連載

開港から50年。南九州の空を支えて 鹿児島空港

【連載】ニッポンの空港

文:阿施光南
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背後に美しい緑と霧島連山をのぞむ鹿児島空港からの景色は日本有数。
背後に美しい緑と霧島連山をのぞむ鹿児島空港からの景色は日本有数。

羽田・伊丹など主要空路と 離島空路の拠点空港

 旧鹿児島空港は、現在の県庁付近(鴨池地区)にあった。しかし滑走路が1,200mと短く、市街地に近すぎるために拡張の余地がほとんどない。そこで1972年に現在の場所に2,500m滑走路を持つ鹿児島空港が開港し、1980年には滑走路が3,000mに延長された。鹿児島市内からは遠くなったものの、近くに九州自動車道のインターチェンジがありアクセスは良い。
 鹿児島空港に本社を置くJACのハブとして離島便が多いということや、標高271.6mもの高台にあること、かなり近くに活火山の桜島や霧島連山があるというのも特徴だ。桜島からは約25km、大規模噴火を起こしたこともある霧島連山新燃岳からは約20kmあるので、噴石などが空港を直撃するという心配はほぼないが、風向き次第で進入コースなどに流れてくる噴煙は航空機のエンジンに悪影響を及ぼすために注意が必要だ。なお鹿児島空港では、飛行場管制のほかにターミナルレーダー管制が行なわれおり、宮崎空港および航空自衛隊新田原基地のターミナルレーダー管制も担当している。
 旅客施設としては、ターミナルビル前に足湯が設けられており、航空機の部品などを展示するソラステージもあって、来訪者を歓迎する心遣いは感じられる。展望デッキにはフェンスが設けられ、正面に広がる霧島連山が雄大であるだけに、それと絡めて離陸する旅客機などを快適に撮影できない点は残念だ。

鹿児島空港 DATA

鹿児島空港 DATAKOJ/RJFK

標高:271.9m
面積:194ha
運用時間:7:00-22:00
滑走路:RWY16/34 (3000×45m)
着陸回数:2018年度 3万4千回(国内3万3千回・国際1,592回)、2019年度 3万4千回(国内3万2千回・国際1,381回)、2020年度 2万千回(国内2万千回・国際16回)
乗降客数:2018年度 606万6千人(国内566万2千人・国際40万3千人)、2019年度 576万9千人(国内544万千人・国際32万7千人)、2020年度 183万3千人(国内183万3千人・国際387人)
貨物取扱量:2018年度2万8千(t 国内2万6千t・国際1,658t)、2019年度 2万5千(t 国内2万4千t・国際1,723t)、2020年度 1万2千(t 国内1万千t・国際753t)
就航会社:JAL、JAC、ANA、SKY、SNJ、FDA、IBX、JJP、APJ
ターミナルビル、貨物施設の運用会社:鹿児島空港ビルディング株式会社
拠点を置く航空会社、航空機保有の組織:日本エアコミューター、新日本航空、鹿児島国際航空。ノエビアアビエーション、鹿児島県警察航空隊
設置される公的機関:国土交通省大阪航空局鹿児島空港事務所、農林水産省動物検疫所鹿児島空港出張所、鹿児島税関支署鹿児島空港出張所
所在地:鹿児島県霧島市
供用開始日:1972年4月1日(旧空港の建設は1932年、市営の水陸両用飛行場として)
種別:国管理空港
設置管理者:国土交通大臣

※ この記事は月刊エアライン2022年5月号特集「ニッポンの空港」を抜粋・再編集したものです。

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