特集/本誌より
JAL羽田=シドニー線で、ボーイング777-300ERを2クラス乗り比べ! エコノミークラス編
いよいよ退役がスタートしたJALの777-300ER。フラッグシップの座こそA350-1000に譲りつつあるが、これまで同社国際線の顔として活躍してきた機体だけあり、そのプロダクトは今も色褪せない。エコノミークラス、そしてJALが誇る最上位のファーストクラスという2つのキャビンで、777-300ERの魅力を体感した。まずは、エコノミークラスから。
※ファーストクラス編はこちら
A350-1000の導入から1年、退役が始まっている777-300ER
2024年、日本の航空業界における大きな話題の1つといえば、JALの新たな国際線フラッグシップ、エアバスA350-1000のデビューだろう。その一方で、これまでフラッグシップとして活躍してきたボーイング777-300ERは退役が始まり、2024年は1機(登録記号JA734J)がJALを離れている。
ひと世代前の777-300ERは、A350-1000と比べてしまえば少々見劣りするかもしれない。だが2013年当時、満を持してデビューした「JAL SKY SUITE」仕様のプロダクトは、今の時代にも十分に通用する。依然として欧米やアジアの幹線における主力機として活躍する同機種。今回は羽田=シドニー線で搭乗する機会があり、せっかくなので往路はエコノミークラス、復路はファーストクラスと、2つのクラスを乗り比べてみることにした。
シドニー行きは夜通しフライトするレッドアイ便
そしてやってきた、夕方の羽田空港。北米便を中心としたラッシュアワーのまっただ中で、多くの人でごった返していた。その喧騒を避けるためにやってきた、サクララウンジ(JALグローバルクラブ会員として入室)。機内での安眠のためにとお酒を片手に窓の外を眺めると、目の前の114番スポットに本日の搭乗機が佇んでいる。JAL 777-300ERの6号機、登録記号JA736Jだ。
搭乗時刻が近づいてきたので、ラウンジを出てゲートへと向かう。JALの羽田→シドニー線JL51便は19時15分発、翌朝6時50分(日本時間4時50分)着というレッドアイ便(深夜便)。出発地で飛行機に乗り込めば、朝起きるころには別世界へ連れて行ってくれる。いつ乗ってもナイトフライトはワクワクするものだ。
機内へと足を踏み入れ、長い胴体のうち最後方の147席のみとなるエコノミークラスへと向かう。777-300ERの同クラスの座席は、「JAL SKY WIDER」だ。従来のシートから座席間隔を最大で約10cm広げた革新的なプロダクトである。
通常の座席でも、その間隔はA350-1000と同様の最大86cmでゆとりがあるが、筆者がシドニーまでの9時間超を過ごすのは、機首に向かって左の窓側席、45Aだ。L3ドアが目の前にあるこの場所は非常口座席となっていて、足元は広々。さらに、非常口である旨の案内をすべくやって来た客室乗務員が、隣2席が空席だということを教えてくれた。これはラッキー。
雷雲を翔け抜け、オーストラリアへ向けて一直線に南下
出発前には一時、雷を伴った雨が激しくなる場面があったものの、幸い15分少々の遅延で出発。ほぼ満席近い約240人の乗客と乗員、さらに貨物とシドニーまでの燃料も乗せた777-300ER。この日は3,360mある長いC滑走路、RWY34Rからの離陸だ。東京湾上空で旋回した機体は、ここからシドニーまでほぼ一直線のフライト。ただし東京湾の出口付近で到着機と交差するため、1万フィート前後でしばらくの水平飛行をする。
離陸からおよそ15分後、パワフルな2基のGE90-115Bエンジンが再び唸りを上げたかと思えば、巨大な777-300ERはゆっくりと上昇を再開。前述の通り羽田の周辺空域には雷雲が立ち込めていたため、しばらく揺れが続いたが、30分ほどでシートベルトサインは消灯した。早速、お待ちかねの機内食タイムである。
JALの日本発エコノミークラス(一部路線を除く)では、「RED U-35 × Well-being」と題した機内食を提供。日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」にて優秀な成績を収めたシェフとのコラボで提供され、この時は町田亮治シェフ監修のメニューだった。「おいしい、だけじゃない。食べるほどに体が喜ぶ」をテーマとし、持続可能な食材も取り入れながら、それぞれのシェフが趣向を凝らしたメニューを提供している。
食事のあとは、ラバトリーに向かって寝支度をする。パーソナルモニターで映画を見始めたものの、ラウンジで嗜んだお酒が、ほどなくして夢の中へと連れて行ってくれた。その間も機体は暗闇の太平洋を順調に進み、マリアナ諸島、パプアニューギニアなどを過ぎていく。
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そして翌朝、機窓から楽しむ日の出やシドニーの街並みという絶景
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