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エミレーツ航空エアバスA380、プレミアムエコノミーの旅

ドバイから成田と羽田、そして関西の3路線を運航するエミレーツ航空は、成田と関西線にプレミアムエコノミークラスも設定したエアバスA380を投入しています。
プレミアムエコノミーといえば、ビジネスクラスとエコノミークラスの中間クラスで、最近ではJALの新機材、エアバスA350-1000で90度の高さまで上がるレッグレストに驚かせられましたが、エコノミーと名乗りながら、サービスとしては明らかにワンランク以上を指向するエアラインが増えてきている印象です。
では、エミレーツ航空の場合はどうでしょうか?
『航空旅行』がドバイ〜パリ線で体験したフライトの模様をお届けしましょう。
※この記事は 『航空旅行vol.40』(2022年1月発売)から抜粋・再編集したものです。

文:『航空旅行』編集部 写真:大橋マサヒロ
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A380 at CDG
総2階建て、世界最大の旅客機であるエアバスA380。成田線と関西線にも投入されている。

じっくりと時間をかけて開発されたプレミアムエコノミー

 エミレーツ航空がプレミアムエコノミーの導入を発表したのは2020年12月30日のことだ。プレミアムエコノミーはすでに世界の大手エアラインでは珍しくないサービスクラスになっており、業界全体の流れからするとかなり後発といえるが、だからこそ開発には慎重に時間をかけ、他のエアラインとは一線を画すようなラグジュアリーなシートを完成させた。
 それはクリーム色をした革製シートに座った瞬間に分かる。プレミアムエコノミーはビジネスクラスとエコノミークラスの中間、エコノミークラスよりもワンランク上といったカテゴリーに位置づけられるが、エミレーツ航空のプレミアムエコノミーは、ビジネスとエコノミーの中間であることは他社と同じものの、シートそのものは「エコノミークラスのワンランク上」というよりも、「既存のプレミアムエコノミーよりワンランク上」という印象を受けたのだ。
 見た目にも他社のそれよりも若干大きく見えるシートは、腰かけた瞬間に優しく包み込まれるような柔らかさで、そして深いリクライニングとずいぶん高い位置まで上がるレッグレストを全開にすれば、心身ともに十分な安らぎを与えてくれた。最高品質のフルサービスの提供をサービスのポリシーとしているエミレーツ航空にふさわしいクオリティである。
 今回はそんなプレミアムエコノミーに、ドバイ発パリ行き、EK75便に投入されているエアバスA380で体験した。取材時期は2021年11月末で、冬のホリデーシーズン前だったが、驚いたことに全クラスともほぼ満席、欧米諸国はウィズコロナにシフトしていたとはいえ、もう少し空いているかなと思っていたので、見事に多くのフランス人で埋まった機内には驚いた。A380はコロナ禍ではその巨体があだになったが、少なくとも本日搭乗したEK75便では小さすぎるくらいである。

PY_cabin
2-4-2の横8席で計56席が設定されているプレミアムエコノミー。エコノミークラスとは独立したキャビンになっており、窓もビジネスクラスと同じ木目調で高級感がある。
PY_seat
背もたれをフルリクライニングし、レッグレストも最大まで引き上げた状態。レッグレストはかなり高いところまで上がり、これがリラックスするうえで大きな効果を発揮する。

多国籍なクルーが乗務し、相変わらず静かなA380

 定刻より5分遅れて、14時55分にプッシュバックを開始した。機体が動き始めるとセーフティデモの安全ビデオがアラビア語→英語→フランス語の順で流れる。この便には成田から到着した同日に乗り継いでいるのでまだ日本の余韻をどこか引きずっているようなところがあったのだが、まったく日本語が聴こえなくなった機内に外国から外国に行く便なのだなと実感したりもする。ちなみにエミレーツ航空のクルーは世界中から集まってきており、この便は18の言語にネイティブで対応できるという。エミレーツ航空に在籍する日本人クルーもすべての路線に乗務しているので、ドバイからビヨンドの路線でもしばしば日本語に出会うことができる。
 A380はいつものように静かにタキシングし、ドバイ国際空港のランウェイ30Rにタキシーイントゥポジション。ちょっとエンジン音が大きくなったかなと感じた次の瞬間には、ふわりとドバイの空に浮き上がっていた。

PY_monitor
最前方を除き、各席の背面に設けられている13.3インチの個人用モニター。個人用モニターの下には、充電に使えるUSBポートに加え、音量やチャンネルのコントロールボタンなどが機能的に配置されていて使いやすい。

バランスのいい機内食を味わい改めてシートの良さも実感

 EK75便は2回機内食のサービスがあり、最初はランチが提供される。メニューはエコノミークラスと同じで、メインディッシュは2種類からの選択だ(2021年11月の取材時点。現在はアップグレードしている。写真を掲載)。撮影のため、同行している大橋カメラマンとビーフとチキンをそれぞれ別に頼むが、どちらも万人受けする味付けで美味しく、ちょうどよい酸味が食欲を刺激する米粒のような形をしたパスタのオルゾを使ったサラダのアペタイザーと、まるでティラミスのような味と触感のデザートだったバニラムースまで、しっかりと満喫した。
 食後は休息タイム。プレミアムエコノミーの本領発揮だ。最大40インチ(101.6㎝)あるシートピッチと19.5インチ(49.53㎝)の座席幅が生み出す余裕により、エコノミークラスとは比べ物にならないくらいの広々とした空間でゆったりと休めた。途中映画を見ていた自分に気が付いたキャビンクルーが飲み物を持ってきてくれたが、このときは幅広になっている肘掛先端のサイドカクテルテーブルの使い勝手がいい。
 ドバイからパリまでのフライトは約7時間半だが、寝る必要がないデイフライトであることも相まって、リビングのソファで映画を見ていたら、いつの間にか到着してしまったような感覚だった。
 パリに到着後もプレミアムエコノミーの乗客はエコノミークラスよりも優先して降機できた。これもまたプレミアムエコノミーのメリットといえるだろう。

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2021年11月の取材時の機内食はエコノミークラスと同じメニューで、メインディッシュは2種類からの選択。写真は「グリルドチキンメダリオン」で、マッシュドポテトなどが添えられていた。現在は機内食もアップグレードし、ロイヤル・ドルトンの陶器とステンレス製のカトラリーで提供される(写真下)。
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現在のプレミアムエコノミーの機内食イメージ。
Photo:Emirates Airline

7月30日発売の『航空旅行2024 FIRST HALF』では、プレミアムエコノミーも特集します。
こちらもお楽しみに!

ドバイから成田と羽田、そして関西の3路線を運航するエミレーツ航空は、成田と関西線にプレミアムエコノミークラスも設定したエアバスA380を投入しています。 プレミアムエコノミーといえば、ビジネスクラスとエコノミークラスの中間クラスで、最近ではJALの新機材、エアバスA350-1000で90度の高さまで上がるレッグレストに驚かせられましたが、エコノミーと名乗りながら、サービスとしては明らかにワンランク以上を指向するエアラインが増えてきている印象です。 では、エミレーツ航空の場合はどうでしょうか? 『航空旅行』がドバイ〜パリ線で体験したフライトの模様をお届けしましょう。 ※この記事は 『航空旅行vol.40』(2022年1月発売)から抜粋・再編集したものです。

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