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Bula! フィジーエアウェイズ〜フライトレポートpart2

2009年3月にエア・パシフィック航空が運航を休止して以来、途絶えていた日本とフィジーを結ぶ直行便。
しかし2018年7月、エア・パシフィック航空はフィジーエアウェイズに装いを改め、再び成田〜ナンディ線に就航した。
社名は変わっても「ブラ!」を地でいくホスピタリティ精神は健在。
シックスセンシズからの帰国便でも温かなサービスを体験することができた。

※この記事は 『航空旅行vol.29』(2019年4月発売)から抜粋・再編集したものです。

文:本城善也 Text by Yoshiya Honjo 写真:大橋マサヒロ Photo by Masahiro Ohashi
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日本語通訳村上さんとの出会い

 14時25分、機内食サービスが始まった。ナンディから成田に向かうFJ351便の一食目はランチになり、ビジネスクラスでは前菜から始まるコース料理が提供される。メインディッシュは「胡麻のクリスピーチキン揚げ」、「じっくり煮込んだビーフシチュー」、「茄子味噌」の3種類を用意。これらのメニューは、同社でエグゼクティブシェフを務めるジョエル・クロンプトン氏と、ニュージーランド人の著名なシェフ、ロバート・オリバー氏の監修によるもので、フィジー料理のテイストがメニューにも反映されることが多いが、「茄子味噌」は日本路線向けの和風メニュー。白米に大きな焼き茄子が味噌ベースで味付けされ、かぼちゃ、椎茸、インゲンが添えられていた。肉を使っていないのでベジタリアン向けでもある。そして食事の締めは、ワゴンサービスでやってくるみずみずしいフレッシュフルーツとアイスクリーム。フライトは揺れもなく極めて順調で、優雅なランチタイムを満喫した。

 機内食サービスが終わると、キャビンにはまったりとした時間が流れる。フィジー時間ではまだ夕方だが、シートをベッドポジションにして眠りにつく人も多くなってきた。キャビンクルーも一息つける時間のようで、フライトについてのインタビューをする余裕もありそうだ。ちなみにフィジーエアウェイズのキャビンクルーは100%フィジー人で構成されている。だからこそフィジーならではの温かく、おおらかな感じが機内サービスにも反映されているわけだが、唯一の例外が機内通訳で、FJ351便では村上瑞保さんが乗務していた。

 村上さんは、大学時代にフィジーとオーストラリアに留学。その経験から南太平洋エリアで働きたいと思い、2018年7月から機内通訳として乗務しているという。機内通訳なので積極的にサービス業務に関わるわけではないが、それでも成田線は日本人客も多いので、機内を前に後ろに行ったり来たりなかなか大変そうだ。ただ、日本語が通じるという安心感は乗客にとってはありがたく、実際にビジネスクラスで私の通路を挟んで反対側に座っていた日本人のご夫婦は、村上さんの丁寧な対応に満足げな表情をしていた。村上さん自身もフィジーエアウェイズでの仕事にやりがいを感じているようで、「フライト終わりのデブリーフィングでも、まず、聞かれるのは『今日の仕事は楽しかった?』ということなんです。私は日本人ですが、フィジーの人たちは国籍を問わず温かく受け入れてくれます。このような精神が国民性のクルーと一緒に仕事をするのは楽しいですし、フィジーエアウェイズが日本に飛び続ける限り乗務を続けていきたいですね」と語る。
 シックスセンシズのみならず、フィジーにもう一度行かなければ、と思うような素敵な出会いであった。

JALとの提携でより身近に

 フライトも終盤、成田到着は19時30分ということで、2回目の機内食はディナーになる。ビジネスクラスはランチ同様にコースメニューで、メインディッシュも「鶏もも肉の照り焼き」、「牛肉と野菜の串焼き」、「パニールバターマサラ」の3種類からの選択。「パニールバターマサラ」はインド系住民も多いフィジーらしく本格的な味付けで、合わせたオーストラリア産のシャルドネとの相性もばっちりだった。

 窓の外を見ると、もうかなり暗くなっている。日本を出発したのは3日前の21時25分発、FJ350便。思い返すと往路のクルーも明るく、通常のアナウンスの後に、搭乗していた誕生日の乗客をお祝いするサプライズメッセージが添えられ、機内全体が喜びの空気に包まれていたことを思い出した。フィジーに名残惜しさを感じるのは、このハートウォーミングな空間に別れを告げなければいけないからかもしれない。

 フィジーエアウェイズは、「ワンワールド・コネクト」のメンバーであり、2月26日からはJALとの共同運航も始まった。JALとの提携により、旅先として魅力がさらに高まった温かなフィジーは、ぜひ次の旅行で検討してみてほしい。おすすめのデスティネーションである。

2009年3月にエア・パシフィック航空が運航を休止して以来、途絶えていた日本とフィジーを結ぶ直行便。 しかし2018年7月、エア・パシフィック航空はフィジーエアウェイズに装いを改め、再び成田〜ナンディ線に就航した。 社名は変わっても「ブラ!」を地でいくホスピタリティ精神は健在。 シックスセンシズからの帰国便でも温かなサービスを体験することができた。 ※この記事は 『航空旅行vol.29』(2019年4月発売)から抜粋・再編集したものです。

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