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ANA、効率化を徹底した成田空港の貨物新拠点「ANA Cargo Base+」公開

ANAは、成田空港で10月21日から段階的に供用を開始する予定の新貨物上屋「第8貨物ビル」を報道公開。「ANA Cargo Base+」と名付け、新たな貨物拠点であるとともに、今後の付加価値向上(プラス)を目指す意気込みを示す。

文:本誌編集部 写真:本誌編集部
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 ANAは10月16日、成田空港の新たな貨物上屋「第8貨物ビル」を報道公開した。成田国際空港(NAA)がA滑走路そばの北寄りに新設した貨物上屋で、ANAではこれまで成田空港において6か所に分散していた貨物上屋を、新たな第8貨物ビルと、隣接する既存の第7貨物ビルに集約。第8貨物ビルの輸出上屋は10月21日~、輸入上屋は11月1日~と段階的に供用をスタートする。

 オープン式典であいさつしたANAの井上慎一 代表取締役社長は、同社が中・大型フレイターと旅客機を有するコンビネーションキャリアであることの強みや、ワクチンや特殊商材を扱える輸送スキルに自信を見せ、「新上屋の供用開始によってANAの貨物事業に重要なピースが加わり、我々は世界のライバルと戦う準備が整った」と意気込みを語った。そして、集約された新たな貨物エリアを「ANA Cargo Base+(プラス)」と名付けた。

オープン式典には国土交通省やNAA、周辺市町村、関連事業者など多数の来賓が列席した。
「ANA Cargo Base+」のロゴパネルを除幕するANA代表取締役社長の井上慎一氏。

 成田空港で最大の面積を誇る第8貨物ビルの利用開始により、2つの上屋を合計した面積は約4万8,000m2と、従来から約1万m2拡大。取り扱い可能な貨物量は25%増となる約50万トンへと拡充される。上屋の集約によって、近年増加している3国間貨物の到着便から出発便への接続は従来の最短3時間に短縮。顧客(陸送業者)にとっても、持ち込みや受け取りのために訪れる場所が都度異なることがなくなる。

 さらに成田空港内の道路では貨物輸送の増加に伴ってトラックの渋滞も課題となっているが、空港北側の県道から直接アクセスできる道路と空港エリアへのゲートも新設された。

 上屋内には、医薬品専用庫や、生鮮品などを保管できる温度管理庫といった従来比5倍の面積となる保冷施設を備え、いずれもIATA認証の輸送ガイドライン、CEIV Pharma(医薬品)、CEIV Fresh(生鮮品)に準拠している。

輸出上屋の俯瞰。無人搬送車が導入されており、842個の搬送台を無人で効率よく蔵置、移動することができる。
保冷庫。医薬品庫だけで、+15~25℃と+2~8℃、-20℃の3種を備えるほか、温度管理されたなかで積み付けや解体を行なえる前室も備えている。

 さらに自動化も強力に推進しており、輸出上屋内に国内航空会社では初の本格導入となるAGV(無人搬送車)を60台導入。オペレーターが搬送棚に荷物を載せた時点でバーコードやQRコードを読み込ませることで、AGVが蔵置エリアや積み付けエリアへの搬送を自動的に行なってくれる。

 さらにIACT(国際空港上屋株式会社)がハンドリングする輸入上屋には、AGF(無人搬送フォークリフト)と、パレットを最大2,040枚収納できる自動高層ラックを導入。航空用ULDから解体されたパレットを、AGFが自動高層ラックに搬入。陸送事業者が受け取りに来た際にも、必要な貨物がラックから取り出され、所定の位置までAGFが運んでくれる仕組みになっている。

60台のAGV(無人搬送車)を輸出上屋に導入。
搬送台を下から持ち上げ、前後左右へ軽快に動く。
IACTがハンドリングする輸出上屋。AGF(無人搬送フォークリフト)と自動高層ラックの組み合わせで多くの貨物を効率よく収納。
陸送事業者が受け取りに来た際には、自動高層ラックから荷物が取り出され、トラック近くの所定の場所までAGFが搬送する。
ANAは、成田空港で10月21日から段階的に供用を開始する予定の新貨物上屋「第8貨物ビル」を報道公開。「ANA Cargo Base+」と名付け、新たな貨物拠点であるとともに、今後の付加価値向上(プラス)を目指す意気込みを示す。

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