航空旅行

国内線で“最大級”の存在感、ANAボーイング777-300に近づく終章

国内の大空を支えたジャンボジェットの系譜を継ぐ存在――それがANAのボーイング777-300です。
500席を超えるスケールで幹線を結び続けてきたこの機体も、ついに終章へ。
平成から令和へ、日本の空を見守ってきた“空の巨人”のいまを追いました。

文:『航空旅行』編集部
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ja754A
10月31日にラストフライトしたJA754A。これでANAに残るボーイング777-300は4機になりました。
Photo:Charlie FURUSHO

500席超だからこそできる技がある

 かつてボーイング747-400Dなど、ジャンボジェットが主役だった時代には、日本の国内線で500席を超える座席数は珍しくありませんでした。しかし現在、500席を超える旅客機は、ANAのボーイング777-300だけです。プレミアムクラス21席、普通席493席、計514席という圧倒的な座席数を誇るこの機体は、羽田〜那覇線や新千歳線といった幹線で活躍。今も修学旅行や団体ツアーなど、一度に数百人単位のまとまった移動がある際には、1機で対応できる貴重な存在です。
 777-300の初号機、JA751Aがデビューしたのは1998年のこと。それから最大で7機がANAには在籍し、日本の空の大動脈を結んできました。広々としたキャビンと高い静粛性、そして力強いエンジン音は、まさに「平成の空の主役」。その存在感は、ボーイング747の退役後も“ポスト・ジャンボ”として多くの旅人に親しまれてきました。
 しかし今、その巨体にも世代交代の波が着実に迫っています。コロナ禍があり、そして燃費性能に優れたボーイング787の導入も進んだことで、777-300は徐々に姿を減らしています。今年に入った時点では5機が現役でしたが、10月31日、JA754Aが那覇〜羽田線でラストフライトを迎えたことで、残るは4機となりました。
 いまや唯一無二の存在となった、500席超というスケール感を誇るANAのボーイング777-300。長年にわたり日本の空を支えてきた“空の巨人”は、静かに新しい世代へとバトンを渡そうとしています。

premium class
プレミアムクラスは機体の前方に、2-3-2の横7席の並びで3列、21席が用意されています。
Photo:Akira Fukazawa
economy class
普通席は5列目から58列目まで、3-4-3の横10席でずらりと並びます。
Photo:Akira Fukazawa
economy seat
普通席のシートは、現在の最新スリムシートと比べるとクラシックな感じがしますが、国内線では無料で使える高速Wi-Fiには777-300も対応しており、動画もスムーズにみることができます。
Photo:Akira Fukazawa

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