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「JAL SKY MUSEUM」11月1日にリニューアル、展示刷新と「トワイライト枠」新設

JALは、羽田空港の見学施設「JAL SKY MUSEUM」を4年ぶりにリニューアルする。展示や設備の刷新に加え、見学枠の拡大や「トワイライト枠」の新設、見学時間の延長など、体験内容がさらに充実する。入場料の新設や限定グッズの販売も含め、注目の変更点を紹介する。

文:佐藤眞博 写真:佐藤眞博
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滑走路をイメージした空間で、記念撮影にも最適なエリア「スカイランウェイ」。JALで働くスタッフの仕事内容を紹介するブースや、コクピットや客室の雰囲気を楽しめる模型などが展示されている。

展示・設備・枠をアップデート、より充実の見学へ

 JALは11月1日、空の仕事や機体を間近に見学できる施設「JAL SKY MUSEUM」をリニューアルする。

「JAL SKY MUSEUM」は、2013年に羽田の格納庫エリアでオープンした見学施設。JALグループの創生から現在までの歴史を紹介するブースを設け、過去に使用したさまざまな品を展示しているほか、格納庫では整備士が実際に機体を整備する様子を間近で見学することができる。毎年10万人以上が来場する人気施設で、今後は展示内容の拡大や更新を通して、リピーターでも楽しめるよう進化を続ける。

 4年ぶりとなる今回のリニューアルでは、エントランスの改修や手荷物用ロッカーの設置、館内の展示品入れ替えや新コンテンツの追加を実施。開催日数や1日あたりのコース枠を増やし、見学時間も20分延長する。また、館内ショップで扱う商品も、金箔をあしらった特別版の御翔印を数量限定で販売するなど、アイテム数を拡大する。その一方で、これまで無料だった入場料は、13歳以上1人あたり1,000円を新たに設定する。12歳以下はこれまで通り無料で、未就学児(小学校入学前の子ども)は入場できない。

 これらの変更点のうち、利用者にとって嬉しいのは、入場枠が増えることではないだろうか。現在は水曜と金曜を除いた週5日となっている定期開催曜日を、11月以降は水曜以外の週6日へと拡大し、1日あたり最大3枠の見学コースは最大5枠になる。新設される16時30分からの見学枠は「トワイライト枠」と呼ばれ、日没前後の幻想的な空を背景に飛行機を見られる特別な枠として設定されるが、週2~3回程度の開催となるため注意が必要だ。

初代から現行まで、客室乗務員の歴代制服が一度に見られるエリア。日本航空(JAL)だけでなく、日本エアシステム(JAS)のものもあわせて展示されている。リニューアルに際して、ファーストクラスのサービス時に着用していた着物の制服が追加された。
現物史料の展示は、「年代別による展示」から「アイテムごとの展示」へ変更。ファーストクラスとビジネスクラスで配布していたアメニティキットや、就航先を紹介するシティガイド、特に外国人乗客へ向けた“和”を打ち出すサービスとして使用された扇子、日本の魅力を英語で紹介する1950年代のパンフレットなどがまとめられている。
未来に向けたJALのプロジェクトを紹介する「フューチャーゾーン」では、新たなコンテンツとして「奄美アイランドドローンの取り組み」と「空飛ぶクルマの取り組み」の2つが追加された。
来場者の受付カウンターは、空港のチェックインカウンターをイメージ。見学枠の案内表示は航空便の出発案内を模した内容で、現在の受付状況などもあわせて表示される。
白を基調とした清潔感あふれる印象のエントランスも、今回リニューアルされた項目に含まれる。車椅子に乗ったままでも通過できるよう幅が広い改札も用意されているほか、手前側には広い待合スペースが設けられた。
リニューアルに際し、ミュージアムエリア内に約100個の無料ロッカーを設置。手荷物を収納して身軽に館内を回ることができるようになった。ロッカーはダイヤル施錠式で、自身で設定した暗証番号で開閉する。
JAL SKY MUSEUM限定商品は新作を追加する。機内で回収した紙コップを原料にしたタオルハンカチは新色の赤を用意。金箔仕様の御翔印は、従来のものとの併売を予定している。また、ポーチやペンケース、ステンレスボトル、マグカップなども同時に販売を開始する。

