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ANAグループ第3のブランド「AirJapan」が3月で運航休止。就航からわずか2年で幕を下ろす

ANAホールディングスは10月31日、同社傘下のエアージャパン(AJX/NQ)が運航すANA第3のブランド「AirJapan」が、2026年3月をもって運航休止すると発表した。
ロゴや機体塗装、サービス内容など、ANAとは一線を画す形でデビューした新ブランドだったが、就航からわずか2年でその歴史に幕を下ろすこととなった。

文:本誌編集部 写真:本誌編集部
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就航から約2年での運航休止。“エアージャパン”はANA便のみに

 2024年2月、ANAグループの第3のブランドエアラインとして運航を開始した「AirJapan」。フルサービスキャリア(FSC)でも、いわゆるLCC(格安航空会社)でもない“ハイブリッド型”のエアラインとして誕生した。現在は2機のボーイング787-8を運用し、成田=ソウル(仁川)、バンコク(スワンナプーム)、シンガポールの3路線を展開している。

 2025年11月には3号機の受領を予定し、シンガポール線の増便も計画するなど成長過程にあると思われた同社だったが、ANAホールディングスは2025年3月末をもってAirJapanの運航を休止すると発表した。最終便は2026年3月28日に日本を出発する便となる予定だ。

 今後は、フルサービスキャリアの「ANA」とLCCの「Peach Aviation」による2ブランド体制へ移行する。AirJapanの運航休止にともない、使用機材や乗員・運航要員はANA本体の国際線へ再配置される。また、ANAの近・中距離国際線を運航してきた子会社「株式会社エアージャパン」は存続し、AirJapan就航以前と同様にANA便の運航業務に専念することになる。

 ANAホールディングスによれば、今回の決定はグループ全体の事業拡大と収益性向上を目的としたもの。背景には、世界的なサプライチェーンの混乱による機材供給の遅れや、次世代大型機ボーイング777Xの納入延期などで国際線機材(特に787シリーズ)の慢性的な不足が続き、リソースの最適化が急務となっていた。

初号機となったJA803Aのお披露目イベントにて
就航初便の成田発バンコク行きNQ1便を見送るスタッフおよび関係者
独自仕様の座席を搭載するなど、全面的に改修が施されたAirJapan機材のキャビン

3号機は予定通り導入。運航終了後は全機がANAに戻る

 突然の運航休止発表となったAirJapanだが、2025年3月末までは通常通りの運航が継続される。従来から計画されていた3号機の導入、ならびに3機体制化に伴う11月20日からの成田=シンガポール線の増便についても、予定どおり実施される見込みだ。

 運航終了後は、3機とも以前所属していたANAに再登録されることになる。ANA便での運用を前提とする場合、外観はANAの通常塗装に戻ると考えられるが、機内仕様の変更やその後の運用方法などの詳細は現時点で公表されていない。どのような形でANAの機材として再デビューを果たすのか、注目を集めそうだ。

 いずれにしても、藍色と曙色をまとったAirJapan独自のカラーリングを目にできるのは、残すところあと半年足らず。成田空港では日中に発着する便が多く、撮影チャンスにも恵まれている。今のうちに、その姿をしっかりと記録しておきたい。

成田空港B滑走路16Lに最終進入する2号機JA801A
ソウル・仁川国際空港RWY34Rにラインナップする1号機JA803A。海外の就航地では唯一、AirJapanの機体を昼間に撮影できる空港だ。

AirJapan運航スケジュール

▼成田=バンコク(スワンナプーム)
NQ1 成田17:35 → バンコク22:55 毎日運航
NQ2 バンコク 0:10 → 成田 8:15 毎日運航

運航期間:2026年3月29日まで(3月29日バンコク発NQ2便が最終)
※3月29日のダイヤは政府認可申請中

▼成田=ソウル(仁川)
・2025年10月26日~11月22日、2026年1月4日~2月12日
NQ121 成田 9:50 → ソウル(仁川) 12:30 毎日運航
NQ122 ソウル(仁川) 13:40 → 成田 16:05 毎日運航

・2025年11月23日~2026年1月3日、2026年2月13日~3月28日
NQ121 成田 9:50 → ソウル(仁川) 12:30 毎日運航
NQ122 ソウル(仁川) 13:40 → 成田 16:10 毎日運航

運航期間:2026年3月28日まで

▼成田=シンガポール
NQ3 成田 17:05 → シンガポール 23:45 月・木・金・土・日
NQ4 シンガポール 0:55 → 成田 8:40 月・火・金・土・日
※2025年11月20日からは毎日運航

運航期間:2026年3月29日まで(3月29日シンガポール発NQ4便が最終)
※3月29日のダイヤは政府認可申請中

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