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ベトナム航空、2025年夏は日越路線を週65便に拡大。ホーチミン空港 第3ターミナルも今月末開業
ベトナム航空が観光業界関係者向けに今年度の同社の計画を解説。日越間の便数拡充はもちろん、ベトナムを経由しての第三国乗り継ぎや、ベトナム国内の新たなデスティネーションも紹介した。

ベトナム航空は4月9日、旅行代理店や旅行サービス手配企業などの観光業界関連者向けに、都内でビジネスアップデートセミナーを開催した。
セミナーでは、冒頭でベトナム航空 日本支社 総支配人 ゴー・シー・アイン氏があいさつ。「ベトナムは豊かな文化、歴史的遺産、美しい自然に恵まれた魅力あふれる国。東南アジアへの関心が世界的に高まるなか、ベトナムはリアルな体験や温かいおもてなしを求める旅行客にとって最適なデスティネーションであると自負している。一方で円安の長期化や物価上昇といった経済的課題によって日本発のアウトバウンドは引き続き厳しい状況にある。そのなかでもベトナム航空は長期的な戦略の下で日本市場にコミットしている」と話し、セミナーに参集した関係者に協力を呼びかけた。

同社は今夏スケジュールで日本=ベトナム間で週65便を運航。2019年(パンデミック前)の週82便から約80%にまで回復している。東京発着は、羽田=ハノイ線、成田=ハノイ線、成田=ホーチミン線、成田=ダナン線をいずれもデイリー運航。他地域も、関西=ハノイ線/ホーチミン線(いずれも週7便)、中部=ハノイ線(週7便)、中部=ホーチミン線(週5便)、福岡=ハノイ線(週5便)、福岡=ホーチミン線(週2便)を運航している。
そして、今夏の大きなトピックとなるのが、2019年以来となる関西=ダナン線の再開だ。7月3日から週4便(月・木・金・日曜)で運航。機材はエアバスA321が使用される。また、昨夏に引き続き、成田=ダナン線は8月にエアバスA350を投入して需要に応える。2024年は機材を大型化することを決定して販売を開始したのが4月末となったが、2025年は現時点ですでに大型化が決まっており、こちらの予約状況も順調だという。
なお、ホーチミンのタンソンニャット空港は4月末に第3ターミナルが開業する予定で、ベトナム航空の国内線が移転する予定となっている。国際線から国内線へ乗り継ぐ場合のMCT(最短乗り継ぎ時間)が現在の100分から伸びることが想定されており、ホーチミン便でベトナム入りして、同国内の他の空港へ乗り継ぐ旅程を検討している場合は、注意が必要だ。
セミナーではこのほか、日本を出発し、ベトナムを経由してカンボジア、ラオスなどの東南アジアや、オーストラリア、ヨーロッパへ乗り継ぐモデルケースも紹介。同社は2024年にフィリピン・マニラ線やドイツ・ミュンヘン線を開設したのに続き、2025年はインドのハイデラバードとベンガルール、イタリアのミラノに新規就航するほか、インドネシアのデンパサール(バリ)に再就航する予定で、第三国への乗り継ぎ先も広がることから、この利便性も訴求している。
地下鉄開業で注目のホーチミンや、フエのスポットを紹介
セミナーでは、ベトナムのデスティネーションを紹介するセッションとして、エーペックス インターナショナルの水林舞子氏、エムエスツーリストの阿部知二氏を招いたパネルディスカッションが行なわれた。
エーペックスの水林氏は近年のベトナムの変化について紹介。ハノイ近郊では有名な観光地であるバッチャン村の近くに所在する、ビンホームズオーシャンパークエリアが新たな注目スポットとなっており、“ハノイのヴェネツィア”と称してもよいような景観を持つ「メガグランドワールド・ハノイ」などが続々と誕生しているという。
また、ハノイを起点とした周遊観光地の定番であるハロン湾も開発が進み、2026年下期にはイオンモール・ハロンがオープンを予定。「ハロン湾は日帰りで行く場所ではなくなっている。滞在型としてのハロン湾を考えてほしい」と、新たな形でハロン湾を組み込んだツアー造成に期待を寄せた。
一方、ホーチミンについては、周辺の高速道路網を活用した、ホーチミン+もう一都市の周遊観光を提案したほか、2024年12月に開業したホーチミン・メトロにも言及。ホーチミン・メトロの開業によって、従前は交通渋滞のなかタクシーなどを利用する必要があったやや郊外寄りのタオディエンエリアへの訪問が非常に楽になったとし、街歩きなど同エリアの魅力を紹介した。

エムエスツーリストの阿部氏は、ベトナム中部の都市、フエを紹介。フエはベトナム最後の王朝である阮朝が都を置いていたことで知られ、歴史的建造物や宮廷料理、伝統工芸などに魅力がある都市だ。文化を味わうにあたって、交易の歴史が長い中国、統治国であった西洋・フランス双方の影響を受けていることから、観光客にとって見て楽しめる地域であるという。
また、11世紀から13世紀にかけて栄えた李朝の文化を受け継ぐ宮廷のお茶の文化や、昨今SNS映えするとして人気を高めている線香村、宮廷料理をルーツに発展を遂げている独特の食文化を紹介。さらに近年注目を高めている「塩クリームコーヒー」、そしてお土産にもなるアイテムなど、セミナーに参加した旅行代理店担当者のツアー造成の参考になるであろう数々のフエの最新情報を紹介した。
交流人口のバランスが取れてきた日越関係

セミナーにはベトナム社会主義共和国大使館からファム・クアン・ヒエウ特命全権大使も来場。「日本とベトナムは、国民同士での(いわゆる)草の根の交流が活発に行なわれており、これはベトナムにとっても日本だけの特徴。これによって国民間で親近感を覚え、コロナ前には日本からベトナムへのアウトバウンドが多かったが、現在では同じぐらいにバランスがよくなっている」と紹介。
この交流をさらに促進するため、大使自身、地方を訪問するとリクエストされるという、都市圏以外の日本の都市とベトナムを結ぶ路線の運航に期待した。
また、乾杯の音頭を取った日本旅行業協会(JATA)海外旅行推進部の松岡正晴 副部長は、「2024年のアウトバウンドは、韓国、米国、台湾、タイに続く5番目。さらなるベトナムへの送客を皆さんと一緒に盛り上げていきたい」と呼びかけた。

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