特集/本誌より
珍しいエアラインにハイブリッド塗装も。夏のヨーロッパに出現する変わったヒコーキたち
季節によって拠点とする大陸を変える機体も
リース機はほとんどの場合、ACMI(機体、整備、乗員、保険)つきで貸し出される。機内はほとんどがオールエコノミーで、LCC並みの狭い座席配置の仕様が多い。これらの機体は夏の繁忙期以外、他の季節にはどうしているかと言うと、例えば冬はオーストリアのインスブルックなどのスキーリゾートへのチャーター便があるほか、寒いヨーロッパ北部の冬から逃れられる温暖な南部の地中海周辺への需要もある。
しかし夏と比べると便数や路線数は格段に少なく、機体のリース元のエアラインはカナダなど他の地域の国へ機体を貸すこともある。夏はヨーロッパのチャーターエアラインで飛び、冬はカナダからカリブ海へのチャーター便に充当されるといった、渡り鳥のような活躍をしているシップもあるのが面白い。
機体カラーのバリエーションも多様で楽しい
借りたエアラインにしてみれば、できれば機体をフルカラーにしたいところだが、塗装には経費もかかるし、運航する期間が短い場合もある。実際にフルカラーにするものもあれば、とりあえず社名だけを描いて飛ばすもの、さらには次々といろいろなエアラインにリースされるためにオールホワイトのまま社名やロゴは一切描かないものなど、さまざまなカラーリングが存在する。アバウトと言うか、カラーリングよりも運航を優先するのだ。また、ハイブリッド塗装(2社以上のエアラインの塗装やロゴ、社名を描くこと)が出現することも多い。
また機体の登録記号は運航される国が変わっても基本的に変更しないが、一部例外もある。例えばチェコのスマートウイングスの機体で、夏はチェコ籍の「OK」レジだが、秋から春までカナダのサンウイング航空で飛ぶ際には同国籍の「C」レジに変更されるという形で、半年ごとにレジが変わる機体もあるくらいだ。ちなみにこのケースでは、「OK」レジも「C」レジも毎回同じものが使用される。
撮影目的だと、こうした機体に出会えるのは楽しい。ハイブリッド塗装が来ればアタリであり、反対に聞いたことがないエアラインだと思って期待していると社名やロゴなしのオールホワイト機が来てしまうこともあるが、毎年夏はどんな機体、どんなエアラインに出会えるかワクワクするので、ヨーロッパでの撮影はやめられない。
月刊エアラインの誌面では、チャーリィ氏の欧州遠征をレポート!
今回ご紹介したリース機の数々を含め、この夏の欧州遠征で多様な機体を撮影してきたチャーリィ氏。レンタカーを借りてオランダ、ドイツ、スイス、ベルギーの4か国の空港を、3,000kmにおよぶドライブで巡った遠征の模様は、月刊エアライン9月号から3回にわたり誌面でお届けしています。こちらもぜひチェックしてみてください!