特集/本誌より

ついにリリースされた「Microsoft Flight Simulator 2024」、旅客機マニア的おすすめポイント

11月20日、マイクロソフトが誇るフライトシミュレーターシリーズ「Microsoft Flight Simulator」の新作がリリースされた。前作と比べて描写がよりリアルになるなど、さまざまなな面でパワーアップした本作。旅客機マニアにとって注目の進化点をご紹介しよう。

文:芳岡 淳
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747-400LCFがラインナップに含まれると聞いたときから再現したかった、中部国際空港での姿を早速プレイ。

植物などの描写がパワーアップ。自由に散策できる人物視点も

 11月20日、新たなフライトシミュレーターとしてマイクロソフトから「Microsoft Flight Simulator 2024(MSFS2024)」がリリース。Xboxからレビュー用のコードを提供してもらったので、旅客機マニアの私が注目するポイントを紹介しよう。

 マイクロソフトのフライトシミュレーターは長い歴史を誇るベストセラーゲームで、世界中で愛され続ける存在。4年前には、グラフィックを大きく進化させた「Micorosft Flight Simulator 2020(MSFS2020)」が、2006年の「Microsoft Flight Simulator X(FSX)」以来14年ぶりの発売として大きな話題となったが、今作はMSFS2020のアップデート版と捉えて良いだろう。

 グラフィック面ではMSFS2020よりも細部にさらに拘ってディティールが再現されており、特に木や草などの植物のほか、水面の表現力が向上している。これを再現するには膨大なデータが必要となるが、MSFS2024においては基本的にサーバーから随時データを読み込むため、必要とするパソコン容量の削減やロード時間の短縮にも繋がっている。

 そしてMSFS2024では新たに人物視点で動くことのできるモードが搭載。フリーフライトなどで駐機状態から始める場合には、この人物視点で始めることで、機体の外部点検も実機さながらに行なうことができる。コクピットなどの機体視点と人物視点は「Shift+C」で簡単に切り替えられるため、遊んでみると楽しいだろう。

MSFS2024のメニュー画面。MSFS2020からデザインも変わっているが、初めてでも操作面で戸惑うことはなかった。

パイロットの人生をゲーム内で体感する「キャリアモード」

 人物といえば、MSFS2024ではストーリー性も考えられている。「キャリアモード」が新設され、飛行学校における訓練や航空会社への就職など、パイロットの一連の人生を体感することができるモードだ。

 まだ発売から間もないこともあり、私自身はあまりこのモードをプレイできていないが、訓練開始時にはその拠点となる飛行場を世界中から選ぶことができるため、思い入れのある地で訓練を行なうのも良いだろう。

キャリアモードは操縦訓練からスタート。最初に自身のアバターを作成するため、まるで自分がゲームの中に存在しているかのようだ。

旅客機のラインナップは大幅に増加。プレミアムエディションで全て揃えたい

 ゲームとしての進化が著しいMSFS2024だが、デフォルトの機体(アドオンではなく、ゲームに最初から付属する機体)のバリエーションも大幅に増えた。旅客機においてはMSFS2020のボーイング747-8、787-10、エアバスA320neo、A310-300などに加えて、新たに737MAX、747-400LCF/-400「Global Supertanker」、A330-300/-300P2F/-200、A330-743L「Beluga XL」、A321neo、Saab 340、デ・ハビランドDHC-6をラインナップしている。特にA330シリーズは、MSFS2020時代に培ったエアバス機開発の技術力からか、機体ディティール、アビオニクスともに完成度が高く、デフォルト機とは思えないクオリティを実現している。

 なお747-400シリーズやSaab 340を使用するには、4つあるMSFS2024のエディションのうち「プレミアムエディション」または「アビエーターエディション」を購入する必要がある。いずれも標準の「スタンダードエディション」と比較して値段が高くなるが、旅客機マニアであれば「プレミアムエディション」をおすすめしたい。とはいえ、私としても楽しみにしていた747-400シリーズの完成度は、個人的な感覚では今ひとつで、特に機体ディティールやコクピットデザインなどは今後のアップデートで改善を期待したいところだ。

羽田空港第3ターミナルのサテライトスポットに駐機する大韓航空のA330-300。デフォルトでも実在する航空会社の塗装が含まれている。
これまでのフライトシミュレーターではデフォルトで人物が再現されることはなかったが、今作ではプレイヤー自身を含めて登場。副操縦士もコクピットに乗務する。

今後期待したいアドオンの充実

 今回の記事ではアドオン(追加コンテンツ)を入れることなく、完全にデフォルトの状態でプレイしたが、その状態においてもすでにMSFS2020より高いクオリティを実現していると感じられた。とはいえ、アドオンの充実も期待されるところで、今後シミュレーター内のマーケットプレイスがオープンしたり、各社のアドオンが対応したりすることで、さらにリアリティを増した環境が期待できるだろう。ようやくMSFS2020における安定性やアドオンの充実が進んできたタイミングでもあるが、しばらくの間はMSFS2024と使い分けて併用することが良さそうな印象を受ける。

富山空港にアプローチするA321neo。MSFS2020と比較して、建物一つひとつの再現性が増しているように感じられる。
東京の夜景を眺めながらVOR AアプローチでRWY16Lへと進入する様子を再現。現実世界ではなかなか見られないこの光景も、MSFS2024上なら簡単に再現でき、操縦まで楽しむことができる。

(C)Microsoft

11月20日、マイクロソフトが誇るフライトシミュレーターシリーズ「Microsoft Flight Simulator」の新作がリリースされた。前作と比べて描写がよりリアルになるなど、さまざまなな面でパワーアップした本作。旅客機マニアにとって注目の進化点をご紹介しよう。