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約13年ぶりのJALフレイター、767-300BCF公開。2月19日に就航

 JALが貨物専用機、ボーイング767-300BCFを報道公開するとともに、フレイターを再導入する同社の貨物事業戦略の説明会を実施した。

文:本誌編集部
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ボーイング767-300BCF(JA653J)
JALにとって約13年ぶりのフレイター(貨物専用機)となるボーイング767-300BCF(JA653J)

 JALは2月8日、成田空港の格納庫にて2月19日の就航を予定するボーイング767-300BCFを報道公開した。2010年10月にフレイターの運航を終了以来、約13年ぶりの再導入となるJALフレイター。機体は2023年8月6日まで旅客機として運航されていたJA653Jで、その後、シンガポールで貨物機へと改修された。

 JAL執行役員 貨物郵便本部長 木藤祐一郎氏はフレイタービジネス再開について、「社会ニーズを捉えた高品質な物流インフラとして、お客さまの思いに応え、社会へ貢献する」という点を目標として掲げていることを説明。

 2010年の経営破綻後、事業の選択と集中を進めるなかでフレイター事業から撤退し、旅客事業に集中。貨物事業は旅客機の貨物室(ベリー)やチャーター便を用いていた同社だが、コロナ禍において旅客便が減少するなかで厳しい状況に置かれた。

 そこで、旅客とは異なる動きをするビジネスであること、コロナ禍において物流の重要性が再認識されたこと、コロナ後においても越境を含むeコマース需要が堅調である点などから、JALグループの事業構造改革において「フレイターが必要なピース」であると判断されたとしている。

JAL執行役員 貨物郵便本部長 木藤祐一郎氏
JAL執行役員 貨物郵便本部長 木藤祐一郎氏。フレイターを活用したJALグループの新たな貨物戦略を説明した。

 一方で、フレイター事業撤退にあたっては、貨物がボラティリティ(変動性)の大きい事業であることも理由とされた。そのリスクに対しては、DHL Expressとの「長期的かつ強固なパートナーシップ」でヘッジするという。DHLの貨物をJALフレイターにとってベースとなる需要とする考えだ。

 また、JALグループでは、ヤマトホールディングスが保有し、スプリング・ジャパンが運航するエアバスA321P2Fも活用。主に国内での輸送を担うA321P2Fが地域の産品を成田へ輸送し、そこからJALの767-300BCFで海外へ輸出する、といった物流が生まれることで、地域活性化にも貢献していきたいとしている。

運航スケジュール
2月19日に就航するJALフレイターの運航スケジュール(月刊エアライン2024年3月号より)

旅客機から貨物機へ。大きく姿を変えたJA653J

 貨物型へと生まれ変わり、1月17日に改修作業が行なわれたシンガポールから成田へと帰着したJA653J。ペイントは機体に大きく「JAL CARGO」と描かれるが、鶴丸ロゴは健在だ。

 メインデッキのシートはすべて取り払われ、床面の強化やローラーの設置など貨物仕様機としての改修が施された。ちなみに、PDU(Power Drive Unit)については新設されたメインデッキのカーゴスペースには装備されていないが、ロワデッキ(下部貨物室)は旅客機時代から取り付けられていたものがそのまま残されている。

 このほかにも改修は多岐にわたっており、貨物機らしくドアはL1(左側最前方)の1か所のみで、スライドシュートも取り払われている。代わりに、水上での避難に用いる“いかだ”であったり、懸垂下降するための設備・装備品が備え付けられている。

 ラバトリー(トイレ)も変更された。もちろん前方1か所のみの設置なのだが、昨今の旅客機のように、バキューム式と呼ばれる気圧差によって機内1か所のタンクへ汚物を排出する方式ではなく、消毒液とともにタンクへと運ぶ循環式になっていた。運航にあたって搭乗する人数が少ないフレイターならではの特徴といえるだろう。

フレイターを象徴する装備、メインデッキのカーゴドア。
メインデッキ内。最大32トン・パレット24台を搭載可能。
機体前方のロワデッキのカーゴドア。機体後方とはドアサイズが異なる。
前方のロワカーゴスペース内。
 JALが貨物専用機、ボーイング767-300BCFを報道公開するとともに、フレイターを再導入する同社の貨物事業戦略の説明会を実施した。

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