連載
わずか数か月で…ビーマン・バングラデシュ航空の幻の塗装
月刊エアライン9月号「現地レポート特集 外国エアラインの最前線へ!」を制作中、ふと9年前に撮影した写真を思い出した筆者。写っているのは、ビーマン・バングラデシュ航空でほんのわずかな期間のみ採用されていた幻の塗装機です。
ブランドイメージ刷新のつもりが…
7月30日発売の月刊エアライン9月号「現地レポート特集 外国エアラインの最前線へ!」。筆者が担当したページのひとつがビーマン・バングラデシュ航空の取材記事でした。その中で「ビーマンと日本との関係」というページがあるのですが、マクドネル・ダグラスDC-10やエアバスA310などビーマンの機材の歴史を振り返る中で、ふと思い浮かんだのが冒頭のボーイング737-800の写真です。
バングラデシュのシンボルカラーである赤と緑のラインをあしらった、ビーマンのお馴染みの塗装とは程遠いこの機体。でも、れっきとした「ビーマン・バングラデシュ航空の737」なのです。モダンなカラーリングですが、現在の成田線の機材である787などを見てもわかる通り、曲線にこそなったものの、ビーマンの現行塗装はあの赤と緑のラインを踏襲しています。このカラーリングとはまるっきり別物です。
「ならば、新塗装では!」と思ったそこのあなた、正解です! ある意味では…。これは同社が2010年、より近代的なイメージへの刷新を狙って導入した新塗装。でも14年も前に導入されたのに、なぜ未だに全機に施されていないのか。それは、一瞬で撤回されたからです。
写真の737-800のほか、777-200ERやA310など数機に“新塗装”を施した直後、バングラデシュの政権が交代。新たな政権はこのデザインがバングラデシュのイメージにそぐわないと判断したのです。そして導入からわずか数か月後、元の塗装のチートラインを曲線化した、現在に至るまで採用されているカラーリングに変更されてしまいました。短命に終わったこの幻の塗装も確かにモダンでカッコいいですが、やはり赤と緑のお馴染みの塗装が最もビーマン、そして「バングラデシュのフラッグキャリア」らしく、勝るものはないですよね。思い切って撤回したのも納得です。
ちなみに、この塗装が施されたのは2010年初頭に同社が初めて導入した2機の737-800(登録記号S2-AFL、S2-AFM)のほか、同時期〜2011年にかけてポルトガルのユーロアトランティック航空からウェットリースされていた777-200ER(CS-TFM)、そしてちょうどその時期に塗装変更のタイミングを迎えたと思われるA310(S2-AFT)の計4機。しかし撤回されたからといってまたすぐに塗装が変更されたわけではなく、777-200ERのCS-TFMは2011年のリース期間満了まで、A310のS2-AFTは2012の退役まで、そして2機の737-800に至っては2017年に現行塗装へ塗り替えられるまで、この幻の塗装を纏って飛んでいました。
月刊エアライン9月号では、ビーマンをはじめとする各社を総力取材
さて、こんなことを思い浮かべながら制作した9月号も、いよいよ7月30日に発売です。今回はビーマン・バングラデシュ航空に加え、シンガポール航空、ベトナム航空、ハワイアン航空、エティハド航空の5社に実際に搭乗。そのサービスやホスピタリティの最前線を体験しながら向かった現地では、各社の本拠地の空港やラウンジ、市内の様子、さらにはパイロットや客室乗務員の訓練施設に、整備拠点の格納庫まで、文字通り「総力取材」しています!
※取材内容は航空会社により異なります。
さらにアメリカン航空やキャセイパシフィック航空、スクートのイベントやインタビュー取材も敢行。また、日本人の海外渡航自由化から60年の節目にあたる今年だけに、日本への外国エアライン乗り入れの歴史を振り返るほか、エアライン提携の最前線であるアライアンスの現況も紹介しています。
月刊エアライン9月号は予約受付中。ぜひチェックしてみてください! また同時に、ベトナム航空の取材時に訪問したハノイの「キッザニア」の記事も必見です。
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