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ANAトラベラーズ、「TaaS(Travel as a Service)」構想始動。航空券以外の旅行手配を一つに

ANA Xが「TaaS(Travel as a Service)」と名付けた、一つのプラットフォーム上で航空券や国内宿泊、国内レンタカー、アクティビティを予約、購入、管理できる仕組みをスタートする。

文:本誌編集部
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ANAがスタートする「TaaS」のイメージ

 ANA Xは4月22日、新たな旅のサービス「TaaS(Travel as a Service)」の仕組みを構築していくことを発表した。

 ANAの航空券に加えて、国内宿泊や国内レンタカー、アクティビティなどを、ANAトラベラーズのWebサイト上で、シームレスに予約、購入、管理できることを目指したもの。仕組みは、ANA Xが構築したTaaSプラットフォームと、ほかの旅行関連予約サービスとをAPIで接続するもので、既報のとおり、3月26日から国内宿泊の予約についてじゃらん.net(リクルート提供)、アゴダ(Agoda Company提供)と連携を開始している。

 このじゃらん.net、アゴダとの連携により、ANAトラベラーズのWebサイトから予約できる宿泊施設は約3,000から約12,000施設に拡充。ANAグループらしく、ANAの航空便就航地の宿泊施設が多いという特徴もあったが、他社との連携により未就航地や温泉地などへ範囲も拡がった。

関連記事:ANA、国内線ツアーでアゴダ、じゃらんと提携。ホテルの品揃え拡充

TaaS構想について説明した、ANA X株式会社 旅行事業推進部 部長 森田將裕氏。
TaaSプラットフォームで宿泊施設や国内レンタカーなどの予約管理等を集約する。利用者は一つの画面からすべてを利用できるようになるとイメージするとよいだろう。

 TaaSプラットフォームで航空券とホテル、レンタカーなどを一貫して予約・購入できる仕組みの導入により、例えば、航空券を予約した時点で行き先にマッチしたお勧めの情報を配信するほか、移動中には移動計画に応じた情報の通知、現地観光地やクーポンの情報提供、旅行後は自身の旅程を振り返ったりシェアしたりできるようにするなど、旅マエ・旅ナカ・旅アトで利用者をサポートする。

 現在は、2024年度内の実現に向けて、国内レンタカーの他社連携を進めている。将来的には国内のアクティビティや海外ホテル・レンタカーなどを統合して、2026年度の完成を目指す。

 今日は航空券もホテルも空席・空室に応じたダイナミックプライシングが一般化し、ANA Xにとっても旧ANAセールス時代からANAスカイホリデー、ANAハローツアーといったブランドで展開していた募集型企画旅行、いわゆるパッケージツアーの販売量が減少。主力はダイナミックパッケージに移行している。

 そうしたなか、航空会社を母体とするANAグループの旅行会社として、航空券を予約した際に、利用者がいつ・どこへ行くのかが分かることを活かしたレコメンド情報の配信や、マイルを貯める・使うことができる点など、航空会社としての強みを活かしていく考え。現状では航空券の購入者のうち、国内宿泊施設も一緒に購入する人の割合は2%程度というが、まずはこれを3倍にすることを目指すとしている。

旅マエ、旅ナカ、旅アトそれぞれで、予約・購入を一貫してできることのメリットを活かした情報や機能を提供していく。
TaaSのロードマップ。

ダイナミックパッケージとの違い

 ちなみに、航空券+宿泊をまとめて予約できるサービスとして、ANAトラベラーズでは「ANAトラベラーズ ダイナミックパッケージ」を販売している。ダイナミックパッケージは航空券と宿泊施設のみを一つのパッケージ旅行商品として販売するので、航空券には包括旅行運賃が適用される。

 一方、今回のTaaSでは、航空券、ホテル、その他すべて個別の価格で予約・購入することになり、航空券も個札販売となる。そう聞くと、料金の面ではダイナミックパッケージの方が安価になると思われるかもしれないが、「ANAキュンの日」に代表されるようなANA自らによるキャンペーンも多く展開しており、航空券とホテルを個別に買った方が安価になるケースがあるという。

ANA Xが「TaaS(Travel as a Service)」と名付けた、一つのプラットフォーム上で航空券や国内宿泊、国内レンタカー、アクティビティを予約、購入、管理できる仕組みをスタートする。

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