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【阿施光南の取材視点】JAL「DREAM MILES PASS」プロジェクト。“移動”を理由に若者たちが夢を諦めないため、航空会社ができること。

9月27日、JALは夢を追う若者を応援する「DREAM MILES PASS」プロジェクトを始動させ、また9月29日からはそのシンボルとして特別塗装のA350-900「DREAM SHO JET(JA08XJ)」を国内各路線に就航させた。そのお披露目イベントを取材した阿施光南は、サポートを受ける若者(本プロジェクトではDreamerと呼ぶ)たちにも、「自分には本当にその夢に向かう覚悟があるのか」を問いかけるプロジェクトだと感じた。

文:阿施光南 写真:阿施光南
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「DREAM MILES PASS」プロジェクトのシンボルとなる「DREAM SHO JET」。使用機材は国内線用のA350-900(JA08XJ)で、胴体後部の絵柄は左右で異なる。写真は左舷側。
写真は右舷側。

中高大学生から若手社会人の約4人に1人が、「移動を理由に夢を諦めたことがある」と答えた事実。

 9月27日、JALは夢を追う若者を応援する「DREAM MILES PASS」プロジェクトを始動した。また29日からはそのシンボルとして特別塗装のA350-900「DREAM SHO JET(JA08XJ)」を国内各路線に就航させた。
 「DREAM MILES PASS」プロジェクトは、JALが次世代を担う若者たちの夢を「移動」への支援を通じて応援しようというものだ。たとえば部活動の遠征費用が家計を圧迫するために部活動を辞めざるを得なくなったり、海外留学の渡航費や学費が捻出できず断念するなど、「移動の経済的負担」が夢を叶える障害になるケースは少なくない。
 とりわけ若年層においては、コロナ禍による移動制限やその後の物価高、円安によって、経験・体験の数が他の世代と比べて圧倒的に少なくなっているという。JALが9月に実施した調査では、中高大学生から若手社会人の約4人に1人が「移動を理由に夢を諦めたことがある」と答え、部活動の顧問など教員の6割以上が、「現役学生は他世代と比べて移動機会が減っている実感がある」と答えているそうだ。
 JALはこうした現実に着目し、メジャーリーグで活躍する大谷翔平 選手の花巻東高校入学から現在に至るまでの総移動距離892,440kmと同じ距離の航空券として若者へと還元。さらにJMB(JALマイレージバンク)会員を対象とした「Supporter」制度も創設し、10月31日までに寄せられたマイル(1マイル=1円相当とした金額)を、若者への航空券還元に加えることにした。

「DREAM SHO JET」のお披露目で記念撮影をするJALの鳥取三津子 社長と、パリ五輪金メダリストでJAL社員アスリートの北口榛花さん、加納虹輝さん、そしてJALの客室乗務員と整備士。
左右の2番ドア付近にはMLB(Major League Baseball)のロゴがあり、さらにL1ドアとL2ドアの横にはウェルカムマークがつけられている。

JAL社員アスリートのパリ五輪金メダリスト、北口榛花 選手(やり投)と加納虹輝 選手(フェンシング)も自身の経験を語った。

 「DREAM SHO JET」は、就航を翌日に控えた9月28日に羽田空港M2ハンガーで報道関係者に公開された。またJAL社員アスリートでありパリ五輪の金メダリストである北口榛花 選手(やり投)と加納虹輝 選手(フェンシング)が、自らの体験をもとに世界に踏み出すことの大切さを語った。
 北口選手は「言葉もまるでわからなかったが、やり投を究めるならばヨーロッパしかない」と決意し、現在もチェコを拠点に活躍。加納選手も高校時代に初めてヨーロッパに遠征し、初陣の成績は散々であったものの、そうした悔しい思いを含めて世界に跳びだすことの重要性をアピールした。
 「DREAM MILES PASS」プロジェクトで支援される「Dreamer」は中学生を除く満15歳以上を対象とし、JALの専用サイトで自身の夢、出発地、目的地などを入力。その際に発券されるオリジナルデザインの「ドリームパス」をSNSでシェアすることで、応募完了となる。もちろん、夢はスポーツなどに限らない。
 募集期間は10月31日までで、当選者には応募内容に応じて、2025年1月14日~6月30日までの期間のJALグループ運航便の国内線普通席、または国際線エコノミークラスの往復航空券1名分がプレゼントされる。当然ながら、当選者数は提供される航空券の距離数や前記した「Supporter」の数によって変動する。

「DREAM SHO JET」機内で使われる特別デザインの紙コップ。デザインは6種類あるが、選ぶことはできず、またなくなり次第提供は終了になる。
機内に置かれる「DREAM MILES PASS」プロジェクトのリーフレット(持ち帰ることはできない)と、「DREAM SHO JET」の搭乗記念カード。

本当に追いかけたい夢があるなら突き進むべき。それを応援するJALのプロジェクトを臆することなく活用したい。

 式典に参加しながら、これは「Dreamer」として応募するにも重いプロジェクトだなと感じた。単に「無料航空券をプレゼントします」というのではなく、「夢を実現するためのお手伝いをしましょう」という企画だ。言いかえるならば、「あなたには本気で追いかける夢がありますか」と問われているのだ。
 たとえばコロナ禍だからとあきらめていた夢に、ここでまた手の届く可能性が出てきた。それは大きな光ではあるが、同時に自らの決意や本気さが試されることになる。ひょっとしたら、夢への挑戦をあきらめる口実にコロナ禍などを使っていただけではないか。自分には、本当にその夢に向かう覚悟があるのか。そんなことを自問し、突き詰めていくと、自信が崩れてしまいそうになるかもしれない。
 しかし、臆することなくどんどん挑戦(応募)すべきだろう。「DREAM MILES PASS」プロジェクトは、結果を求めているのではない。誰もが金メダルを取れるわけではないし、ノーベル賞に相当するような結果が残せるわけではない。問われているのは結果ではなく、夢に向かうあなたの決意であり姿勢なのだ。
 また「Dreamer」には15歳以上という条件はあるが、上限年齢はない。コロナ禍などで移動の機会を奪われた世代を対象とするという趣旨からすればおのずと限度はありそうだが、若い頃から準備していた夢がコロナ禍のために実現のタイミングを失ったという人もいるかもしれない。本当に夢を追いかける覚悟があるのならば、あれこれ悩まずに挑戦したい。これは、そのためのきっかけを作ってくれるプロジェクトなのだ。

【すべての夢に羽ばたくチャンスを。 DREAM MILES PASS – JAL】
https://www.jal.co.jp/campaign/dream-miles-pass/

9月29日の「DREAM SHO JET」初便(羽田=新千歳JL503便)で配られた搭乗記念証。A350-900が投入されている各国内路線に投入され、2026年3月頃まで運航される。
9月27日、JALは夢を追う若者を応援する「DREAM MILES PASS」プロジェクトを始動させ、また9月29日からはそのシンボルとして特別塗装のA350-900「DREAM SHO JET(JA08XJ)」を国内各路線に就航させた。そのお披露目イベントを取材した阿施光南は、サポートを受ける若者(本プロジェクトではDreamerと呼ぶ)たちにも、「自分には本当にその夢に向かう覚悟があるのか」を問いかけるプロジェクトだと感じた。

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