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フィンエアーのクーシストCEOが東京で語った、日本路線のポジティブな感触

6月13日、東京のフィンランド大使館で語ったフィンエアーのトゥルッカ・クーシスト代表取締役社長兼CEO。この前日のフィンランド・ナショナルデーには大阪・関西万博の北欧パビリオンを訪ね、その後、東京へと移動してきたという。そんな旅の疲れも見せることなく、いよいよ回復しつつある日本発の旅客需要のこと、他社の新規就航など盛り上がりを見せる日本=北欧路線のこと、フリートへの投資計画のことなど、たっぷりと語った。

文:山田 亮(本誌編集部)
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日本の4空港とヘルシンキを週25便で結ぶフィンエアー(便数は2025年夏スケジュール)。機材は全便が3クラスキャビンのエアバスA350-900での運航。
Photo:Yoshioka Atsushi

「日本のお客さまの動きが戻りつつあることを感じています」

 この夏スケジュールでは羽田・成田・関西・中部の4空港から週25便の日本路線を運航するフィンエアー。月刊エアラインの6月号においても、中部=ヘルシンキ線/ヘルシンキ=成田線の取材記事をお届けし、たとえば唯一の欧州線として乗り入れる中部セントレア発のフライトでは、取材者の事前の予想に反して、多くの日本人旅行者で賑わっていたことも伝えた(本記事はAIRLINE Webでも公開中)。

 パンデミック後における日本発の旅客需要は他国に比べてスロースタートであったが、この日、メディアを前に語ったトゥルッカ・クーシスト代表取締役社長兼CEOは、「日本のお客さまの動きが戻りつつあることを感じています。夏の旅行シーズンに向けてのご予約状況も非常に順調です」と、ポジティブな変化を感じている。

 グローバルな視点で見ても、「2025年の状況は予想通りに推移していて、米国の関税問題など将来が見通せない不安定要素もありますが、今のところお客さまの動向に悪影響は見られません」とのことであった。

 ただし同社にとって、ここ数か月に及んだ労使間交渉の影響は決して小さなものではなく、ストライキによる欠航も余儀なくされた。しかし、客室乗務員やパイロット組合との協議がまとまったことで終結に向かいつつあり、近いうちに全ての労働組合との協議が完了する見込みだという。

 こうした成果により、「フィンエアーのネクスト・チャプターへと前進する体制が整いつつあります。そのために、引き続き日本の市場が重要なものであると位置付けており、安全性と信頼性を大前提にしながら、お客さまのニーズをよく理解してサービスを提供していきます」と語った。

半年ぶりの来日となったフィンエアーのトゥルッカ・クーシスト代表取締役社長兼CEO。東京・南麻布のフィンランド大使館にて。
Photo:AIRLINE

「日本の皆さまのなかで北欧全体の魅力が高まっている。他社の就航もその現れでしょう」

 日本と北欧を結ぶ路線としては、今年1月にANAが羽田=ストックホルム線を就航させ、フィンエアー/日本航空のパートナーシップに新たな競合路線が誕生したとも言える。

 これについては、「日本のお客さまの海外旅行需要が戻りつつある中で新路線の動きが活発化し、同時に、日本の皆さまの中で北欧全体の魅力が高まっていることの現れでもあるでしょう。夏の季節のフィンランドも、人気の目的地として選んでいただいています。あわせて、欧州におけるベスト・ハブ空港のひとつであるヘルシンキ・ヴァンター空港の優れた乗り継ぎ利便性という面でも、私たちは引き続き、お客さまへの充実したサービスを提供していきたいと考えています」と述べる。

 フィンエアーが誇る70都市以上という豊富な欧州域内の就航地。日本から直行便のない都市へはもちろんのこと、ワイドボディ機材を投入するロンドン線などでも旺盛な乗り継ぎ需要があるという。

 フリート面では、日本路線に投入されるA350-900などワイドボディ機については近代化が完了している一方、「ナローボディ機を見ると、A320・A319の15機については、更新時期が近づいてきました。こうした投資にも力を入れているところで、今年2月にはそのためのプロジェクトを立ち上げました。2025年の事業年度中には何らかの発表ができると思います」

 折りしもこの取材の直前には、エア インディアでの痛ましい事故があった。クーシストCEOからは「犠牲者の方々に哀悼の意を示すとともに、大切な方を亡くしたご家族の心に寄り添いたいです。航空会社にとって、何ごとにも代えることができないのが安全。航空業界全体が、この痛ましい事実から学んでいくことが重要だと考えています」とコメントした。

フィンエアーの本拠地、優れた乗り継ぎ利便性が自慢のヘルシンキ・ヴァンター空港。近年ではフィンランド旅行も人気で、ここを目的地とした需要も高まっている。
Photos:Yoshioka Atsushi
6月13日、東京のフィンランド大使館で語ったフィンエアーのトゥルッカ・クーシスト代表取締役社長兼CEO。この前日のフィンランド・ナショナルデーには大阪・関西万博の北欧パビリオンを訪ね、その後、東京へと移動してきたという。そんな旅の疲れも見せることなく、いよいよ回復しつつある日本発の旅客需要のこと、他社の新規就航など盛り上がりを見せる日本=北欧路線のこと、フリートへの投資計画のことなど、たっぷりと語った。

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