見学時間を130分に拡大、展示と格納庫を満喫

 これまでの工場見学コースにおける時間配分と所要時間は、ミュージアムエリアが60分、格納庫が50分のあわせて110分だが、リニューアル後となる11月からはミュージアムエリアの見学が20分追加され、計130分に拡大される。見学順は、ミュージアムエリアから格納庫への流れが基本となるが、状況により先に格納庫へ案内されることもあるという。

 JALによると、見学予約は1か月前の同日午前9時30分からインターネットで受け付けているが、すぐに枠が埋まってしまい、キャンセルが出るのを待ち続けて何とか枠を確保したという声も多いとのこと。今後は予約と同時に入場料をクレジットカードで決済する必要があり、枠自体も増える予定のため、少しは予約が取りやすくなる可能性がある。

見学できる格納庫は、ミュージアムエリアと同じ建物に加え、約60mの空中通路を渡った先にも別棟があり、こちらでの滞在がメインとなる。タイミングよくJALのボーイング737が奥の誘導路を通過していった。(写真左)/日没間近のタイミングで格納庫を訪れた今回は、太陽の光が機体側面の窓に反射する様子を見ることができた。時期により太陽の角度は変化し、機体の真正面に来ることもある。(写真右)
夕方になり、外がかなり暗くなってきた時間帯ではあるが、まだまだ内外の明暗差は大きく、機体の全景を綺麗に撮影することは難しい。格納庫での時間は約50分と長いため、トワイライト枠では日没前後での光量の変化も楽しめる。(写真左)/格納庫内からは、動いている機体を撮影することも可能だ。手前に駐機しているA350のうしろを通過しようとしている767を狙っていると、ちょうど787が着陸してきた。思いがけず異なる3機種が1枚に収まった。(写真右)
この日はジェイエアのE190も整備中。大きな機体があるとどうしてもそちらに目がいってしまうが、時々小さい機体も見られるので、忘れずに記録しておきたい。(写真左)/普段、なかなか見られない位置から機体を眺められるのが、格納庫見学の最大の魅力。こうした大型の機体では外に面した機首側が非常に明るくなるため、外が暗くなればなるほど、機体後部まで明るい写真をモノにできる。(写真右)
格納庫前を通る機体は、もちろんJALばかりではなく、他社の機体も数多く見られる。こうして他社の機体を撮影するとダメ! ということはなく、自由に撮影可能だ。ただJALグループ以外の機体が格納庫内で整備中だった場合は、一切の撮影が不可となる。(写真左)/日没が近くなり、空が良い感じの色になってきたところに、ちょうど767が着陸してきた。滑走路方向を見られる位置での滞在は長めに確保されているので、トワイライト枠では刻々と変化する空の様子を記録することが可能だ。(写真右)
日没を迎えると、条件によっては空が良い感じのグラデーションに色づくことも。太陽が沈む時間や方向は毎日少しずつ変化し、雲の様子も毎回異なるため、格納庫から見られる外の景色は一期一会。何度でも足を運んでみたくなる。(写真左)/太陽がすっかり沈んでからもシャッターチャンスが存在する。完全に暗くなるまでは、近くに駐機している機体を撮ることで、空に残る色の変化を写し取ることができる。短いサイクルで徐々に変化していくので、何度も撮影して好みの色を見つけるのもいい。(写真右)
格納庫の見学終了が近づくころ、空がさらに印象的に染まってきた。完全なくもりだと難しそうだが、快晴でなくてもさまざまな空の表情が目の前に広がる。見ているだけで癒されるので、写真を撮らない人でも十分に楽しむことができそうだ。(写真左)/格納庫に入って最初に撮影した場所から再度整備中の機体を撮影。外が暗くなってからはこの角度からでも機体全景がきれいに撮れるので、撮影を中心に楽しみたい場合はトワイライト枠での参加がおすすめ。通常枠より狭き門となるがぜひチャレンジしてみてほしい。(写真右)
ミュージアム内の待合スペースには、第1ターミナルが見える北側に面した窓があり、目の前の誘導路を通過する機体が撮影できる。トワイライト枠では室内を消灯して撮影する機会が設けられることもあるという。
JALの航空文化史を紹介するデジタル年表や、歴代航空機を同縮尺でそろえたモデルプレーン、貴重な実物史料などを展示している「アーカイブズゾーン」。歴代制服は外へ向けて展示されており、スカイランウェイとの間にある通路側からの見学となる。

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