連載

開業まで、あと1月!北陸新幹線金沢~敦賀の見どころとは?

 金沢駅に「鉄道唱歌」のメロディが流れた。12番線に入線したのは敦賀駅に向かうW7系だ。2024年3月16日、いよいよ乗客を乗せたW7系が敦賀へと走りだそうとしている。これにより、金沢~敦賀間の所要時間はおよそ30分短縮される。
 今回は、2月1日に行われた試乗会で撮影した車窓の様子と、新幹線開業でどれほど利便性が向上するか解説する。

文:新幹線EX編集部 写真:新幹線EX編集部
X Facebook LINE

車窓が楽しめる新幹線

 報道陣を乗せた列車は金沢駅を静かに発車した。福井県に入るまで、しばらくは金沢平野を進み、好天であれば、進行方向左手に白山を見ることができる。この新規開業区間は、近年開業したほかの新幹線と比較してもトンネルの割合が少ないほうで、車窓を楽しめる路線だ。
 金沢をすぎて最初に目につくのは、車窓左手にみえる白山総合車両所だ。北陸新幹線の主要車両基地である。これを過ぎると、小松駅へさしかかる。付近には航空自衛隊小松基地と小松空港がある。
 小松は工業地帯もあり、2015年の北陸新幹線の金沢開業後も、ビジネスユーザーが多いことから羽田~小松間を結ぶ航空路線は維持されていた。今でも空港内にJALとANAの上級会員向けラウンジが設定されている。そんな街に、いよいよ新幹線がやってきたのだ。ちなみに東北・上越新幹線開業後には、航空会社が羽田~仙台・花巻・新潟の各路線から撤退した過去がある。しかし、小松空港の場合、ビジネスユースも多いことから、いまの伊丹空港のように、新幹線が開業してもうまく棲み分けができるのではないだろうか。実際、2024年3月16日の新幹線開業後も、羽田~小松線は、JAL・ANAとも引き続き運行される予定だ。
 さて、小松を出ると、車窓左手に木場潟が見えてくる。これを過ぎれば、列車は加賀市に入る。
 試乗会の列車は加賀温泉を通過した。駅付近では進行方向右手に巨大な「加賀大観音」が目に入る。建立されたのは1980年代と比較的新しい。加賀温泉駅を過ぎた先にあるトンネル群を抜ければ、そこは福井県だ。

小松駅前には超巨大なダンプトラックが展示されている。2022年11月撮影
駅の北側にある「加賀大観音」は車内からでもその姿を見ることができる。

”一本”でつながった福井

 福井県で最初の駅は芦原温泉。駅からは東尋坊や三国港といった観光地へと向かうバスが発着している。駅舎は木目調のデザインで、観光客をあたたかく包み込むような雰囲気だ。
 芦原温泉からは福井平野を真南に進む。260km/hというスピードで走りながらも、曲線がない分その乗り心地は快適である。福井平野も金沢平野も「米所」で、初夏から秋にかけて、広がる田んぼの表情に季節を感じられる。
 芦原温泉から10kmほど進んだところで、列車は九頭竜川橋りょうを渡る。この橋、橋脚を一般道路と共有しているのだが、これは新幹線では初めてのことだ。この橋をわたれば福井市内に入り、列車は福井に到着する。
 福井は県庁所在地の駅でありながら、ホーム1つに線路が2線というコンパクトなスタイル。駅を建設する用地確保の関係からこのようになった。福井といえば恐竜が名物だ。ここからえちぜん鉄道にのりかえて勝山に向かい、恐竜博物館に行くのも良い。福井駅前には動く巨大な恐竜のモニュメントもあり楽しい駅だ。空港がないことや、乗り換えが必要になることから、関東からは「遠い」存在だった福井県。新幹線開業で利便性が各段に向上する。

線路の両サイドを一般の道路が併走する珍しい構造をした九頭竜川橋梁。
「あわらの大地に湧き出る贅の駅」をコンセプトにデザインされた芦原温泉駅。温泉のほか、三国港や東尋坊へのアクセスも良い。2023年9月撮影
県庁所在地の駅でありながら、ホーム1面に線路が2線というコンパクトな福井駅。
福井駅西口には「恐竜広場」がある。設置されているモニュメントは鳴き声とともに動くしくみ。2022年6月撮影
東口にある屋上広場には、かわいい赤ちゃん恐竜がある。また、ハート形のオブジェもあり、これらは下り列車の車内から見える。

次のページ:
大河ドラマで盛り上がるたけふへ

関連キーワードもチェック!