特集/本誌より

中国・成都でヒコーキ撮影! パンダ塗装のA350、ご当地ネタを求めて双流空港へ

月刊エアライン12月号でお届けしている、四川航空A350パンダ特別塗装機のフライトレポート。取材にあたって、中国・四川省の成都を訪問した。
成都での滞在中には、現在は国内線と貨物便のみが発着する双流国際空港でヒコーキ撮影を敢行。撮影地が豊富で、日本では見られないエアラインや機体も数多く発着、さらにストア機も見られる双流空港の魅力をたっぷりとお伝えする。

文:芳岡 淳 写真:芳岡 淳
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国内線メインとなった双流空港。撮影地が多く、四川航空A350も発着

 成都には2つの国際空港が存在するが、国内線および貨物トラフィックの中心となっているのが、市街地にも比較的近い双流空港だ。同空港はもともと成都唯一の国際空港だったが、2021年に開港した天府空港へ国際線が移管され、現在の運用体制に至っている。

 しかし国際線が移った後も、双流空港は中国キャリアの多彩な国内線機材を撮影するのに適した空港で、地元スポッターのコミュニティも盛んだ。空港周辺には撮影ポイントが点在しており、日本国内の空港で撮影するような感覚で、気軽にスポッティングを楽しめる。

 筆者も四川航空A350搭乗取材を実施後、現地での滞在時間を活用してスポッティングに出向いた。今回の取材対象であった同社のA350は、双流空港を拠点に国内線で運用されている機体もある。この日は3機が午後から夕方にかけて発着するタイムスケジュールであったため、好条件で撮影することができた。

登録記号B-304V「FISUワールドユニバーシティゲームズ」塗装
登録記号B-32F8「熊猫之路(Panda Route)」塗装
登録記号B-32G6「熊猫之路(Panda Route)」塗装

日本では見られないエアラインや、退役した747-400の姿も

 四川航空A350を美しく撮影できる点が大きな魅力であることは間違いないが、双流空港では他にも、日本には飛来しないローカルなトラフィックが楽しめる。

 なかでも、四川航空の子会社である成都航空や、A330-200などワイドボディ機も運用するチベット航空は、中国に行かないと見ることができない存在であるため、ぜひ押さえておきたい。

 さらに、RWY02R/20Lの近くにはエアバスのメンテナンス施設と、ストア機が置かれているエプロンがあり、2024年9月6日をもって現役を退いた中国国際航空の747-400(登録記号B-2445)の姿も間近で確認できた。

RWY02Lにラインナップする成都航空のA321LR(登録記号B-32G5)
RWY02Lにラインナップするチベット航空のA320(登録記号B-8843)
退役から約1年が経過したB-2445。エンジンが一部取り外され、国旗とレジが白塗りされた状態であった。
周辺には、2022から2023年にかけて退役した中国国際貨運航空の757-200PCFなどもストアされていた。

2本の平行滑走路は、運用パターンもわかりやすい

 撮影の肝となる滑走路運用。成都双流国際空港には2本の平行滑走路があり、強い南風が吹かない限りはRWY02運用が基本。RWY20運用は滅多になく、日本でいえば伊丹空港のRWY14運用に近い低確率だ。

 北風運用の場合、東側のRWY02Rは着陸機と一部の離陸機(大型の貨物機がメイン)が使用し、西側のRWY02Lは離陸専用となる。そのため、到着を狙う場合はRWY02R側、出発機を狙う場合はRWY02L側で待機すれば、ターゲットの機体を撮影できるだろう。なお、両滑走路間の移動は、タクシーを利用すれば15分程度で可能だ。

RWY02R着陸機

RWY02Rに着陸する四川航空のA350。

 RWY02R側は、滑走路沿いの道路から撮影が可能だ。作例は午後側のポイントで撮影したカットで、森林バックのすっきりとした背景が魅力的。真夏以外はRWY02方向の機体に逆光気味となるため光線状態はベストとは言えないが、日没に近づくほど光の当たり方が良くなる。

RWY02L離陸機

RWY02Lから離陸する四川航空のA321。

 RWY02Lからの出発機を撮影する場合、主に滑走路上にラインナップする機体が対象となる。ランウェイエンド付近にある公園や、大通りの歩道橋などから撮影が可能。15〜17時台には、四川航空のA350が投入される国内線が連続して出発するため、この時間帯を狙うのが良いだろう。

中国でのヒコーキ撮影にあたり、事前に準備しておきたいツール

 中国でヒコーキ撮影する場合、利用できるアプリが日本と少々異なるため、事前準備がおすすめだ。主に決済アプリ、地図アプリ、タクシー配車アプリが独自のサービスとなるが、いずれも使い方を覚えれば非常に便利だ。代表例をいくつか紹介する。

決済アプリ「Alipay(支付宝)」「WeChat Pay(微信)」

 中国では現金を使う機会が全くないといってもよい。小規模な売店も含め、支払いはすべてバーコード決済が基本だ。そのため、バーコード決済に対応した「Alipay(支付宝)」または「WeChat Pay(微信)」をスマートフォンにインストールし、クレジットカード情報などを登録しておこう。

地図アプリ「Baidu Map(百度地図)」

 中国では、Google マップがうまく機能しない点に注意だ(航空写真とマップにずれが生じるなど)。そのため中国専用の地図アプリを使う必要があるが、なかでも「Baidu Map(百度地図)」がおすすめだ。GPSは走行車線が認識されるほど正確で、ストリートビューも非常に細かく表示される。

タクシー配車アプリ「DiDi(滴滴出行)」

 成都などの大都市は公共交通機関も発達しているが、撮影ポイントや観光地への移動にはタクシーが便利だ。日本と比べ運賃が非常に安く、短距離〜中距離の移動を気軽に利用できる。

 タクシー配車アプリ「DiDi」はおすすめで、クレジットカードを登録すれば、配車から行先設定、支払いまですべてアプリ内で完結する。中国語が分からなくても問題なく、Uberのような感覚で利用できる。市街地であればドライバーとも即座にマッチングされ、待ち時間もほぼゼロだ。

これまで筆者は中国での撮影経験があまりなかったものの、今回の成都訪問を経て、中国におけるヒコーキ撮影の楽しさや便利さを改めて実感した。中国にはほかにも多くの大都市があり、そこに飛来するエアラインや機材の顔ぶれも大きく異なる。今後もぜひ、足繫く通いたい国のひとつとなった。

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