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JALの中学・高校生向け 「飛行機ワークショップ」 が10周年。さぁ一緒に、空のサステナビリティを考えよう

JALと東京大学生産技術研究所の連携で行なわれている「飛行機ワークショップ」。将来にわたりサステナブルな移動手段として飛び続けるための学びの場を、11月のある日、羽田空港での「中学生の部」で取材した。

文:阿施光南 写真:阿施光南
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全国から集った約30名の中学生とボーイング777-300ERの集合写真。

まずは機内食の取り組みについて、味わいながら学んだ

 JALが毎年開催している中学・高校生向けの「飛行機ワークショップ」が、今年で10周年を迎えた。

 これはJALと東京大学生産技術研究所(東大生研)が連携して、次世代を担う人材を育成することを目的として行なわれているもの。とりわけ「現地・現物・現人」に触れることに重きを置き、最先端の技術が随所に詰まった飛行機を教材として、学校での学習が社会の技術や課題解決にどのように繋がるのかを実際に体験しながら学ぶ。今年は、「空のサステナビリティを考えよう!!」というテーマで開催された。

 ご紹介するのは、11月1日に羽田空港のJALメインテナンスセンターで行なわれた中学生の部の様子だ。参加者は全国から集まった約30人の中学生。まずは全員で国際線の機内食を味わいながら、ジャルロイヤルケータリングの前澤 信 代表取締役社長から「機内食のサステナビリティの取り組み」についてのレクチャーを受けた。

 中学生とはいえ参加者の多くに飛行機の搭乗経験があり、中には数十回もの搭乗回数があるという生徒もいた。そうした参加者たちにはおなじみの機内食かもしれないが、そこにも食品廃棄の削減や食材の輸送距離短縮によるC02削減、食器や容器の100%リサイクルプラスチックやバイオマス100%素材への切り換えなど、さまざまな取り組みがなされていることを知る機会を提供した。

レクチャーを行なうジャルロイヤルケータリングの前澤 信 代表取締役社長。
東京=ロサンゼルス線で提供される機内食を試食。ここにもさまざまなサステナビリティへの取り組みが込められている。

目の前には737や777、まさに本物に触れる体験

 また、今年はちょうど10周年の節目にあたるということもあり、第1回目の発起人である赤坂祐二 会長(当時は常務執行役員整備本部長)も同席し、参加者とともに機内食を楽しんだ。整備士としての勤務経験もある赤坂会長は、飛行機が大好きで模型飛行機作りに励んでいた中学・高校時代の思い出とともに、大学で学んだ航空工学の幅広さと楽しさ、そして将来を担う若い人たちへの期待を語った。

 食後は、機体工場(整備ハンガー)や新しくなったJAL SKY MUSEUMを見学。JALでは一般向けにも機体工場見学を開催しているが、今回は特別にボーイング737の機内に入って操縦席に座ったり、客室乗務員が使うPAシステムを使った機内アナウンスを体験。また巨大なボーイング777-300ERのタイヤに触れてみるなど、文字通り「本物に触れる体験」を楽しんだ。

中学時代から模型飛行機を飛ばすのが大好きで、設計者をめざして航空工学を学んだという赤坂祐二 会長。
通常の機体工場見学とは違い、操縦席に座って説明を聞いたり、実際にタイヤに触ってみるなど得がたい体験をした。

課題解決に向けての期待を、若い参加者に託して

 そして初日の締めくくりには、ESG推進部の落合秀紀 部長によってJALグループの紹介や初歩の航空工学、そしてJALのサステナビリティへの取り組みがレクチャーされた。

 国際航空分野のCO2排出量は世界全体の約1.8%、国内においては約1%だが、赤坂会長が「この数字が大きいと感じるか小さいと感じるかは人それぞれかもしれないが、私は大きいと思う」と語ったように、JALでもさまざまなCO2削減に取り組んでいる。

 落合部長は運航に関わる工夫、SAF(持続可能な航空燃料)の現状、そして将来の新型航空機などについて語り、そうした課題解決に向けての期待を若い参加者に託して初日のプログラムを終了した。

 翌日には、東大生研の駒場リサーチキャンパスにおいて特別講義やグループワークが行なわれ、初日の「学び」を「学習」へと繋ぐことでプログラムを終了した。

JALのサステナビリティへの取り組みを語ったESG推進部の落合秀紀 部長。
この日にリニューアルされたばかりのJAL SKY MUSEUMも見学。ここでしか手に入らない限定グッズのショッピングも。
会場からは、目の前の誘導路を通る飛行機が間近に見える。現地、現物の臨場感。

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