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シドニー国際空港のJALカウンター。早朝かつ出発まで3時間近くあったため、人はまばらだった。
カンタス航空ファーストクラスラウンジの入り口。同社やJALを含めた提携航空会社のファーストクラス利用者のほか、ワンワールド・エメラルド会員などが利用できる。
ラウンジはターミナルから扇形に迫り出す最上階に設けられていて、飛行機の垂直尾翼を想起させる仕切りが並ぶ。この不思議な仕切り、ずっと眺めていると平衡感覚を奪われそうになる。
この後は機内食が待ち構えているので控えめに……と思っていたが、美味しそうなメニューにそそられついたくさん食べてしまった。
羽田空港から、シドニー国際空港25番ゲートへと到着するJA738J。これから搭乗するファーストクラスは、この長い胴体の前方にわずか8席のみが設けられている。
入室時には気が付かなかったが、受付横の壁面を埋め尽くすように置かれたパタパタ式の出発ボード。これ以外にも、ラウンジ奥に小さいサイズのものが設置されていた。出発便が出ていくと、まるでBGMのように、ラウンジの雰囲気を邪魔しない絶妙なボリュームでその音色を奏でる。
ゲートで待っていたJA738J。25番ゲートはピアの端にあり、ぐるっと機体を回り込むようにして搭乗する。
777-300ERに装備される「JAL SUITE」は、A350-1000のファーストクラスシートのように高いパーティションやドアこそないが、その分、客室全体に開放感がある。
ウェルカムドリンクにシャンパンをいただき、優雅なファーストクラスの旅が始まる。
ファーストクラスのロゴが入った専用のホルダーには、機内食やドリンクのメニュー、さらに機内Wi-Fi用のクーポンコード(ビジネスとファーストクラス利用者はフライト中無料で利用可能)。さらにノイズキャンセリングヘッドフォンと、アメニティキットが提供された。
市街地のすぐそばに位置するシドニー国際空港。離陸後にはその街並みが綺麗に見えた。
上下セットのリラクシングウェアは、専用の巾着袋付き。裏地のふわっとした優しい肌触りが心地良い。持ち帰りOKなのも嬉しいポイントだ。
メニューには載っていないが、1杯目とともにアスパラガスの肉巻きと蟹のサラダが提供された。
料理とともにいただくパンは4種類から好きなだけ食べられる。アミューズは「冷製スパイスパンプキンスープ カニ、パンプキンシード、オリーブオイル」。テーブルはカトラリー1つ1つに至るまで、丁寧にセッティングしてくれる。
続いての前菜は「ペッパーマグロステーキのカルパッチョ 山葵クリーム、トリュフ醤油ソース」、「鴨ロースと生ハムのサラダ レンズ豆、無花果ドレッシング」の順に提供。
メインは魚と牛肉の2種。前者は「鱸のソテー フェンネルチャウダーソース」、後者は出発地オーストラリア産の肉を使用した、「プレミアムブラックアンガス牛のリブアイセロリピューレ、スモーク醤油ソース」だった。2〜3杯目のお酒は客室乗務員にお任せで、料理に合う白・赤の2種のワインをいただいた。魚と一緒に持ってきてくれたのは「ヴィルジニー・ド・ヴァランドロー・ブラン」、肉と一緒には「シャトー・ラグランジュ」。
コースを締めくくるデザートは「チョコレートムースケーキ&マンゴーパッションフルーツケーキ」。ストレートの紅茶とともに味わう。
シート横のサイドテーブルを開けると、ノートPCやアメニティ類なども余裕で入る大きな収納。その横には航空機用電話とメガネ用収納、さらに前方には機内食のオーダーなども可能なタッチパネル式の個人用モニターのコントローラが備わる。すべてが木目調パネルの中に隠れていることで空間がスッキリとし、シート全体に統一感を与える。
その収納の開口部のすぐ下には、シートコントローラーが(写真左)。各ボジションへボタン1つで転換できるのはもちろん、部位ごとの微調整、さらにマッサージ機能まで備わっている。またサイドテーブル前方には、スマートフォンなどを入れておけるサイズのユニバーサル電源とUSB-A充電ポート付き収納も(写真右)。
前方のオットマンにはシートベルトが設置されており、同じファーストクラスの同行者と向かい合って食事をすることも可能。またオットマンの下にも収納スペースがある。
ファーストクラスに乗ってガッツリ仕事、なんて人は少ないだろうが、テーブルは16インチのノートPCを置いてもまだまだ余裕の大きさだ。
座席モニターは23インチの大画面。その手前に見えるのは収納された状態のテーブルで、ここから座席の前まで引き出すことができる。
オーストラリア北東部、ケアンズ付近の海岸線沿いで見えた珊瑚礁。シートピッチ、という言葉が適切かどうかもわからないほど広い空間のおかげで、窓3〜4つ分の景色を独り占めできる。
アメニティキットのポーチは、障がいを持つアーティストと契約し、その作品を世に広める「HERALBONY」とのコラボ。今回は高田 裕氏の作品「迷路」がデザインされていた。中には耳栓にアイマスク、充電器といったフライトを快適にする品に、歯ブラシとマウスウォッシュ、保湿マスク、ヘアコーム、ポケットティッシュ、「PAYOT」のリップとハンドクリームといった化粧品が入っている。またアメニティとは別に、男性には「SHISEIDO MEN」のスキンケアセット(写真左)、女性の場合は「クレ・ド・ポー ボーテ」のコスメキットが手渡される。
台に加え、着替え中にちょっと腰掛けることができるベンチもついている。
カウンターには「クレ・ド・ポー ボーテ」の乳液とリペアオイルを常備。使い捨てのタオルはペーパーではなく布製だ。
ベッドの大きさは最大で幅約84cm、長さ約198cmあり、寝返りを打つにも十分な広さだ。
アラカルトメニューは種類が豊富で、好きに組み合わせてオーダーできる。まずは“前菜”として「プロシュート、マッシュルーム、蕎麦の実のサラダ クリーミーディルドレッシング」。
1食目は洋食を選んだので、こちらは軽めの和食をチョイス。台の物は「鶏肉の白菜巻き 椎茸、人参、スナップピース」、そこに香の物、さらにご飯と味噌汁がつく。ここでいただいたドリンクはファーストクラス限定、“幻の焼酎”「森伊蔵」だ。
ちょうど夕暮れ時の羽田空港に着陸。管制塔の背後には美しい空が広がっていた。
まだまだ世界各地を忙しく飛び回っているJALの777-300ER。誘導路で待機中、ロンドンから帰ってきた1号機、JA731Jが横を通過した。
最終的にはオープンスポットに到着したJL52便。このサイズの機体からタラップで降りるというのもまたレアな体験で、最後に777-300ERを外から存分に眺めることができた。