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ロサンゼルス就航で5路線目。JAL、A350-1000の展開が米国西海岸へと拡充!

2024年1月にA350-1000をニューヨーク線に初投入して以来、JALは積極的に長距離国際線への展開を進めており、今回のロサンゼルス線投入はその一環。今後もボーイング777-300ERからの機材更新を進め、2025年度中には11機体制を目指す。

文:本誌編集部 写真:阿施光南(特記以外)
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A350-1000、国際線長距離ネットワークでの運用をさらに広げる

 JALは6月30日、最新鋭のエアバスA350-1000を羽田=ロサンゼルス線(JL16/15便)に投入し、同路線での運航を開始した。A350-1000は、JALの長距離国際線における新たなフラッグシップ機として位置づけられており、ニューヨーク、ダラス・フォートワース、ロンドン、パリに続き、5番目の投入路線となる。

 同機は4クラス・計239席の構成で、ファーストクラス(6席)とビジネスクラス(54席)には、JALとして初めてドア付きの個室型シートを採用。特にファーストクラスではオーバーヘッドビンを廃して開放感を演出し、プライバシー性を高めた設計となっている。ビジネスクラスも全席がフルフラット対応の個室仕様で、快適性と静粛性に配慮したつくりとなっている。

 さらにプレミアムエコノミークラス(24席)とエコノミークラス(155席)にも、最新の座席仕様が導入され、全クラスに4K対応モニターを備えたエンターテインメントシステムを搭載。加えて、Bluetoothオーディオ、USB Type-A/Cポート、AC電源の完備により、快適性と利便性の向上が図られている。(※キャビンの詳細につきましてはこちらをご覧ください)

 

初便の出発にあたり、運航を支えるスタッフたちが横断幕を掲げてその門出を祝った。

環境性能と快適性を両立した次世代機、アメリカ西海岸へ

 当日は就航を記念し、羽田空港第3ターミナル112番スポットの搭乗ゲート前にてセレモニーが実施され、JL16便の鈴木敦 機長が挨拶した。

「本日ご搭乗いただくエアバスA350-1000は、ヨーロッパの航空機メーカー・エアバスが開発した最新鋭機です。日本航空では2024年1月よりニューヨーク線を皮切りに、ダラス・フォートワース、ロンドン、パリと展開し、本日ついにロサンゼルス線への初投入を迎えることとなりました。この機材の特徴は、優れた空力特性と高性能エンジンを備えており、機内は非常に静かで、二酸化炭素排出量も大幅に削減された環境にやさしい飛行機である点です。本日は私を含め操縦士3名と14名の客室乗務員が乗務いたします。約10時間の空の旅、どうぞごゆっくりお過ごしください」

 このほか、乗客にはA350-1000のフライトタグや大谷翔平選手(JALがサポートするロサンゼルス・ドジャース所属)のステッカーなどの記念品が配布され、搭乗ゲート前には同選手の等身大パネルやフォトスポット(法被・モデルプレーン)も設置され、記念撮影を楽しむ姿が見られた。
 
 JL16便はファーストクラス3名、ビジネスクラス49名、プレミアムエコノミーおよびエコノミークラス計171名、合計225名(うち幼児2名)を乗せ、112番スポットを午後5時8分にブロックアウト。午後5時41分にC滑走路から離陸し、同日現地時間午前10時55分にロサンゼルス国際空港へ到着した。

【羽田=ロサンゼルス線 スケジュール】
JL016 羽田(17時00分発)→ロサンゼルス(11時20分着)
JL015 ロサンゼルス(14時15分発)→羽田(翌日17時25分着)

就航セレモニーでスピーチを行なう、鈴木敦 機長。
搭乗ゲート前に設置された大谷翔平選手の等身大パネルと記念撮影を楽しむ乗客の皆さん。
グランドスタッフが描く水アートで、心を込めたおもてなし。
ノベルティ(フライトタグ・A350-1000ステッカー・大谷翔平選手ステッカー)と、ファーストクラス用リラクシングウェアの展示。
JALのスタッフが、搭乗客一人ひとりにノベルティを配付し、旅の門出を演出した。
エプロンでお見送り。アサインされたのは、機体側面に「A350-1000」のロゴが大きく描かれた導入初号機、登録記号JA01WJ。
スタッフ一同が「ありがとう」の想いを込め、横断幕を掲げ、手を振りながらJL16便を温かく見送った。

そして、JALロサンゼルス線から去ったボーイング777

777-300ER、羽田=ロサンゼルス線での有終のラストフライト

 そして同日、JALの長距離国際線を支えてきたボーイング777-300ERが、羽田=ロサンゼルス線での定期運航を終了した。最終便となったJL15便は、現地時間6月29日午後1時57分にロサンゼルス国際空港155番スポットを出発。乗客227名(うち幼児1名)と乗員18名(操縦士4名、客室乗務員14名)を乗せ、午後2時17分に離陸した。羽田空港には翌30日午後5時17分にA滑走路へ着陸し、同23分に108番スポットへ到着した。

 このフライトは、羽田空港からA350-1000の初便(JL16便)が出発するタイミングと重なり、新旧フラッグシップ機が交差する印象的なシーンが展開された。A350-1000がロサンゼルスへ向けてタキシングするなか、ロサンゼルスからの777-300ERが最後のランディングを果たすという、まさに世代交代の瞬間に立ち会うことができた。

 今回のJL15便は、単なるフライトにとどまらず、JAL国際線におけるフラッグシップ交代を象徴する運航として、多くの人々の記憶に深く刻まれることとなった。

※JAL羽田=ロサンゼルス線における777-300ERのフライトについては、月刊エアライン2025年7月号特集「JALフリートを完全制覇せよ」内で取材記事をお届けしています。

最後のロサンゼルス出発を迎えたJA733Jに、JAL整備士と現地スタッフが特製メッセージボードを掲げ、感謝と惜別の想いを届けた。
Photo:JAL
LAXを出発する最後の777-300ERには、登録記号JA733Jの機体がアサインされた。同機は2005年6月に登録され、同年7月1日から運航を開始した。
Photo:JAL
旅立つ機体を見つめながら、スタッフたちは静かに最後となる777-300ERの出発を見送った。
Photo:JAL
ロサンゼルスからの777-300ERが最後の着陸を果たし、同地へ向かうA350-1000と入れ替わるかたちで、羽田で世代交代の瞬間が交錯した。
JALロサンゼルス線での使命を終えた777-300ERが、静かに108番スポットへと滑り込む。
2024年1月にA350-1000をニューヨーク線に初投入して以来、JALは積極的に長距離国際線への展開を進めており、今回のロサンゼルス線投入はその一環。今後もボーイング777-300ERからの機材更新を進め、2025年度中には11機体制を目指す。