヤマトグループのフレイターが就航。出発時にはウォーターサルートが行なわれ、きれいな虹がかかった。(Photo:Konan Ase)

2機体制で1日9便、4月19日に3号機が到着予定

 ヤマトグループとJAL、スプリング・ジャパンは4月11日、かねてより計画していたとおり、ヤマトグループのフレイターの運航を開始した。

 この就航により、トラックドライバーの不足、いわゆる2024年問題が叫ばれるなか、その解決策の一つとして、“航空輸送”という新たな輸送モードの選択肢をヤマトグループが自社で手にすることになった。

 機体は本邦航空会社として初めての導入となるエアバスA321P2Fで、運航はスプリング・ジャパンが担う。中古のA321ceoを貨物機に改修したもので、デザインはヤマトグループ内で検討された案から選定された。

  1号機のJA81YAが2023年11月6日、2号機が今年2月8日にそれぞれ日本に到着。現在は2機を保有する。今回の就航時点では、まず2機体制で成田=新千歳、成田=那覇、成田=北九州、那覇=北九州の4路線、1日9便を運航。

 また、4月19日には3号機が日本に到着予定。新たに羽田=北九州、羽田=新千歳の路線の運航を開始して6路線、1日13便へ。最終的には1日最大21便の体制を目指す。

就航当初と夏頃からのネットワーク図(月刊エアライン本誌 2024年2月号より)
就航セレモニーには、ヤマトホールディングス 代表取締役社長 長尾 裕氏、日本航空 代表取締役会長 赤坂祐二氏、スプリング・ジャパン 代表取締役社長 浅見達朗氏のほか、国土交通省 物流・自動車局長 鶴田浩久氏、同 東京航空局 成田空港事務所 成田国際空港長 十河久惠氏、成田国際空港 代表取締役社長 田村明比古氏、エアバス・ジャパン社長 ステファン・ジヌー氏らが参列した。(Photo:Konan Ase)

新しい「空」へのチャレンジ

 就航セレモニーには、ヤマトホールディングス、JAL、スプリング・ジャパンの主催各社の代表者のほか、国土交通省の物流・自動車局長、東京航空局 成田空港長、成田国際空港 代表取締役社長、エアバス・ジャパン社長と、多くの来賓が列席。

 ヤマトHDの長尾社長は、2024年問題がスタートしたタイミングで新しい輸送モードが加わったことに対する意義を語るとともに、「まずは安全な運航をJALグループとともに取り組みたい。そのうえで、当社が従来なかった付加価値を提供できるよう精進したい」と、フレイターの活用による新たな顧客獲得への意欲を示しており、単に2024年問題の解決に留まらない将来性に期待を寄せた。

 そして、出発時には関係各社のスタッフが多数集まり、出発する機体を見送り。さらに、ウォーターサルートも行なわれ、その際には新しい貨物の架け橋を表すかのような虹がかかった。

出発前に横断幕を掲げての記念撮影。
A321P2Fのメインデッキに搭載可能なAAYコンテナを搬入。最大28トンのペイロードに対し、初便は宅急便の荷物を中心に20トン弱程度を搭載したという。(Photo:Konan Ase)
コンテナが運ばれたドーリーも新品で、2024年3月製造の銘板が付けられていた。成田空港に100台ほど新規導入したという。
プッシュバック中に手を振るパイロット。
プッシュバックの際に多くの関係者がお見送り。
地上走行スタート時にもグランドハンドリングスタッフを中心に多くの関係者が機体を見送った。
RWY34Lから離陸。ちょうど見ごろを迎えた桜も新規就航の門出にマッチしていた。(Photo:Konan Ase)
ヤマトグループがJAL、スプリング・ジャパンと連携して運航するフレイター、エアバスA321P2Fがついに就航した。

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