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エア インディア墜落事故、ボーイング787-8(VT-ANB)の経歴

2025年6月12日、インド西部アーメダバード空港のRWY23をロンドン(ガトウィック)に向けて離陸した直後の墜落事故。ボーイング787型機としては初の全損事故となったAI171便の使用機材、VT-ANBの経歴をまとめた。

文:本誌編集部
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かつて成田空港で撮影された当該機VT-ANB。事故当時はデリー=アーメダバード=ロンドン線の運航に投入されていた。このほか直近の就航地はパリ、羽田、メルボルン、フランクフルトなど(同社の東京=デリー線は2025年春から羽田発着)。
Photo:Charlie FURUSHO

2013年12月初飛行のラインナンバー26、エア インディアには2014年2月から在籍

 乗客・乗員242人を乗せてアーメダバードを離陸したエア インディアのボーイング787-8型機、登録記号VT-ANBは、RWY23離陸から間もなく空港西側の市街地に墜落。本記事の執筆時点では奇跡的に生存した座席番号11Aの乗客を除く241人が死亡(うちクルー12名)。地上でも巻き込まれた犠牲者が複数いると伝えられている。今後はインドの航空当局と、製造当事国の米国による事故調査が本格化していくほか、ボーイング社や搭載エンジンGEnx-1Bを供給するゼネラル・エレクトリック社からも調査チームが現地へと派遣されている。

 VT-ANBは2013年12月、エバレット(ペインフィールド)で初飛行したシリアルナンバー(MSN)36279、ラインナンバー(L/N)26の機体で、2014年2月にエア インディアで就航した。当該機を含めて34機の787を擁し、東京線を含む長距離路線の主力に据えるエア インディア。同社は日本の大手2社と同様に787のデビュー初期から同型機を愛用してきた代表的オペレーターとして知られるが、新鋭機の787だけに、VT-ANBの機齢は12年弱でしかない。この事故がなければ、これからもエア インディアの第一線で活躍しつづけるはずだった機体だ。

 なお、“ANB”の登録記号や“26”というラインナンバーからは、あたかもエア インディアの787フリートにおける最初期の導入機のように思えるかもしれないが、2012年後半からデリバリーが始まった同社機の場合、必ずしもその数字のイメージと導入時期が一致していない点を追記しておく。

2025年6月12日、インド西部アーメダバード空港のRWY23をロンドン(ガトウィック)に向けて離陸した直後の墜落事故。ボーイング787型機としては初の全損事故となったAI171便の使用機材、VT-ANBの経歴をまとめた。

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